この記事は、警察庁交通局が令和6年3月27日に発出した通達「林道における車両の通行に関する措置」(丁規発第45号・有効期間:令和11年3月31日まで)を基に執筆しています。全文は上記のリンクから確認できます。
1. そもそも林道とは?
- 林道は「森林の整備・保全と安定的な林業経営に不可欠な施設」と位置付けられます。
- 道路交通法2条が定める「一般交通の用に供するその他の場所」に該当し得るため、一般車両が通行可能な場合は道路交通法が適用されるのが原則です。
- 道路法上の国道・県道とは異なり、林道管理者(都道府県や市町村、森林組合など)が独自に設置し管理しています(通達1(林道の位置付け))。
2. なぜ規制が必要なのか
- 安全確保
- 崩落・倒木・路面損傷など、林道特有のリスクが高い。
- 森林保全
- オフロード走行や不法投棄は土壌流出や植生破壊を招く。
- 林業・工事車両との調整
- 伐採・搬出作業中は大型特殊車両が優先。
こうした理由から、林道管理者は“いつでも”通行の禁止・制限を決定でき、影響が大きい場合は公安委員会と連携して標識やゲートを設置します(通達2・別紙1フローチャート)。
3. どんな行為が規制の対象?
- 自動車・二輪車・ATV 等の 車両の通行
- 林道上でのイベント開催・撮影会・競技など(道路使用許可の対象)
- 林道脇での作業・工事・占用(道路使用許可または林道管理者の許可が必要)
林道を「一般交通の用」に供したまま管理者が工事等を行う場合も、道路交通法77条の道路使用許可が必要になる点が通達で明示されています。
4. Overlander のための OK/NG リスト
◎これなら OK!
- 開放中の林道を、標識・ゲート・告知に従って走る
- 速度標識・一時停止・優先道路など、道路交通法上の規制を順守
- 林業車両を優先し、道を譲れる退避スペースで待避
- 通行止め予告が出ている区間は事前に管理者へ確認し、許可を得て通行(関係車両以外通行止めの札があっても許可証を提示できるなら走行可能)
- 林道入口・広場など指定場所に車両を駐車し、路肩や植生地には乗り入れない
- ゴミは必ず持ち帰り、アイドリングや過度な空ぶかしを避け騒音・排気に配慮
- 林道情報(工事・災害・冬季閉鎖など)を事前チェックし、計画を柔軟に変更
×これは NG!
- ゲートを越えたり、鍵を壊したり、バリケードを移動させて進入
- 「通行止」「関係者以外立入禁止」「落石のため全面通行止め」等の標識を無視
- 林道から外れて法面や植生を乗り越えオフロード走行(森林法・自然公園法等にも抵触の恐れ)
- 工事・伐採作業中の区間を無断通行し、作業員の指示に従わない
- 許可なくイベントや撮影会を開催(道路使用許可と林道管理者の承諾が必須)
- 火気使用・焚き火・直火調理を林道上や路肩で行う
- 残土・廃タイヤ・生活ゴミの投棄/オイル・洗剤等の排出
- 深夜早朝の爆音走行・空ぶかしなど周辺集落や野生生物への騒音公害
5. まとめ
林道は、森林を守り林業を支える“現場”であると同時に、私たち Overlander が大自然へアクセスできる貴重なフィールドです。
- 最新の通達をチェックし、開放区間・通行止め情報を事前に確認
- 標識・ゲート・現地作業員の指示に従い、安全第一で走行
- 路面外への侵入やゴミの放置など、環境に負荷を与える行為は絶対にしない
法律を守り、自然環境と林業従事者へのリスペクトを忘れずに――。
ルールを知り、マナーを守ってこそ、本当の Overlanding の楽しさが広がります!

NPO法人 Nature Service 共同代表理事
自然大好きで気の合う仲間達とNature Serviceを立ち上げました。北極から南極、アメリカ横断、アフリカ、北欧、オセアニア、南米などいろいろな自然を求めて旅しています。自然好きですが虫キライです。