オーストラリアや欧米を中心に人気沸騰中のオーバーランディング(Overlanding)という旅スタイル。そのオーバーランディングをする人たちをオーバーランダーと呼び、現在、日本でも徐々に注目を集めています。

オーバーランディングは、自然豊かな大地を車やバイク、時には自転車など、あらゆる移動手段で巡りながら、道中で出会う文化・人・絶景を楽しみます。その自由度の高さと体験の濃さが、新たなアウトドアとして人気となっているのです。

今回は、海外オーバーランダーのリアルな声が聴ける「Let’s Talk Overlanding: Our LIVE Q&A Recap!」のなかから、装備の選び方や旅の考え方など、よく聞かれる質問をピックアップして紹介します。これからオーバーランディングを始めたい人のご参考になれば幸いです。

オーバーランディングとは?

オーバーランディングのことを調べるうちにわからなくなるのが、その定義。「オーバーランディングって、結局どんなアクティビティ?」という質問に対し、動画では、とてもシンプルな答えを示してくれました。

「オーバーランディングとは、旅の道中の体験に重きを置く旅のスタイル」

この言葉は、オーバーランディングの情報に触れていると、至るところで目にします。しかし、オーバーランディングの写真や動画をみているうちに、「特定の車種や装備を持つこと」がこのアウトドアのステータスのようになっている昨今、本質をあらためて心に刻む必要があります。

オーバーランディングの本質は、目的地(Destination)よりも旅の過程(Journey)を楽しむことにあります。乗り物の種類や装備の有無、また、国境を越えるかどうかは、重要ではありません。大切なのは、現地の文化や人との出会い、そして自然との触れ合いを心から楽しむ姿勢なのです。

参考記事:オーバーランディングとは?非日常を味わえるその魅力と楽しみ方!

実際、本場アメリカのオーバーランダーたちは、四輪駆動車やバン、シャトルバス、オートバイ、時には馬まで、実にさまざまな移動手段や装備を使って旅を楽しんでいるそうです。移動手段も訪れる場所も、すべては自分次第。このフレキシブルさこそが、オーバーランディングの大きな魅力と言えます。

ルーフトップテント vs. キャンピングトレーラー

この質問も、今回の動画に限らず、オーバーランディングのコミュニティでもよく話題に上がっているのを見かけます。

まず、ルーフトップテントが何かというと、オーバーランディングの象徴とも言われる装備のひとつで、SUVタイプの車などの車上に取りつけ可能で、多くのオーバーランダーに支持されているものです。地面から離れた場所で寝ることができるため、安全で快適な睡眠環境を確保しやすいのが特徴です。

ルーフトップテントは車上に設置する。展開すれば、あっという間に寝る場所が完成。

一方のキャンピングトレーラーは、より快適な宿泊環境を提供してくれる「小さな家」のような存在ですが、自走ができないため別の車でけん引する必要があります。その分、十分なスペースと充実した設備を備え、長期の旅行でも快適に過ごせるのが特徴です。ただし、オフロード走行をする上では車両への負担が大きいのが難点とも言えます。

キャンピングトレーラーはけん引が必要だが、居住空間は広々

では、オーバーランディングをする上で、いったいどちらを選択するのが良いのでしょうか?

ルーフトップテントの利点

  • 軽快に移動できる
    トレーラーをけん引する必要がないため、ルーフトップテントを装着しても悪路や狭い場所にも入りやすい。
  • 手軽に設置できる上に、設営が早い
    慣れれば非常にシンプルな動作で展開できる。

トレーラーの利点

  • ベースキャンプとして使える
    例:キャンプ地にトレーラーを残したまま車だけで移動してアウトドアなどを楽しみ、戻ってきても“自分の場所”が確保されている。
  • 収納量が増える
    人数が多い場合や荷物が多い場合、長期滞在時に安心。

それぞれに利点があるため、動画では「どちらが良いという答えはない」と語られていました。特性を理解した上で、自分の旅のスタイルに合わせて選択することが大切なのです。

ルーフトップテントは近年日本でも人気が高まっており、見かける機会が以前より増えました。日本の住宅事情などを考慮すると、トレーラーよりもルーフトップテントの方が導入しやすいかもしれません。また、最近は、オーバーランド用トレーラーという選択肢も海外では広く浸透しており、悪路も走れる頑丈なトレーラーが販売されているようです。

ルーフトップテント vs. キャンピングトレーラーに対する回答は、「頻繁に移動するか」「同じキャンプ地に長期滞在するか」「人数は何人か」「総予算はいくらか」などによる、ということになります。

“道具沼”にはまりそう!

キャンプ好きの間でよく言われる「キャンプ沼」という言葉を聞いたことはありませんか?キャンプ道具の奥深さに魅了され、次々と新しいギアを買い足していく現象を指します。最初は基本的な装備から始めたはずが、いつの間にか収納場所に困るほどのギアを集めてしまう…。多くのキャンパーが経験するこの”沼”の魅力は、オーバーランディングの世界でも健在のようです。

そんな“道具沼”にハマらないためのコツとして、動画のなかでは以下の2点が紹介されていました。

  1. 最初は「あるもの」で試してみる
    • いきなり高価な装備をそろえず、手持ちの道具や車を生かして旅をしてみる
    • 本当に必要な物や不要な物が分かってから買い足す
  2. ほかのオーバーランダーの装備を見学する
    • イベントやコミュニティに参加して、多様な装備や車両を見る
    • 気になるギアを直接オーナーに質問する

オーバーランディング用の製品は年々進化しています。ルーフトップテントひとつとっても、高い断熱性や防水性、設営スピードなどによって評価がなされ、また、調理器具や冷蔵庫なども小型・高性能化しオーバーランダーを魅了しています。しかし、装備の充実はオーバーランディングの目的ではありません。大切なのは、自分に合った装備を見極めながら、まずは出発してみることなのです。

まとめ

動画のなかでは、ほかにもオーバーランダーの声が紹介されていました。「装備よりも体験」「目的地よりも旅のプロセスを楽しもう」「不便を楽しむこともオーバーランディングの魅力」といった声が寄せられていました。

「もう少し長い旅をしてみたい」「新しいアウトドアに挑戦してみたい」と思ったら、ぜひオーバーランディングという新しい旅の形を試してみてはいかがでしょうか。

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