世界中で拡がりを見せるコワーキングスペース。個人単位で利用できるものから、企業単位でも利用可能な「WeWork」のようなタイプまで、用途に合わせてさまざまなものが存在します。

今回は、数あるコワーキングスペースのなかから、最近「エル・エル・ビーン(L.L.Bean)」が設置した、アウトドア型タイプのワークスペースをこちらの記事からご紹介したいと思います。実験的な意味も含めてアメリカの都市数カ所で設置したようですが、なぜ屋外を選んだのか、どのような意図があったのか、そんなところも含めてご紹介しましょう。

アウトドアのようなワークスペース

アウトドア用品のメーカーとしてよく知られるエル・エル・ビーン。そんなアウトドアを知り尽くす同社が設置したアウトドアタイプのコワーキングスペースはとても魅力的。緑豊かな公園の中に、新鮮な空気を吸ったり、緑を見たりしながら仕事ができるガラス張りのワークスペースを設置し、まるでアウトドアに来たかのような環境を作り上げました。

これらは、コワーキングスペースを運営する「インダストリアス(Industrious)」という企業と共同で行われ、2018年6月下旬から7月にかけて、ニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、マディソン(ウィスコンシン州)といったアメリカの主要都市を数日ずつ周りワークスペースを設置しました。

今回の試みは、ワークスペース用に施設を建てたというわけではないようで、「アウトドアを楽しむがごとく屋外で働いてみたらどうだろうか?」といった試験的な感じで屋外にワークスペースが開設されたようです。

もちろん、Wi-Fiや電源といった仕事をする環境は完備され、個人および会議用のワークスペースも設けられました。また、屋根も壁もない、単にイスや机だけを置いたミーティングスペースもあり、自然を存分に感じられるようになっています。

その他にもおもしろい試みとして、テーブルとイスを置いた足元に自転車のペダルが設置されており、仕事をしながら運動もするというスペースもあったようです。(ご興味のある方は下記動画をご覧ください!)

外に出ることの大切さに気付いて欲しい

エル・エル・ビーンとインダストリアスの調査によると、22歳から65歳のアメリカ人労働者は、生活の95%を屋内で過ごすと言われており、そのうちの半分が仕事に関連する時間だそうです。また、調査回答者の86%が就業時間内に屋外で過ごす時間が欲しいと答えており、その理由として、気分を高め、ストレスレベルを下げてくれることを挙げています。

記事では、The Healthy Workplaceの著者、Leigh Stringer氏(職場環境を考える専門家)の言葉を紹介しており、「人は人工的に作られた環境より自然の中にいることが望ましい。それなのに、なぜ外で働くという概念を採用しないんだ?」という言葉を引用していました。

オフィス内で働く労働者にとって、屋内にいるのは当たり前のことと誰もが考えます。しかし、エル・エル・ビーンは、Leigh Stringer氏の言葉のように、就業時間内であってもオフィスの外に出ることを勧め、屋内に閉じこもるしかない就業環境を変えたかったようです。

それが結果的に、生産性を高め、よりクリエイティブに、そして幸福感をもたらすことにつながるということを実際に体験してもらい、外に出る大切さに気付いて欲しいという想いが今回のワークスペース開設につながっていきました。

ただでさえ休日にも屋内に閉じこもりがちな現代、外に出た方が良いと頭ではわかってはいても実行に移せない人たちにとっては、「こんなに良いものなのか!」と感じる良い機会になったのではないでしょうか。

Nature Serviceでも、先日のニュースリリースでお知らせした通り、自然を活用したワークスペース、「信濃町ノマドワークセンター(Nomad Work Center)」を2019年に開設します。

自然との触れ合いが遠いものになりつつあると実感していらっしゃるオフィスワーカーの皆さま、これを機に「コワーキングスペースと自然」という新しい組み合わせにぜひご興味をお持ちいただけると嬉しいです!

《参考URL》
LL Bean Just Opened The First Outdoor Coworking Space|Apartment Therapy
Melissa Massello
L.L. Bean Created a Fully-Functional Outdoor Office and Is Taking It On Tour Around the US|ADWEEK
Gabriel Beltrone
(意訳:菊地薫)

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