北海道の冬は長く、12月から4月まで冷たい雪に閉ざされています。「夏に自然公園で見つけた動物たちは、どう過ごしているのだろう」そう気になっていると、札幌市内の野外教育機関が、ガイド付きのスノーシューツアーを行っているとのこと。参加してきました。

初めての野鳥観察

札幌市南区にある「札幌市北方自然教育園」は、自然豊かな南区白川の環境を生かした野外教育施設です。
5ヘクタールの敷地内には水田や果樹園があり、小学生への農業体験や、コオロギなどの教材提供を行っています。

今回の企画は、大人に向けた「初めての野鳥観察」で、スノーシューで散策しながら野鳥を観察するというノンビリした散歩です。定員10名のところ参加者は7名。その名のとおり、野鳥ビギナーの方が集まりました。

森の息吹を感じる

まずは簡単なレクチャーを受けた後、スノーシューを履いて森に向かいます。スノーシューは、スノーハイキングには欠かせない道具で、これを装着するとフカフカの雪の上を簡単に歩くことができます。かかとを固定しないので普通に歩くことができるため、とても使いやすいのが特徴です。

夏には気づかなかった動物たちの息吹を、雪の上に残された足跡で感じることができます。この森には「アニマル・トラッキング」と呼ばれる動物たちの足跡が無数に見られました。キタキツネは、ほぼ直線的な足跡を残し、エゾリスやウサギは前は大きく並列に、後ろは小さく直列に足跡を残します。こうした違いを知っておくと、どんな動物が通ったのか想像することができます。

自然の一部になり耳を澄ます

森の奥からカタカタという音が聞こえてきました。目を凝らすと遠くにクマゲラが木を突く姿が見えます。葉っぱが落ちた冬は、鳥の姿が見えやすくなる一方、鳥から人も見えやすくなることから警戒され、なかなか近づくことができません。

野鳥に逢いたければ人間が気配を消すこと。鳴き声がしたら動き回らずに根気強く針葉樹を目で追います。すると「ヒガラ」が舞い降りてきました。小さなエプロンをつけたような模様が特徴的で、沖縄を除く日本全土に生息し、木の枝で「ツピン ツピン ツピン」とさえずります。

森の中をよく観察すると様々な生命が息づいている。しかしそれは、意識を集中させないと気づくことができない。約1時間半のトレッキングコースでしたが、冬の動物の生態を知ることができました。

森を楽しむための感受性

トレッキングを終えて移動していると、林の中で何か動くものを発見しました。車を止めて見上げると、5頭ほどのエゾシカの群れを発見。私を見つけると警戒したように奇声をあげ、沢を駆け上っていきます。しかし中には好奇心旺盛な鹿がいて、写真を撮るのをじっとみています。「森を楽しむための感受性」を身につけなければ出会えない瞬間に立ち会うことができました。

森を楽しむためには、自らも森の一部になることです。気配を消していると、動物たちが安心して姿を見せます。焦らず急がず、穏やかに。自然の育みを感じに行きませんか?

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