皆さんはキャンプに出かけたとき、どんな時間の使い方をしていますか?「設営が完了したら早速乾杯!」「手の込んだキャンプめしにトライ」など、楽しみ方は無限大ですよね。自然の中で思い切りリフレッシュできるのもキャンプの醍醐味の1つというもの。新しい楽しみ方に、特別な装備の必要がない気軽な自然散策はいかがでしょうか?
 
子供はもちろん、大人も楽しめる自然散策。生き物の多様性について考えながら、ゆっくり歩いてみましょう。お子さんの夏休みの自由研究にも、やすらぎの森オートキャンプ場で思い出を作りながら楽しく環境について考えてみませんか?

お手軽アプリで簡単に

私が今回使ったのは株式会社バイオームから配信されているアプリ、「バイオーム」です。

このアプリは、写真を撮るだけでAIが生き物の名前を教えてくれるという優れもの。撮影した生き物をコレクションしたり、わからないものを質問し合ったりと、生き物を通じて冒険や交流ができる楽しいアプリです。

前から知ってはいたものの、実際使ってみるのははじめてなのでまずはアプリをインストールして散策にでかけました。

やすらぎの森オートキャンプ場で見つけられる植物たち

今回の散策では対象を「花や実をつけていて、判定がしやすい植物」にしぼってみました。草本や樹木にまで対象を広げるとキリがなくなってしまう…!と思った結果の判断ですが、興味の対象や季節に合わせて散策してみるのも楽しそうですね。

はじめて使ってみるということで撮影しやすい植物にしましたが、昆虫や鳥類、魚類の判定も可能なので、釣りやバードウォッチングのお供にも最適です。

今回1時間前後で見つけられたのはざっと19種類(!)

見つけた植物は後で見返すことができます。

・ガマズミ

・コマユミ

・ヤマウルシ

・ミツバツチグリ

・サギゴケ

・コハコベ

・オオイヌノフグリ

・ムラサキツメクサ

・タチイヌノフグリ

・ノミノツヅリ

・ツリバナ

・キブシ

・タチツボスミレ

・カラシナ

・キュウリグサ

・フデリンドウ

・ハルジオン

・芝桜

・ブタナ

判定はいくつかの候補と、合致可能性のパーセンテージが表示されます。

それでも、どれでもない気がするときは質問も可能。
質問するとすぐに誰かが「これじゃない?」と提案してくれてちょっとびっくり!

花の名前をAIで判定

私が見つけた植物はどれも珍しいものではないようでしたが、「身近な植物の名前がわかる」という体験はなかなかワクワクするものです。

アプリは無料で、使い方はとても簡単だったので、キャンプ場での自然散策が楽しくなります。(回し者みたいですが勝手に紹介しています。)

また、キャンプ場には、街中で見られる生き物も多く生息しています。
帰ってからも、お家の近くで「これキャンプ場でみた生き物だ!」と気がつけたらきっと楽しいはずです。思い出と一緒に、生き物の知識もぜひ持ち帰ってくださいね。

森で動物の痕跡を探す

バイオームでは植物をメインに散策しましたが、森にはフィールドサインと呼ばれる動物たちの痕跡がたくさんあります。場内のやすらぎの森は遊歩道が整備されていて、ぐるりとお散歩することができます。まさにフィールドサインを探して探検するにはうってつけ!

やすらぎの森オートキャンプ場のマップ

この日は日差しもあり少し暑い日でしたが、森に入るとスッとした涼しさを感じます。

森に降り注ぐ太陽の光は、木の葉に吸収されます。木の葉は吸収した光をエネルギーとして木の中の水分を蒸発させます(これを蒸散といいます)。

四国森林管理局 森のことを知りたいより

このときの気化熱で、やすらぎの森も気持ちの良い涼しさの中散策ができますよ。

はじめに見つけたフィールドサインはこちら。リスが食べたオニグルミの殻です。

リスが食べたオニグルミの殻

ぱっくりまっぷたつなのは、前歯を器用に使ってテコの原理で殻をこじ開けて中身を食べるから。同じげっ歯類でもネズミが食べた場合は、丸いまま残った殻に穴が空いたものが残ります。リスより体が小さいネズミはうまくテコの原理を使えません。そのため頑丈な歯で穴をあけて中身を食べるのです。

森の生き物たちのことを知れば知るほど、もっといろんなことを知りたくなりませんか?

