初めてオーストラリアの大地に踏みこんだ日、からっと晴れた空は青く広く、そして包み込まれるように近かった。
中身の軽いバックパックを背負い、これから始まる冒険に期待と不安で一人ぞくぞくした感覚は今でも忘れない。
パーマカルチャーという生き方について知り、考えるようになったのは旅も終わりに近づいた、オーストラリア南部のタスマニアへ訪れた頃だった。
そこでは自然を愛し、自然とよりそいながら、人生を存分に楽しんでいる人々との出会いがあった。

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パーマカルチャーとは

Permaculture(パーマカルチャー): Parmament(永久な)、Agriculture(農業)あるいはCulture(文化)をかけ合わせた言葉。この言葉は1970年代、タスマニアに暮らすビル・モリソンとデビット・ホルムグレンという2人が、人にとって耐久的持続可能なライフスタイルの構築を目指し、考えたデザイン体系。

パーマカルチャーは、伝統的な農業の知恵を学び、現代の科学的・技術的な知識をも組み合わせて、通常の自然よりも高い生産性を持った『耕された生態系』を作り出すとともに、人間の精神や、社会構造をも包括した『永続する文化』をかたちづくる手法である。
出典:パーマカルチャーとは

パーマカルチャーのやり方に、こうしなければならないという決まったスタイルはなく、今いる生活空間で、いかに自然を壊すことなく、自分を含めた人に配慮し、生産・破棄されるものを活用、共有し、それを循環させるか。そしてこれは昔の日本の先人達の暮らしの知恵とも深く結びついている。

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オーストラリアでみつけた、パーマカルチャーを取り入れた暮らしのヒント

  • オーストラリアは年間を通して温暖で乾燥しており、年間に降る平均雨量は600mm以下。(日本の年間平均約1,750mmと比べると圧倒的に雨が少ない)
    そのため貯水タンクに雨水をためて、家庭菜園にまいたりお風呂などの生活水にも利用していたこと。
  • 調理ででた生ごみはにわとりの餌や土と混ぜ発酵させ菜園の肥料に、卵の殻は乾燥させ、細かくしてレタスの周りにかける。こうすることでナメクジなど害虫が寄り付かず、土のカルシウムにもなる。
  • 野菜を植える際、相性のいい植物と混ぜて植える。例えば、虫が好んで食べる葉物野菜の間に、マリーゴールドを植えて香りで虫をよりつかせないようにする。
  • 良いものを大切にし、長くつかう。そして再利用する。
    毎週、あるいは月一でオーガニックの手作り市を開催していたり、古着から日用雑貨、アンティーク、手の込んだ手作りの品など様々なものが揃い、賑わう場所がある。住んでいたら毎週通いたくなる楽しさ。
  • 自分の家で採れるものを売り、自分では作っていないものを買う。地産地消のマーケットを活用する。
    無農薬で育った野菜と農薬を使い大量生産で育った野菜は味も生産過程も全く違う。
    畑で様々な微生物と共存して育つ野菜は味も濃く、水々しい。虫が野菜にあけた小さな穴は、これは美味しいというお墨付きだよ、とマーケットのおばちゃんは笑う。

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日本は自然に恵まれ、世界でもトップに入る先進国でもある。
24時間閉店することのないスーパー、消えることのないネオン・・高度経済成長などをとげて、お金があれば大抵のものを買える便利な世の中に私たちは生きている。
そして科学の進歩による循環が自然界にどのような影響を及ぼしているか、購入した商品が商品として成立するまでの経過や消耗した後のゆくえを私たちはどれほどの真実として受け止め、知っているだろうか。

都会の人混みに慣れ、物に溢れた便利な暮らしに慣れ、当たり前に慣れていくと、色々な感覚が麻痺しはじめ、ついには心も麻痺してしまう人もいる。
みんなやっているから。あると便利だし。当たり前のこと。それで終らせていいのだろうか。
その当たり前から一歩下がって澄んだ山の空気を吸った時、旅をした時、いつもこの疑問は様々なかたちで私についてきた。そして、今。子育てをする立場になり、いよいよ実践していく時が来たと強く感じている。

レジ袋を断つ事、洗剤を環境に配慮したものに変えてみる、紙おむつではなく、布おむつにする…
小さなことから少しづつ、行動していくこと。便利な世界に生きるからこそ、出来ることがある。

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自然<人ではなく、人<自然でもなく 自然=人

そんな暮らしづくりを、あなたもはじめていきませんか。

パーマカルチャーについてより詳しく知りたい方はこちらも参考に。
パーマカルチャージャパン

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