「野営の計画を立てているが場所はどこにしよう」「どこでやっても大丈夫なのかな?」「どういう場所が適しているのかな」いざ野営の計画に取り掛かると場所を決めるのに迷ってしまいますよね。

今回は前回の記事「テントを張った場所は自分だけの秘密基地!野営の魅力と注意点」の続編で野営の場所選びについて解説していきます。

私有地と共有地(国有地・公有地)

日本の土地は私有地と共有地(国有地・公有地)に分けられます。
私有地は個人の所有する土地なので無断で立ち入ってしまうと不法侵入となります。所有者から許可をいただいてその場所にテントを張りましょう。

共有地(国有地・公有地)は国や自治体の土地で、私有地と同じく許可があれば使用可能です。

山中でこのような看板を見かけることがあります。写真によると所有者は○○集落(白く加工した部分)とありますので、こういった場合は当該地域の役所・役場に問い合わせると情報をもらったり使用を許可していただいたりできそうですね。

しかし実際のところ、野営の候補地が私有地なのか共有地なのかをパッと見で見分けるのは非常に難しいのが現実です。
毎回このように私有地か共有地かを判別できればよいのですが、すべての場所でこの看板のような明示があるとは限りません。野営において場所の選定はひとつのハードルなのです。

使用許可の取り方

土地の所有者を特定できれば、あとは連絡を取り許可をいただくという流れです。まずはいくつか候補地をあげて市役所や役場に問い合わせてみると良いでしょう。

国有地の場合は国(所有者が市町村などの自治体の場合は当該自治体)に申請しますが、問題は私有地の場合。

市役所や役場ではその土地が私有地か共有地(国有地・公有地)かは分かりますが、個人情報ということで所有者の情報を教えてもらえない(一般に公開されている場合を除きます)ことがあり、その場合所有者に連絡を取るのは難しくなります。

これだけでも大変ですが、所有者に使用を断られてしまうことも当然起こり得ます。
山を所有している友人や知人がいれば話が早いのかもしれませんが、これはかなりのレアケースと言って良いでしょう。

SNSで情報収集

そこで頼りになるのが今まさに野営を楽しんでいるキャンパーさんたちの情報です。
インスタグラムやツイッター、フェイスブックなどのSNSやブログなどで情報収集ができます。
例えばインスタグラムでは「○○都道府県、市町村名 (スペース) 野営」で検索するとたくさんの投稿を見ることができます。

投稿者に質問をすれば返信をもらえることもありますので、信頼性の高い情報を得ることができます。
中には私有地の所有者(地主さん)の連絡先を教えてくれる投稿もありました。その土地の所有者が分かりましたら連絡を取ってみましょう。

河川敷は使用許可不要

SNSで情報収集をしていると河川敷での野営を多くみかけます。河川敷はなんと使用許可が不要なのです。

なぜ河川敷の使用許可が不要かというと、これは「河川法」という法律によるものなのです。
以下に河川法の一部を引用します。

(土地の占用の許可) 第24条 河川区域内の土地(河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く。以下次条において同じ)を占用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。

引用元[PDF] 関連条文(河川法第24条、第26条等) – 国土交通省

これは「河川区域内の土地を占有する場合は許可が必要である」ということですが

1)  河川法第24条の占用許可を受けることを要しないもの

 運動場及び公園緑地等の利用目的をもって、河川区域内の土地を占用しようとする場合は河川管理者の許可が必要ですが、次の場合には不要です。

[1] 自由使用の場合(水泳、洗濯、魚釣り、遊技等)

[2] 河川区域の土地で、その土地の権原を有する者がその管理する土地を使用する場合。

(ただし、当該土地であっても、工作物の新築等の許可、土地の掘削等の許可は必要です。)

引用元:河川 | 国土交通省 関東地方整備局

上記の“[1] 自由使用の場合(水泳、洗濯、魚釣り、遊技等)”は許可が不要とあります。
野営は、遊技等つまり自由使用の場合に含まれますのでここで言う占有とはなりません。よって河川敷は許可を受ける必要がないのです。

もちろん近隣住民の迷惑にならないような配慮は必要です。
夜遅くまで大きな声で騒ぐ、ごみを捨てていくなどは絶対にやめましょう。
また河川敷では急激な増水に注意が必要です。
突然の集中豪雨などによって一気に水位が上昇しテントごと流されることもありえます。

当日の天気予報はもちろん、前日~1週間前程度の天気はチェックし、台風が過ぎ去ったばかりではないか、大雨が降った後ではないかなどを確認しておきましょう。

まとめ

今回は野営の場所の選び方について解説しましたがいかがでしたでしょうか。
気持ちはすっかり山の中でテントを張って…とイメージしていたかもしれませんが、場所を探すという前段階は意外とハードルが高かったことに気づいたのではないかと思います。
記事の内容をまとめます。

日本の土地は私有地と共有地(国有地・公有地)に分けられる

私有地は個人の所有する土地ですので無断で立ち入ってしまうと不法侵入となりますが、所有者から許可をいただければその場所での野営は可能です。

使用許可の取り方

  • 市役所や役場で候補地の所有者を問い合わせる
  • 共有地(国有地・公有地)の場合はその場で申請する
  • 私有地で所有者が分かる場合はその所有者に連絡を取る 
    (所有者の情報を教えてもらえない場合や、所有者に使用を断られてしまうこともあります。)

SNSで野営キャンパーさんたちの生の情報を集める

  • SNS(インスタグラムやツイッター、フェイスブック)やブログでの情報収集がおすすめ。
  • 例としてはインスタグラムで「○○都道府県、市町村名 (スペース) 野営」で検索するとたくさんの投稿を見ることができます。

河川敷は使用許可不要

  • 河川法により野営をする際の使用許可は不要
  • 近隣住民の迷惑にならないような配慮は必要
  • 河川敷では突然の集中豪雨などによる急激な増水に注意が必要
  • 当日の天気予報だけでなく前日~1週間前程度の天候はチェック

現代ではSNSで情報の収集や共有、発信ができますが一昔前では考えられないことでした。すてきな場所や使えるテクニック、キャンパーさんたちの新鮮な情報が得られます。たくさんの投稿を見て参考になるものを探してみてはいかがでしょうか。

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