北国の冬の楽しみといえばワカサギ釣り。厚い氷に穴を開けてのフィッシングは寒い地方だけの特権です。調べてみると、家から1時間程度の場所に最適な場所があると判明。長年の憧れだったワカサギ釣りにチャレンジしてみました。

釣り師も太鼓判の水質

今回訪れたのは、空知郡三笠市にある桂沢湖です。三笠市は炭鉱で栄えた街ですが、今はパッとした基幹産業もなく、寂れた印象が否めません。空知支庁の中心である岩見沢市に隣接する地区は大型商業施設などもありますが、山奥に進むに従って人口が希薄になります。桂沢湖周辺に至っては、まったく人気がなく静まり返っています。

桂沢湖を簡単に紹介すると、自然の湖ではなく川をせき止められたダムの一部である人造湖です。その水は、かんがい用水や飲料水に使われていることからもわかる通り清らか。その水の中に棲んでいる魚たちは沼や池と異なり臭みがなく、とても美味しいといわれています。

札幌近郊では同じ空知管内の新篠津村でのワカサギ釣りが有名ですが、釣り師にいわせると桂沢湖の方が格別に美味いそうです。期待を胸に秘めアクセルを踏み込み、一路桂沢湖を目指しました。

いざ釣り場へ

桂沢湖のワカサギ釣りは三笠市が管理し、300円を払ってすでに穴があけられている場所で釣ります。以前は自分で穴を開けることもできたそうですが、安全確保のためか2017年より禁止されているようです。もっとも50㎝ほどもある氷にドリルで穴を開けるのは至難の業。すでに開けられているとは願ったり叶ったりです。

雪中の釣り場(筆者撮影)

道具やエサなどは1200円でレンタルすることができますが、購入しても1700円。500円程度の違いならと思い購入しました。ただし全国ネットの釣具店やホームセンターで購入した方がレンタルよりも安く済みます。そうした店で買って行った方がいいですね。(※最新情報は三笠市のホームページでご確認下さい。)

平日ということもあり、釣り場を訪れていたのは4、5名程度。湖に開けられた穴は板でふさがれ、好きな場所を選べます。板をよけると湖底に続く穴が現れます。

大自然の中で糸を垂れる

あたりを見渡すと、キタキツネらしき足跡が彼方まで続いています。とても暖かく、時折「バキバキ」という氷が動く音が聞こえて驚かされます。今年は雪が少なく気温も高いので、春の訪れは早いかも知れません。

キツネの足跡(筆者撮影)

糸を垂れると早速ヒット!桂沢湖のワカサギは、メダカを少し大きくしたサイズで小ぶり。ちょっとやそっとでは、夕飯どころか酒のつまみにもなりません。水面をのぞくとウヨウヨと泳いでいます。強いアタリがあり竿を引くと、2匹のワカサギが引っかかっていました。

最終的に64匹を釣り上げました。達人はわずかな時間で200匹も釣り上げたとか。コツはエサを小さく刻むことと、ワタを出して針につけること。竿は氷面に置いて固定すると、微妙な食いつきが分かるため、アタリを出しやすいとのことでした。

獲れたワカサギ(筆者撮影)

釣りの後のお楽しみ

凍えた体は、桂沢湖の近くの温泉で回復します。釣りに夢中で気になりませんでしたが、長い時間座っていたせいや、冷たい水に浸かっていたせいで腰や手が冷え冷え。温泉に入るとジュワーっと体が解凍されました。

釣ったワカサギは天ぷらでいただきます。新鮮で甘みがありとても美味。それと同時に「生命をいただいている」実感もありました。エサの命、それを食べたワカサギの命。たくさんの命の犠牲のもとに、自分が生きさせてもらっている。「いただきます」という言葉は、単なる挨拶ではなく、感謝の言葉であることを痛感しました。

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