前回、ワーケーションがもたらす変化~働き方改革で仕事も休暇も変わる~にて、ワーケーションが生まれた背景やワーケーションという働き方がリゾート地や旅にもたらす変化などを考えてみました。今回はその続きとして、ワーケーションの是非やアメリカの休暇取得に関わる現状などから、ワーケーションって実際どうなの?という点について考えてみたいと思います。

ワーケーションという曖昧さ

いつもとちょっと違う場所で仕事をして、終わり次第旅先の非日常感に浸り楽しむ。一見するとワーケーションっていいよね、となりますが、否定的な意見があることも確かです。

そもそも、ワーケーションという制度を認めるかどうかは企業の判断に委ねられています。ワーケーション中の仕事時間や仕事内容がきちんと制度化され、利用者のリフレッシュの手助けとなるものでなければまったく意味がありません。

そして、仮にきちんと制度化されていたとしても、「仕事と休暇の境界線が曖昧で休んだ気がしない」「仕事があると思うと心底楽しむことはできない」という意見もあります。また、旅先でも効率よく仕事をするためには、高速インターネットなどが整っている滞在先を選択しなければならず、少なからず制約があるという点からもワーケーションを否定的にとらえる向きもあります。

休暇が取りにくい現状

ここで少し休暇取得率についてこちらのデータを参考にアメリカの現状を見てみましょう。アメリカのGlassdoor(ジョブ検索サイト)の調査(2017年)によりますと、過去12か月に休暇や有給休暇を取得したのはおおよそ半数(54%)しかおらず、これは調査を開始した2014年の51%とほぼ同じで、横ばい状態が続いているそうです。

また、このうち休暇中に仕事をしている人の割合は、3年前には61%だったものが、2017年の段階では66%にまで増加しています。長期休暇を問題なく取得できるのがベストであり、さらに休暇に仕事を持ち込まずに済むのであればそれに越したことはありません。しかし、それがどうしてもできない人たちが増え続けているのです。

ワーケーションがなければ休暇が取れない現実

上記の調査結果からもわかる通り、休暇取得のハードルはやや高く、仮に取ったとしても仕事から完全に離れることが難しいのが現状です。特に、電話やメールで連絡がつかない日があると仕事に支障をきたすポジションにいる人、そのなかでも中小企業の経営者にとっては、ワーケーションは受け入れやすく歓迎される傾向にあるようです。

ただし、ワーケーションという働き方を浸透させるには、コワーキングスペースなどの仕事場(特に高速インターネットは必須!!)が日本全国、世界各地で整う必要があります。そういった条件がクリアされれば、長期休暇なんて夢のまた夢という人たちにとっても働き方の選択肢が一つ増えることになるのではないでしょうか。

また、ワーケーションに限らず新しい働き方がどんどん出てくれば、家族との時間やリフレッシュのための休暇が取りやすくなり、短期的にも長期的にも生産性の向上やモチベーションの維持につながっていくことが考えられます。

こちらの記事に、実際にワーケーションを活用して帰省しているという女性の話しが載っていました。彼女は、毎年夏になると実家の家族に会うために、6歳の娘を連れて1か月間帰省するそうです。バケーションの始めと終わりの数日間は仕事をお休みにし、それ以外の時は近くのコワーキングスペースを利用して仕事をしているそうです。

自分の実家で家族と過ごせるリラックス感からでしょうか、彼女によるとワーケーションは精神状態に非常に大きな変化をもたらしてくれるとのことでした。たとえ仕事から完全に離れることはできなくとも、行きたい場所や好きな場所で仕事をし、終わったらすぐにリラックスできる空間に浸れるというのは精神衛生上とても良いことだと感じているようです。

どのような働き方にも善し悪しがあり、歓迎する人もいれば歓迎しない人もいます。ですが、働き方の選択肢の1つとして、ワーケーションという制度はあっても良いのかなと思います。これをお読みいただいている皆さまの働いている環境も千差万別だと思いますが、いかがお感じになりましたでしょうか?

さて、次回は「コワーキングスペースの活用が新しい働き方の鍵となる~働き方改革で仕事も休暇も変わる~」と題して、”コワーキングスペース”という部分に焦点を当ててご紹介していきたいと思います。

《参考URL》
‘Workations’ blur line between jobs and time off|BOSTON GLOBE
Katie Johnston
GLASSDOOR SURVEY FINDS AMERICANS FORFEIT HALF OF THEIR EARNED VACATION/PAID TIME OFF|Glassdoor
(意訳:菊地薫)

Natures.編集部より

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