温かい日が続くようになりましたね。
芽吹き始めた花々に春の訪れを感じつつも、なぜだか少し憂鬱な気分。

そう、スギ花粉が飛散する季節の到来です。
今や日本人の約40%が悩まされ、国民病の一つとなった花粉症。

毎年この時期になると、マスクやメガネ、花粉対策グッズが欠かせない……そんな生活にうんざりしている人も多いはず。

でも、もし「花粉が飛ばない未来」が訪れるとしたら?

実は、そんな未来への第一歩が始まっています。花粉症を根本から解決するために、スギそのものの花粉を減らすという画期的な方法に挑んでいる研究機関。

それが、国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 林木育種センターです。

彼らの研究が進めば、いつか「花粉症がなくなる日」が本当にやってくるかもしれません。
今回は、その挑戦に迫ります。

林木育種センターとは?

未来の森林をつくるための研究に取り組む国の研究機関です。

林木育種センター外観

林木育種センターは、日本の森や林業をより良いものにするために、木の品種改良に取り組んでいます。その研究の一つが、「少花粉スギ」や「無花粉スギ」の開発です。

スギの木

スギは日本の森林の約40%を占める重要な樹木ですが、その花粉が花粉症の大きな原因になっています。そこで、林木育種センターでは、花粉をほとんど飛ばさないスギの育成に取り組み、多くの人が快適に暮らせる未来を目指しています。

どうやって花粉を減らすの?

では、どうやってスギの花粉を減らすのでしょうか?

苗木
少花粉スギ品種(天竜4号)

ポイントは「育種」にあります。林木育種センターでは、もともと花粉の少ないスギや、まったく花粉を出さないスギを選抜、それらを交配させることで、新しい品種を作り出します。

この選抜と交配を基本とした育種のほか、最新技術として遺伝子マーカー選抜、ゲノム編集などの先端技術を駆使し、育種の効率化を進めています。

●遺伝子マーカーの活用
無花粉遺伝子を持つ個体をDNAレベルで判定し、交配の効率を向上。これにより、従来2世代かかっていた無花粉スギの特性改良を1世代で実現します。

●ゲノム編集

ゲノム編集とは

DNAの狙った場所に変異を加えることができる技術で、狙った場所に塩基の欠損や挿入、置換などを行うことが可能です。

これらの技術を活用することで、より短期間で確実に花粉症対策品種を開発し、普及させることが期待されています。

花粉症ゼロの未来へ

林木育種センター職員
花粉症のない世界

林木育種センターの取り組みが進めば、いつか「花粉症が無くなる日」が本当にやってくるかもしれません。この国の森がやがて、人にも自然にも優しいものへと進化していくことを願いつつ、彼らの活動を応援しましょう!

「林木育種センターについて、もっと知りたい!」と思った方は、以下の動画もぜひご覧ください。

森林総合研究所 林木育種センター 業務紹介映像「森の恵み、未来へ」

森林総合研究所 林木育種センター 職員採用映像「わたしの描く明日」