都会の喧騒から離れ、登山やキャンプなどのアウトドアに出かける。日中の活動で心地よい疲れをおぼえ、夜はテントでゆっくりと体を休める。さあー、今晩はぐっすり眠るぞ!と思ったのに、木の葉がカサカサ、蛾がパタパタ、木の枝が地面にボトッ。ありとあらゆるところからさまざまな音が聞こえ、あーなんだか眠れない。眠らなきゃと焦れば焦るほど、心地よい眠りはさらに遠のいてゆく…。
普段は家でぐっすり眠れても屋外で寝るとなると、いつもと違う環境に戸惑い眠れなくなる人もいます。今回は、アウトドアでも快適な睡眠をとるためのヒントを「Can’t Fall Asleep in Camp? Science Can Help.」を参考にご紹介しましょう。
1日の活動計画を立てよう
1日中、野山のなかを歩いたり走ったりすれば体には疲労が蓄積します。その疲れを癒やすには、何といっても睡眠が一番なのです。成人の場合、最低でも1日に7時間半から8時間の睡眠が必要だと言われています。
おおよその目安となりますが、体を休めたい(=眠りたい)時間とほぼ同じ時間だけ活動するように1日の予定を立てると良いそうです。たとえば9時間睡眠を目指すとしましょう。その場合、少なくとも7~8時間は野山のなかで活動します。もちろん休憩もとりながら、無理のない範囲で構いません。そして、寝る数時間前には活動するのをやめ、体や心を落ち着かせてから眠る体制に入れるように1日の計画を練りましょう。
夕食には炭水化物を摂ろう
食後に眠くなるという経験、誰もがお持ちですよね?これは炭水化物の摂取が影響しています。消化する段階で血糖値に変動が起こり、これが眠気を引き起こすのです。これをアウトドアでもうまく活用して、夕食時に炭水化物を摂れば自然と夜には眠くなるはずなのです。
しかも、炭水化物には激しい運動や長時間の運動で使い果たされたグリコーゲン(=エネルギー源)を補給する役割も期待できますので、麺や米、パスタなどを夕食に取り入れるようにしましょう。また、炭水化物と一緒にたんぱく質も摂れば、筋肉の回復も促してくれます。
寝具にはそこそこお金をかけよう
体を横たえた時に心地よさを感じないマットはおすすめしません。地面に敷いても体が痛くないほどの厚みと十分な長さ、そして天候にあった暖かさのあるものを選びましょう。寝具代はケチっちゃだめです!より良い睡眠のためには、折り畳みのできる枕も持っていくとなお良いかもしれません。
記事のなかでは、上記以外にも汚れた服のまま眠らない、耳栓を持参する、睡眠を阻害すると言われているタバコを控える、などのアドバイスが紹介されていました。
「自然のなか=静寂」を想像する人もいるかもしれませんが、自然界には声や音を発する生き物がたくさん住んでいます。そういった生き物の声を聞くのも、アウトドアの楽しみの1つですよね。快適な睡眠のためのヒントを頭に入れつつ、生物の息吹を感じに野山に出かけてみませんか?
《参考URL》
How to Beat Backcountry Insomnia|BACKPACKER
Aleks Conrad(意訳:菊地薫)
Nature Serviceのウェブメディア NATURES. 副編集長。
自然が持つ癒やしの力を”なんとなく”ではなく”エビデンスベース”で発信し、読者の方に「そんな良い効果があるのなら自然の中へ入ろう!」と思ってもらえる情報をお届けしたいと考えています。休日はスコップ片手に花を愛でるのが趣味ですが、最近は庭に出ても視界いっぱいに雑草が広がり、こんなはずじゃなかったとつぶやくのが毎年恒例となっています。