そそり立つ岩壁を登るロッククライミング。私はその岩壁を下から見上げるだけでも怖いのですが、今、このスリリングなスポーツは多くの人々の注目を集めています。では、ロッククライミングのルーツはどこにあるのでしょうか。今回は「Rock climbing: from ancient practice to Olympic sport」と「The Mental and Physical Benefits of Climbing」の記事を参考にしながら、ロッククライミングの歴史や発展過程、さらにクライミングの種類を紹介します。
ロッククライミングの歴史
ロッククライミングの歴史は、古代にさかのぼります。古代の人々は、山岳地帯を移動するための手段として、また信仰や祭りの一環としてロッククライミングを行っていました。例えば、古代エジプトでは、山の神々を崇拝するために岩を登ることが重要な行事の一つでした。ロッククライミングはただの技術的な挑戦ではなく、文化や宗教とも深く関わっていたのです。

20世紀に入ると、ロッククライミングはレクリエーションとしての性格を持つようになりました。この時期、登山用具が進化し、安全性が高まったことで、ますます多くの人々がロッククライミングに挑戦するようになりました。特に1950年代から1970年代にかけては、クライミング技術やスタイルが多様化し、登山家たちの冒険心が刺激されました。この頃から、登山は単なる生存技術ではなく、自己表現や挑戦の場へと変わっていったのです。

そして、2020年の東京オリンピックでロッククライミングが正式種目となったことで、その認知度は一気に高まりました。この大会を通じて、クライミングは国際的なスポーツとしての地位を確立し、誰もが挑戦できるスポーツとして広く受け入れられるようになりました。
ロッククライミングの種類
ロッククライミングにはさまざまなスタイルがあり、それぞれに独自の魅力があります。ここでは主なスタイルを紹介します。
ボルダリング
ボルダリングは、比較的低い壁(4メートル程度)を登るスタイルです。特別な道具は必要なく、初心者でも始めやすいのが特徴です。このスタイルでは、技術や集中力が求められます。多様なルートが設定されていて、各ルートにはレベルが付けられているため、自分の技術を試す良い機会になります。落下時にはマットが敷かれていて、安全面にも配慮されています。

スポーツクライミング
スポーツクライミングは、ロープを使って高い壁を登るスタイルです。登っている途中でロープを壁に設置されたボルトにクリップで固定する必要があり、体力や技術が試されます。このスタイルは競技性が高く、大会では速さや技術を競い合います。世界中で多くの大会が開催されており、とても人気があります。
トラディショナルクライミング(トラッド)
トラディショナルクライミングは、自然の岩壁を使用して行うスタイルで、冒険心をくすぐります。登る際には、自分で安全装置を設置する必要があり、クライミング技術が重要です。自然との一体感を感じられることがトラッドの大きな魅力です。

その他の特殊なクライミングスタイル
アーバンクライミングやアイスクライミングなど、特定の環境や目的に応じたスタイルもあります。アーバンクライミングは都市のビルや構造物を利用して登るスタイルで、アイスクライミングは氷の壁を登るスタイルです。興味のある方は、こちらの記事もどうぞ。「なぜ人は氷の壁を登るのか?「アイスクライミング」の歴史と魅力」
まとめ
ロッククライミングは、古代から現代までさまざまな変遷を経て、現在の形に至っています。さまざまなスタイルがあるので、初心者から上級者まで楽しむことができます。また、心と体にも良い効果があることが認められています。詳しくは「ロッククライミングの魅力:心も体も強くなるアクティビティ」をお読みください。
(参考)
Rock climbing: from ancient practice to Olympic sport
The Mental and Physical Benefits of Climbing

田舎育ち18年、都会暮らし28年、海外暮らし5年。どこにいても緑と土が必要で、ときどき「山が見たい」と駄々をこねます。老後はヨット好きの主人と海と山の両方が見える場所に住みながら、世界各地を旅したい欲張り50代です。