みなさん、「シュカブラ」をご存知でしょうか?

ノルウェー語の「波(=skovla)」が語源と言われ、風が強く吹く雪山などで形成される波状の雪のかたまりを意味します。

日本の山用語では「雪紋(せつもん)」とか「風紋(ふうもん)」、「風雪紋(ふうせつもん)」などとも言われるようですが、文字通り「風が作り出す雪の紋様」とも言えます。

一つひとつ違う表情を見せるシュカブラ

その一つひとつ、どれをとっても違う表情を見せるシュカブラは、決して人工的に造りだすことができない、自然が造りだす芸術作品であり、また、二度と同じ形状ができることはない、まさしく唯一無二の存在なのです。

それぞれが個性に富んだものばかりであり、また、全てが大自然の成せる業と言えるのかもしれません。

富士山のシュカブラ(筆者撮影)

シュカブラができる条件とは

このように大自然が創り出す“雪の造形美”シュカブラですが、できるまでには色々な条件が揃わなければいけないようです。

ただ山に雪が積もり、風が吹いていればできるというものではなく、ある程度の‟強風″がなくてはなりません。要するに、雪を削り取る‟ノミ″の役目をする程度の風の力が必要なのです。

その一方で、あまりに強すぎて、積もった雪を吹き飛ばしてしまっては元も子もないので、あくまでも‟適度に″強い風が吹く場所でなければなりません。

そして、山頂付近のような急斜面にシュカブラはできにくく、比較的斜度の緩やかな場所にできやすいという特徴もあります。

また、毎年できる場所であっても、その年の降雪量が少なければできないなど、非常にデリケートな芸術作品であるともいえます。

私が夏のシーズンにガイドをしている富士山でも、冬になると非常に強い風が吹くため、八合目付近ではよくシュカブラを目にすることができます。

春の訪れとともにその形を少しずつ変えてゆくシュカブラ

このような大自然が創り出すオブジェも、春の訪れとともにその様相を少しずつ変えてゆきます。

春先のシュカブラは、気温の上昇と共に徐々に溶けはじめ、またしかし、雲ひとつない夜に起こる放射冷却によって、一旦溶けかけた雪が、今度は氷となって固まり、日中とはまた別の表情を見せるのです。

しかし、その芸術作品も、次第に上昇してゆく気温と共に、いつしかその姿を消してゆきます…

photo by sada

大自然の創り出す芸術作品、雪の造形美である「シュカブラ」ですが、みなさんがお住いの近くの山でも見られる所はあると思いますので、是非、見に行ってみてはいかがでしょうか?

ただし、シュカブラを見るのに入館料は不要ですが、雪山を登ることは非常に危険を伴います。
熟達した方とご一緒に、入念な準備と計画を立ててお出かけくださいますよう、くれぐれもお願いいたします!

<参考URL>
フォト蔵|シュカブラ(谷川岳)cool_woodman

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