渡り鳥であるマガンは、ロシア極東で繁殖して日本で越冬します。北海道・美唄市にある「宮島沼」は、わずか30haほどの沼に最大70万羽以上ものマガンが集まる日本最大の寄留地です。春は4月上旬に飛来してわずかな休憩を取り、下旬にはオホーツク海を越えて、繁殖地となる北極圏へ向かいます。その距離は約4000㎞。とても長い旅なのです。

早朝の「ねぐら立ち」に羽音が轟く

マガンを観察できる期間はとても短いため、その姿を一目見ようと多くのネイチャリストや、プロ・アマを問わずカメラマンが押し寄せます。ベストショットを狙うなら、餌場を求めて一斉に飛び立つ朝4時ごろの「ねぐら立ち」が最適。地鳴りのような7万羽の羽ばたきに目を見張ることでしょう。

早起きが苦手なら「ねぐら入り」を見に行こう

札幌から宮島沼までは、一般道を使って1時間ちょっと。何度か「ねぐら立ち」を見ようと試みましたが、深夜とも早朝ともつかない時間に起きるのは難しく、マガンが沼に戻ってくる日の入りの「ねぐら入り」を見に行くことにしました。

マガンの群れ|筆者撮影

宮島沼は日本で13番目にラムサール条約に登録された水鳥の保護区です。日本でラムサール条約に登録された場所は、全国に50か所ありますが、そのうち13か所を北海道が占めています。宮島沼は一部の愛好家だけに知られた存在でしたが、最近ではすっかり有名になり、平日でもカメラを持った人がたくさん訪れるようになりました。

朝に沼を飛び立ったマガンは、近くの田畑で餌をついばみ、天気がよいと昼頃に沼に戻って一旦休憩、午後から再び餌を探して大空に飛び立ちます。餌場は近くの水田で、落ち穂などを食べています。

宮島沼の悲しい出来事

宮島沼には忘れてはならない事件があります。1989年~90年にかけて、水鳥が鉛中毒で大量死するという事態が発生したのです。原因はカモ撃ちに使われた鉛散弾。水鳥は食べ物の消化のために砂利を飲み込む習性があり、そのため鉛散弾を誤飲したと考えられています。現在被害に遭う件数は減少しましたが、できるなら“減少”ではなくゼロになってほしいものです。

夕暮れから始まるフライトショー

ねぐら入りは日の入りから始まります。小~大集団の編隊が、どこからともなく飛来してきました。渡り鳥がV字に編隊を組むのは、気流をうまく利用して体力の負担を減らすためといわれています。

リーダーに従って一糸乱れず飛んでいるように見えますが、リーダーなどは存在せず、後続は先頭について行っているだけといわれています。ちなみに負担の大きな先頭は時々交代するようです。

ねぐら入り前のマガン|筆者撮影

次に会う頃には...

18時をピークに、約7万羽ものマガンがねぐらに戻りました。北へ向かう長い旅は、まだまだ続きます。次に会うことが出来る9月頃には、ヒナが生まれ、新しい家族を連れて戻ってくることでしょう。空を埋め尽くすマガンの群れに会いに行ってみませんか?

 

フリーライター&フォトグラファー
運動神経が鈍いためスポーツは苦手ながら、アクティブに動くのは大好きなマルチライター。「自然をリスペクトする」をポリシーとし、夏はキャンプやツーリング、冬はスノーバイクなど、誰でもできるレクリェーションをチープに楽しんでいます。

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