みなさんは「森」と聞いて何を連想されますか?

“大自然” “手つかず” “人里離れた” などなど、色々なキーワードが頭に浮かんでくることかと思います。そんな森の中で、今回、私がご紹介するのが森に生きる「樹木」。その中でも、樹齢数百年から千年にまでおよぶ「巨木」たちのご紹介です。 

緑したたる木立の中、圧倒的存在感を示す森の重鎮

私の住む伊豆半島にはたくさんの山や森があり、標高や山域によって色々な植生を見ることができます。背の高いものや低いもの、きれいな花をたくさん咲かせるものや、甘くておいしい実をつけるものなど様々です。今回は、そんな伊豆の山々にあって、ひときわ存在感を示し、まるで森の重鎮のごとく君臨する二本の「巨木」をご紹介したいと思います。

伊豆半島のほぼ中央に位置し、古くから温泉場としても知られる修善寺(現・伊豆市)。そこからバスやタクシーに揺られることと約50分、「道の駅・天城越え」で車を降ります。

ここは昭和5年(1930年)、昭和天皇が天城の八丁池に行幸されたこともあり、天皇在位50周年の節目にあたる昭和53年(1978年)に「昭和の森会館」が設立されました。ここを中心に、天城の豊かな原生林を生かした「天城山昭和の森自然休養林」が整備されており、「森林浴の森日本百選」のひとつにも選ばれているのです。

ここ昭和の森会館を起点に南の方角へ少し歩きはじめると、透き通るほど清らかな水が流れる「滑沢(なめさわ)渓谷」がみえてきます。ここは作家・井上靖の処女小説「猟銃」の舞台となった場所でもあり、ほぼ川に沿って遊歩道が整備されていて、急峻な流れが安山岩の上を通ることにより表面が滑らかに削られ、まるで川の水が石の滑り台を滑っていくかのように流れていきます。
そして伊豆半島の真ん中を貫く狩野川の源流・本谷川と、その支流の滑沢川との合流地点には、あたかも竜が体をくねらせたような岩肌の「五竜の滝(別名:竜姿の滝)」があり、ここからさらに渓流沿いの遊歩道をたどることおよそ30分、今回ご紹介する巨木、天然記念物の「太郎杉」が姿を現します。

太郎杉(筆者撮影)

この「太郎杉」ですが、伊豆半島に存在する樹木の中では最も大きく、その樹高はおよそ53m、幹周りは1360cm、樹齢は推定450年の、とても大きくそして古い杉の巨木です。現在は保護のため、根元付近に柵が張られ近寄れないようになってしまいましたが、以前は近寄って一周することができ、その大きさや迫力をさらに身近に実感することができました。

そしてもう一つご紹介する伊豆半島の巨木です。

太郎杉と同じく杉の巨木ですが、その名を「シラヌタの大杉」といいます。

シラヌタの大杉 photo by 東伊豆町

先程の太郎杉に比べれば、樹高45m、幹周り816cmと少し小柄ではありますが、なんと言ってもすごいのがその樹齢です。推定1000年!平安時代の太古から生き続けている恐るべき長寿の巨木なのです。

そしてこの「シラヌタの大杉」の木肌には、長年の風雪や自然災害に耐え生き抜いて来ただけあって、人間でいう“しわ”のごとく、縦横無尽にたくさんの筋が走っているのです。この“しわ”一本一本にも、長年の歴史が刻まれているといった感じがします。

悠久の時を経て立ち続ける「森の巨人」たち!

1000年以上もの太古より、微動だにせずじっと立ち続けているこれらの巨木。こうしたひときわ大きな樹木を目の前にすると、人間をはるかに凌ぐその寿命(樹命)と圧倒的な大きさのためか、思わず「巨人」を連想させられてしまいます。

ここ伊豆半島の天城に限らず、日本各地にはこのような「森の巨人」が至る所に存在します。

2000年に、林野庁が日本全国の国有林の中から直径1m以上の樹木や地域のシンボルになっている樹木を候補としてそのなかから百本を選定した森の巨人たち100選というサイトがあります。

photo by 東伊豆町

次世代への財産として残すべき「国民の森林」を選び、保護活動を進める事業の一環として選定されたそうでして、北は北海道から南は九州・沖縄まで、日本各地に存在する「森の巨人」たちをこのサイト内で確認することができます。

今度の休日、「森の巨人」たちに会いに行きませんか?

森の中でひときわ大きな存在感を示すこれらの巨木。
写真で見るのと実際にご自分の目で見るのとでは、必ずや感動が違うはずです!

あなたも今度の休日を利用して、「森の巨人」たちに会いに行ってみてはいかがでしょうか?

《参考URL》
森の巨人たち100選 | 林野庁HP
シラヌタの大杉(画像) | エコリゾートタウン東伊豆
ブナの大木 | 無料写真素材「花ざかりの森」

コメントを残す