【島の人】
『御蔵島の人』は、東京都認定ガイドの栗本さん。島生まれ、島育ち。八丈島でお世話になった山岳ガイドの島田さんが師匠と呼ぶお方。空いた時間は釣りをしていることが多いらしく御蔵島の山と海、そして島の文化にも詳しいベテランのガイドさん。

東京都認定ガイドの栗本さん

早速、宿でドローンの撮影ポイントや御蔵島らしさを感じられる場所など打ち合わせ。
御蔵島はエコツーリズムを導入しており、ガイドさん無しではいけない場所も多い。また一人のガイドが連れて行ける人数も制限されており、貴重な自然を守る仕組みが作られている。詳しくは御蔵島観光協会のwebサイトから。
滞在期間中の天候やスケジュールを考慮してまずは黒崎高尾方面へ行くことに。栗本さんの車に撮影機材を積み込み、いざ出発。

【草祀りの神様】
目的地に向かう途中、ふと車が止まる。「ここで安全祈願をしていきましょう」と栗本さん。目線の先には小さな鳥居が。

ひっそりとたたずむ小さな鳥居

草祀りの神様と言って、入山する前に安全祈願をするそう。近くにある葉っぱを拾って、飛ばないように石の下に敷く。帰ってきたらその葉っぱをどかす。そうすることで山に何人が入っているのか、帰って来ていない人はいないかどうかがわかる。昔、山で遭難する人がいた時の風習で今となっては本来の目的よりも観光用の意味合いが強い。それでもこうして残っているところに昔から人が住んでいた島だと思わせる歴史を感じる。

【えびね公園から黒崎の展望台へ】
えびね公園に車を止め、そこから黒崎の展望台へ歩いて行く。
展望台へ向かう道には稲荷神社本殿へ向かう道もある。ちなみに本殿へは年に一度8月にお参りに行く風習がある。それに合わせて8月の第1週の土日にはお祭りがあり、白木作りの暴れ神輿が練り歩く。
こ、これは行きたい!しかしこの御蔵島はキャンプが禁止なので宿泊は民宿になる。そして祭りの時期は民宿が休みだったり、親戚が来たりで予約が取れない。。一体どうすりゃいいんですかw

取材の始まりはこちらから

そんなモヤモヤを抱えつつ、薄曇りの中、歩いて行く。道中には島の名産品でもあるツゲの木を運ぶためのレールが敷かれている。国立公園に指定されたこともあり、ツゲは植栽以外の天然のものは取れなくなった。成長が遅いツゲは今はおじいちゃんおばあちゃんの代が植えたものを利用している。そして今植栽しているものは自分たちが使うものではなく孫の代でやっと使えるようになる。
自然に合わせて人と自然が共生する御蔵島らしさを垣間見る。

ツゲを運ぶためのレール

展望台からは一面の海が広がる。天気が良ければ遠く八丈島まで見えるそう。この日はというと。。厚い雲はバッチリ見えた!たまらんなぁ、このモクモク。ポジティブにいきましょう。それがネイチャーw

黒崎の展望台

【伊奈佐のオオジイ】
「午後からはまた別のドローンポイントに行きましょう」とのことで引き続き栗本さんのガイドで今度は島の東側を車で回る。道中、都道沿いで見られる一番大きいシイの木が。大きすぎて写真に入りきらない。

人と比べると大きさがわかるオオジイ

どれくらいの年月をかけてここまで大きくなったのか。気の遠くなるような時間に思いをはせて、ついつい瞑想してしまうwちなみにこの伊奈佐のオオジイ、内部に巨大な穴が空いていて内側から外を眺めることも可能。

内部から見上げる

さながらラピュタ。もしかしたらこの穴からシータが顔を出して飛行石を渡してくるかもしれない。その時は守りましょう、シータを。そして民を。

【オオミズナギドリ:通称カツオドリ】
御蔵島を語る上ではずせないのがこの愛くるしいカツオドリ。御蔵島はカツオドリ世界最大の繁殖地。そもそもなぜ島の人はこの鳥をカツオドリと呼ぶのかと聞いてみると「カツオと同じものを食べるので、海でこの鳥がいるところにはカツオもいることからこの通称になった」と栗本さん。

調査用なのか捕獲されているカツオドリ

カツオドリの糞はミネラルを含み、森の生態系にも一役買っている。さらに、周りを海で囲まれた島の人たちにとって貴重なタンパク源だったそうで特にひなが美味しいらしい。自然にとっても、人にとっても欠かせない鳥だが、近年増え続ける野猫によって数がどんどん減っている。野猫が年間で2万羽ほど食べてしまうので、猫の避妊手術や飼い主募集をしているがまだまだ状況は良くないそうだ。

【御代ヶ池(みよがいけ)】
こちらも御蔵島のビュースポットの一つ。島の南東にある御蔵島に唯一ある池で5000年以上前に起きた噴火の際に出来たとされる。
コースの入り口でドローン撮影を行なっている間に地上班は奥へ奥へと。

道中は濃い緑に囲まれた道が続きます

足元は苔が生えている場所も多く滑りやすい。アップダウンのある森の中をひたすら歩く。駐車場のあたりはひんやりしていたので着込んで行ったら早速後悔。脱ぎ着しやすい服装と滑りにくい靴は必須。

静寂に包まれた御代ヶ池(みよがいけ)

駐車場から30~40分程度で開けた場所に到着。『新東京百景』に選ばれている場所だけある。どんなにメディアに紹介されても、写真や動画だけを見たとしても自分の足でいかなければそこは永遠にフロンティア(未開拓地)。イルカに会う目的で御蔵島に来てたとしても、半日で行って帰ってこれる場所なので行かないともったいない。そんなスポットが御蔵島には数カ所あるのでぜひガイドさんと相談して足を運んで欲しい。

今回は日中行ったけれど、ガイドさんのお勧めは霧がかった早朝。神秘的な雰囲気で特に女性のお客さんに人気らしい。ただ、この濃い緑の中を歩くのも捨てがたいので気になる方は朝と日中に2回行くことをオススメする。

【巨樹と生活の跡が残る南郷】
午後からはドローンの撮影スポットを求めて南郷エリアへ。今は住んでいる人はいないが、第二の集落があった場所。木々が豊富でかつては炭焼きを商売としていたそうで、村まで3時間と不便というか大変な場所だが炭焼きの収入で裕福な人が多かったらしい。

かつて人が暮らしていた建物

「戦後にヒッピーが住みついて自給自足生活をしていたこともあった(栗本さん)」。
道路が出来て様子は変わってしまったが一部建物も残っているこのエリアには確かに人が生活していた形跡が残っている。

【イルカだけじゃない御蔵島】
ガイドさん無しでいけないところがあったり、人数制限があったりでルールに厳しい島だと思うかもしれない。実際、雨上がりに山に行こうとしたら道を傷めるのでやめておきなさいと言われたこともある。(もちろん滑りやすいので危ないという理由もある。)
それは裏を返せばそれだけのことをしても守るべきものがあるということ。

御蔵島は人々が生活する場所を除くとほとんどが森になっている。そしてそこには貴重な動植物、自然に合わせ、時代に合わせ生きてきた人たちの歴史がある。

イルカと泳いだ後に宿でゆっくりするのもいいだろう。でもせっかくなら山の方にも行ってもらいたい。
海と山、自然と共生する御蔵島を楽しむにはどちらもはずせない。

NATURES. 編集部 キュレーター カメラとネイチャーを愛するフリーのweb屋。隙を見つけては自然の中に出かけてます。特に山とキャンプは大好物。旅するように生きていくをモットーに、面白そうな場所を日々模索中。

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