毎年春先になると必ず聞く、「紫外線対策をしましょう!」という言葉。確かに、紫外線の浴び過ぎは、日焼けや皮膚病の原因になると言われており、春先から夏にかけては紫外線対策に気を付ける必要はあります。

しかし、言うまでもなく太陽の光は、私たち人間の生活や植物の光合成に必須であり、何日も光を浴びないと、気分や体調がすぐれないといった不調を感じることもあります。今回は、太陽の光が私たち人間にもたらすメリットについて、「The Benefits of Natural Light」を参考に考えてみましょう。

サーカディアンリズムとの関係

サーカディアンリズムという言葉をご存知でしょうか?通常、人の体は24時間を1つの周期として活動しており、朝に目を覚まし、夜になると自然と眠くなります。いわゆる体内時計が働いている状態なのです。

しかし、この体内時計、普通に生活していても乱れることがあり、さらに現代人はストレスやさまざまな要因により、この24時間周期が大きく乱れることが多くあります。このリズムを調整してくれるのが、太陽の光。適切に光を浴びることにより、乱れてしまった体内時計を自動調節してくれるそうですよ。

太陽光と人間のパフォーマンス

太陽の光と人間の生産性の関係を調査した研究があります。1999年および2002年に、建物内の採光と人間のパフォーマンスを調査/研究したことがありました。調査結果によると、とある小売販売業における売上高の増加には5つの要因が関係しており、その要因の3つ目として、採光用の窓の存在が重要だったと言います。

また、過去には学校の教室内の採光を増やしたところ、テストスコアが改善したという調査もありました。ただし、この調査に関しては、太陽光の増加と学校の成績の関係性を断定するには時期尚早との意見が出たことから、継続的な研究が必要とされているようです。しかし、過去に行われた多くの研究において、太陽光の存在が人の満足度、気分、生産性を向上する可能性を示唆していますので、プラスに働く存在であることは間違いないと思われます。

生活の9割は屋内に

米国環境保護庁(EPA)によると、現代人は生活の90%以上を屋内で費やしているそうです。ご自身の生活パターンを考えてみると、通勤や通学の時間以外、屋外に出ていないことに気付かされる方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

太陽光は、人に精神的な刺激や視覚的刺激を与えてくれることが研究者たちからも報告されているそうで、こういった刺激が健康的な生活の一端を担っていると言われています。それゆえに、日中の多くを過ごす自宅や職場等の居住空間における太陽光の存在はとても重要なのです。とは言え、窓のない職場に窓を作ることは一個人の力ではどうにもなりませんから、休日は少しでも外に出て、太陽の光を浴びることが大切になりますね。

近年は在宅勤務も増加し、これまで以上に外に出る機会が減っています。皆さまも、太陽光という自然の恵みを、適度に浴びることを心がけてみてはいかがでしょうか。

《参考URL》
The Benefits of Natural Light|Architectural Lighting
Kevin Van Den Wymelenberg(意訳:菊地薫)

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