北海道随一のネイチャースポット「知床半島」。長さ約70㎞、斜里郡斜里町と目梨郡羅臼町にまたがる半島は、1964年に知床国立公園に指定され、2005年にはユネスコの世界遺産に登録されました。登録当時は観光客でごった返し、地元観光業者は嬉しい悲鳴を上げる一方で、「たくさん人が訪れることで、知床の自然が荒らされるのではないか」という心配もされましたが、関係者の方々の努力により、雄大な自然を後世に残せるよう管理されています。
知床半島が世界遺産に登録されたのは、なんといっても手つかずの大自然の素晴らしさ。陸にはヒグマやエゾシカ、キタキツネが闊歩し、海にはクジラやイルカ、シャチなどが悠々と泳ぎ、空にはオオワシやオジロワシが羽を広げるなど、世界でも有数の自然が残されているのです。
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大自然を堪能するには、道なき道を潜り抜け、知床岬を目指すのが一番ですが、海岸の岩壁にへばりついて渡ったり、ロープを使わないと登れない難所が山積しているので、かなりハード。しかも「♪クマさんに~出会った~」なんてことになれば、どうなってしまうかわかりません。安全に楽しく知床を堪能するには、ウトロ港から出港する観光船でクルーズするのが一番でしょう。
知床半島クルーズは、数社が実施しています。コースは知床岬コース(約3時間)、ヒグマの生息地へ向かうヒグマウォッチングコース(約2時間)、途中の硫黄島までの硫黄島コース(約1時間30分)など。大型船や小型クルーザーなど、会社によって運航している船が異なり、大型船は揺れにくく、小型クルーザーは波しぶきを被ったり、断崖絶壁に近寄れるので迫力があります。知床を堪能したい私は、迷わず小型クルーザーで行く知床岬コースを選びました。
朝10時、一斉に観光船が出港します。その姿はまるでマグロの大群を追う一本釣り漁船のよう。知床半島の海岸線は断崖絶壁になっていて、大小さまざまな滝が海にめがけて水を放出しています。カムイワッカの滝は、陸上から行くことができますが、その裏側では海に落ちています。滝の成分が温泉のため、冬でも凍ることなく流氷に注がれるそうです。
船長がヒグマを発見し、クルーザーを岸に近づけます。この小回りの良さがいいですね。洋上では、イルカが並走して泳ぐ姿を見ることができました。時期によってはシャチやマッコウクジラなども見られるらしいのですが、残念ながらこの日は出現せず。次回は時期を変えてチャレンジしたいと思いました。
クルージングで、しっかりとアウトドアを満喫しました。しぶきで濡れるのでレインコートは必需品。遠くの動物たちを見るのに双眼鏡も用意して行った方がいいですね。ぜひ、「これが世界遺産だ!」という光景を、その目に焼き付けてください。
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フリー素材 | 知床斜里町観光協会
フリーライター&フォトグラファー
運動神経が鈍いためスポーツは苦手ながら、アクティブに動くのは大好きなマルチライター。「自然をリスペクトする」をポリシーとし、夏はキャンプやツーリング、冬はスノーバイクなど、誰でもできるレクリェーションをチープに楽しんでいます。