1日の大半を過ごす自宅や職場の近くに、庭や公園など、緑の多い場所はありますか?アメリカの調査によると、緑に囲まれて生活している人ほど心も体も健康になり、長生きできるらしいのです。

今回ご紹介するのは、2000年から2008年という長きに渡り行われた調査結果。女性看護師10万人超を対象に行われたもので、住んでいる地域を緑地の量によって5段階に分け、その上で食生活、運動の有無、休日の過ごし方といった日常生活と照らし合わせ、緑地の多さ/少なさと健康との関連性を調べました。

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調査結果によると、多くの緑に囲まれた地に住む女性たちが調査期間中(2000年~2008年)に死亡した率は、緑が少ない地域で生活する女性たちに比べて低く、長生きすることがわかったそうです。特に、呼吸器系疾患やガンによる死亡率が低く、呼吸器系で34%、ガンで13%も低いという結果になりました。緑地が大気汚染等を低減する効果があることは過去の研究からも明らかになっていますので、これらの結果は特段驚くべきことではありません。

この調査ではもう少し踏み込んだ考え方がされており、緑地の多さとメンタルヘルスの関係性にも言及しています。自宅に庭がある、近隣に公園や緑地などがある、といった環境のもとで生活していると、たとえば庭に植物を植えようとか、公園に散歩に出かけようとか、体を積極的に動かすきっかけができます。植物を植えたり、散歩をしたりといった行動は、その過程の中で人に話しかけたり、話しかけられたりする機会が増えますので、人とのつながりが広がり、社交性がアップすると言われています。そして、それがさらにどこにつながっていくのかというと、メンタルヘルスの改善になるのです。

つまり、緑地の効果というのは、体を動かすという身体的メリットにとどまらず、その先にはメンタル的な効果までも期待できる、ということになります。

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では、心と体を健康に保って長生きするためには、緑地に囲まれたどこかに引っ越さなければいけないのか?と思うかもしれませんが、決してそういうことではありません。たとえ都市部に住んでいるとしても、近隣の小さな公園に散歩に出かければ、それだけでも十分、心と体の健康の促進になるそうです。

ただ、調査結果のなかでは、たくさんの自然に囲まれれば囲まれるほど、気持ちの落ち込みや不安な気持ち、また、ストレスレベルを低く保ち続けることが可能であるとしていますので、緑のなかに積極的に入っていくことは重要なポイントかもしれませんね。

今回ご紹介している調査の対象者は、全員が女性看護師だったということもあり、この先まだまだ調査対象を広げての研究が必要だとされていますが、それでも自然が人に与えるメリットは十分に説明できる内容と言えるのではないでしょうか。

外出をおっくうに感じることもあるかもしれませんが、屋内にとどまってばかりではいけませんね。ちょっと外に出て、緑のある場所を探して歩いてみましょう。季節によって異なるさまざまな雰囲気を自然のなかで感じ、心と体を積極的に健康へと導いてあげてはいかがでしょうか。

《参考URL》
Living Near Green Spaces Helps You Live Longer, New Study Shows|NBC NEWS
MAGGIE FOX(意訳:菊地薫)

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