Kampgrounds of America, Inc.さんにご協力していただいた、北米キャンプレポートのご紹介も、14弾となる今回が最終回となりました。最後となる今回は、これまでの内容を踏まえ、総括として締めくくりたいと思います。
認知レベルから参加レベルへ
北米キャンプレポートによると、昨年公表のレポートでは、白人に限らずありとあらゆる人種のキャンプ参加率の増加が見て取れるようになりました。一方、最新となる2016年のレポートでは、マイノリティーと呼ばれる少数民族グループ(ラテン系/アフリカ系/アジア系/黒人系アメリカ人)のキャンプ参加率の増加が見て取れ、さらにはキャンプ人口のなかに新規キャンパーの存在をしっかりと確認できるようになりました。
これらは、キャンプが人々に広く認知されるようになったというレベルにとどまらず、実際に人々がキャンプ場に足を運ぶという、参加レベルにおいても変化があったことを示す結果となりました。
万人がキャンプを楽しむには課題も残る
北米には今もなお、人種差別という大きな問題があります。事実、過去の調査では、多くのマイノリティー(そのなかでも特にアフリカ系アメリカ人や黒人)が、「国立公園で歓迎されていないと感じたことがある」と答えているそうです。
ただし、この状況は、州/国立公園の努力の甲斐もあり、少なからず良い方向へ進んでいると見られています。2014年のレポートから、マイノリティーグループが州/国立公園などの公営キャンプ場に宿泊する日数が増えてきているようなので、人種に関係なく滞在しやすいキャンプ場作りが行われていると言えるでしょう。
ミレニアル世代が軸
世代別でキャンプを考えたとき、その中心にいるのはミレニアル世代となります。これは、ミレニアル世代が米国でもっとも人口の多い世代であることが少なからず影響しています。しかし、それだけではなく、彼らのキャンプに対する情熱も関係しているようです。彼らはキャンプをこよなく愛しています。そして、キャンプは友人や家族との楽しい価値ある時間をもたらしてくれるもの、という強い想いを持っており、そのキャンプに対する情熱があるからこそ、彼らはキャンプというアウトドアアクティビティの中心にいると言えるのです。
家族とキャンプ
家族で一緒に過ごす休暇の使い道をアウトドアに求める人たちが増えてきています。そして、その選択肢の1つにキャンプが含まれています。今や、キャンパーのおおよそ半数が子ども連れでキャンプへ行くようになり、キャンプは以前にも増して家族行事となりつつあるようです。
子どもをキャンプに連れて行くと、必然的に大人は子世代へとキャンプを紹介していることになり、キャンプの輪が自動的に次世代へと受け継がれていることになります。また、子どもをキャンプに連れていく大人たちは、キャンプやアウトドアのメリットをいち早く認識し、子どもと共にキャンプに行く頻度を増やす傾向にあるそうです。
最後に
自然との触れ合いがストレス発散手段の1つとなりうることが広く知られるようになり、アウトドアアクティビティに目を向ける人たちが増えてきています。そのなかにキャンプという選択肢があり、楽しみ方や目的、そしてキャンプそのものの形態も変化し続けています。ご紹介してきた北米キャンプレポートのなかでも、「キャンプは引き続き発展していくであろう」ことが述べられており、現代人のニーズに合った形で、今後も進化を遂げていくことが期待できるでしょう。
さて、全14回にわたりお届けして参りました北米キャンプレポートですが、これにて終了とさせていただきます。皆さまがキャンプ(もしくはアウトドア)について考える上で、何らかしらのお役に立てたならば幸いでございます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
《参考URL》
THE 2016 NORTH AMERICAN CAMPING REPORT|Kampgrounds of America, Inc.
(意訳:菊地薫)
Nature Serviceのウェブメディア NATURES. 副編集長。
自然が持つ癒やしの力を”なんとなく”ではなく”エビデンスベース”で発信し、読者の方に「そんな良い効果があるのなら自然の中へ入ろう!」と思ってもらえる情報をお届けしたいと考えています。休日はスコップ片手に花を愛でるのが趣味ですが、最近は庭に出ても視界いっぱいに雑草が広がり、こんなはずじゃなかったとつぶやくのが毎年恒例となっています。