稚内の洋上、日本海に浮かぶ二つの島「利尻島・礼文島」は、それぞれに異なる特徴を持った島です。起伏が激しく断崖絶壁が多い礼文島に対して、利尻島は利尻山のすそ野がなだらかな平地となっているのでサイクリングに最適。一周約55㎞程度で勾配も少ないため、快適に楽しむことができます。
ベストシーズンは6月下旬から7月下旬。8月に入ると観光客が増えるので、静かに楽しみたい方は避けた方がよいでしょう。それでは、利尻島で5年間を過ごした筆者が、見逃せないスポットを紹介します!
まずは自転車を調達
利尻島へ行くには、札幌市の丘珠空港から空路を利用するか、稚内からフェリーで来るかの2つに絞られます。自転車は宿泊先か鴛泊フェリーターミナル近くの「旅館 雪国」で借りることができます。
まずは島の東側から時計回りに一周します。利尻島にはサイクリングロードが整備されていて、8月には「ふれあいサイクリング」というイベントも開催されています。ただし、一般道を使った方が距離は短縮できますし、もともと交通量も少ないので問題なく走行できます。
ガンゼとノナの味比べ
6月から9月にかけてウニ漁が解禁されます。ウニは小さな小舟の上から箱めがねで水中を覗きながら、棒のようなもの(=カギ竿)で捕獲します。島ではエゾバフンウニを「ガンゼ」、エゾムラサキウニを「ノナ」と呼びます。ノナよりもガンゼの方が解禁期間が短く味も濃いため、高級品とされています。一度だけ食べたことがありますが、泣けるくらいウマかったですよ!
雑草ではありません!島の固有種です
よく見ると、道端に淡い黄色の小さな花が咲いています。それが利尻島固有種の「利尻ヒナゲシ」です。希少種なのですが、レブンアツモリソウのように盗掘から守るために柵で覆われていませんので、気が付かないで見落としてしまうかもしれません。
島の歴史を学ぶ
鴛泊(おしどまり)から約20㎞走ると、「鬼脇」という地区に到着します。ここには飲食店やコンビニがありますが、それまでの道中は民家がまばらにあるだけです。休憩ついでに寄ってほしいのが「利尻島郷土資料館」です。中にはアイヌの時代からニシンが栄えた昭和初期の時代まで、さまざまな品を展示しています。大正2年に建てられた旧鬼脇村役場庁舎を活用。洋風の建物が利尻山によく映えていますよ。
もっと利尻の歴史を知りたくなったら、さらに14㎞進んだ「仙法志」にある利尻町立博物館へどうぞ。実物大の人形などを使い、当時を再現しています。ちなみに喉がかわいたら、道路沿いにある麗峰湧水(れいほうゆうすい)で潤すのがオススメです。ミネラルたっぷりな利尻山の伏流水を味わうことができますよ。
心癒され腹も満たす
心を癒したいのなら、仙法志御崎公園を覗いてください。海浜プールにアザラシがエサをくれるのを待っています。売店では、アザラシのエサが購入出来るほか、殻付きのウニを食べることもできます。また、近くには昆布の加工場があり、規格外(味は変わらない)の利尻昆布を格安で買うことができます。
サンセットタイム
利尻町の中心地「沓形(くつがた)」を過ぎると、左側に礼文島を眺めながら、なだらかな道が続きます。6月下旬から7月にかけて草原に「エゾカンゾウ」が咲き乱れ、あたりをオレンジに染め上げます。夕暮れに鴛泊へ到着したのなら、是非夕日ヶ丘展望台を訪れてください。天気がよいと礼文島に沈む夕日が見れますよ。
定番の観光名所だけでなく、歩くより少し早いスピードで移動することにより島の人々の営みや、見過ごしがちな自然を見つけることができると思います。ぜひ利尻島でのサイクリングを楽しんでみてください。
フリーライター&フォトグラファー
運動神経が鈍いためスポーツは苦手ながら、アクティブに動くのは大好きなマルチライター。「自然をリスペクトする」をポリシーとし、夏はキャンプやツーリング、冬はスノーバイクなど、誰でもできるレクリェーションをチープに楽しんでいます。