森の中で耳を澄ませるとキツツキが木をたたく音が聞こえます。
ランチタイムでしょうか?木々のざわめきと一緒に聴こえるリズムが心地よいです。

これはもぐらが穴をほった跡。この土の小山は場内どこでも見ることができます。

モグラが掘った穴

もぐらは夜行性のため、めったに人前に姿をあらわすことはありません。
だけどこうやって活動している跡をみつけると、彼らの生活と共にあること、その生活を脅かすことなく共生していかねばと強く思うのです。

一方でこちらは見えにくいですがシマヘビの巣穴です。よくこの穴の近くでのんびりしているところを目にしていました。

シマヘビの巣穴

多様性への理解を考え直す

シマヘビに毒はありません。もちろん噛まれたら痛いので挑発するのは厳禁ですが、多くの自治体では「積極的な排除はしない」という体制をとっています。

なぜこんなことを知っているのかというと、「シマヘビに毒はないけれど、キャンプ場のお客さんが怖がったらいけない」と、ヘビの駆除について調べたからです。

調べた結果【ヘビも生態系を構成する生き物の1つです。】の文字を見て、自分の矛盾に気がつき反省しました。もぐらのときは「彼らの生活を脅かすことなく」などと考えておきながら、「ヘビは怖いからいなくなってほしい」と願ったのですから。

多様性は誰のために?

生き物にしろ人間の中の問題にしろ「多様性を守ろう」と言うのは昨今よく聞く話です。それは誰のために、何のために掲げられている目標なのでしょうか?

答えはありませんし、個々人がどう思うか、守るためになにか行動を起こすか(もしくは何もしないか)は極端な話自由です。だけど、「多様性を守る」という目標が達成された先にあるのは必ずしも『万人にとって心地よい世界』になるとは限らないことを認識しておく必要があると思うのです。

関連記事:自然に入ることは、あるべき状態に戻ること。「世界各国の研究機関が報告した生物多様性と健康に関する科学的知見」

私にとってのヘビのように、苦手な存在とも、正しい距離で共に生きなければなりません。そうやってお互いの存在を尊重しながら生きていくことが持続可能な環境づくりです。

今回私がすべきだったのは、駆除しようとすることでも巣穴を埋めることでもなく「そっとしておく」ことでした。キャンプ場のお客さんのためにできることは、「近づかないように注意喚起すること」「そっとしておくようお願いすること」だったんです。

それに気がついたとき、やっぱり反省したのでした。

終わりに

「多様性を認めよう」という言葉が苦手です。それは多様性は誰が認めるとか関係なくただそこに「ある」ものだと思うからです。ずっとそう思っていたのに、実際その姿勢を持ち続けることはなかなか難しいものでした。

今回お伝えしたかったのは、身近な自然を散策しながら、そういったことを考えてみませんか、というお話です。雑草の一言で片付けられてしまうような花にも名前があります。目に入った生き物の名前を知っているということは、彼らを大切にする歩み寄りの一歩だと私は考えています。

多くの生き物と共に生きるため、名前を知ってみませんか。やすらぎの森やキャンプサイトにはたくさんの生き物が暮らしています。大人も子供も関係なく、こうやって考えてみる時間はきっと良い時間だと思うのです。

興味を持っていただけたら、ぜひ信濃町にお越しください。やすらぎの森オートキャンプ場でお待ちしておりますね。

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