みなさんは“ツェルト”を存知でしょうか?

正式名称を“ツェルトザック”(Zeltsack)といい、ドイツ語で“テント”を表す言葉が語源で、日本では転じて〝超小型の軽量簡易テント″のことを指してそう呼びます。

非常に小型かつ軽量で、小さく折りたたみスタッフバッグに収納すれば、大きさ・重さ共に350mlの缶ビール程度になる非常にコンパクトなテントなのです。

折りたたむと缶ビールほどの大きさに | 筆者撮影

こんな小型テント“ツェルト”ですが、山へ行った時などの予期せぬ天候の変化や道迷いなどにより、やむを得ずビバーク(=緊急事態の野宿)を余儀なくされた時などに、有るのと無いのとでは生死を分けることすらあるくらい、非常にありがた~い登山アイテムなのです。

そのため私の所属する「日本山岳ガイド協会」では、ガイドの必携品として携行が義務付けられている一品でもあります。
みなさんも山へ行かれる際は、万が一の時のためにも、是非、携行することをおすすめ致します。

しかし、「万が一の時にだけしか使わないのはもったいない!」と思っている私は、日頃からこのツェルトを利用した山旅にちょくちょく出かけているのです。
忙しく長期の休暇が取れないけど、ちょっと山に行ってテント泊がしたい!
なんて時に、荷物を最小限にし、コンパクトかつ軽量化できるツェルトのお世話になることが多いのです。

以前、このツェルトと必要最低限の装備・水・食料をもって、東京都の奥多摩湖から長野県の野辺山(=約110km)までを一泊二日の山行に出かけたことがありました。
通常の装備に比べ非常に軽いこともあり、ツェルトのおかげで短い時間で有意義な山旅を満喫することができたのでした。

また、テントとしての利用だけではなく、ちょっとした休憩をとる時の風よけになったり、あるいは山での携帯トイレ使用時や着替え時の目隠しになったり、はたまた、ケガ人や病人が出たと時の担架になったりなどなど、色々な使い道がありますので何かと重宝しますよ!

担架としてツェルトを利用する様子 | 筆者撮影

気になるお値段ですが、ツェルトの価格はおよそ1万円から2万円程度のものが多く、通常の山岳用テントと比べても決して高いものではありませんので購入しやすいかも知れませんね。

しかし、ツェルトは通常のテントとは違い自立式ではないため、トレッキングポールやロープなどを利用し設営しなくてはなりません。

また、基本的に雨や寒さに対し、あまり強くないため、山行される際には天候のチェックや行かれる場所、時期の選定には十分にご注意ください。

八ヶ岳にて | 筆者撮影

山へ行かれる際に、是非、携行していただきたいツェルトですが、緊急時のためだけではもったいない!
日頃からもっとツェルトを活用して、気軽で身軽なテント泊を楽しんでみるのはいかがでしょうか?

コメントを残す