週末の林道ドライブから本格的なロングトリップまで、移動時間そのものを自然体験に変えてくれるのがオーバーランディングの醍醐味です。自由度の高い旅で“安全に帰宅できる”を完結させるためには、道具選びが最初の関門。この記事では「これだけ押さえれば安心して出発できる」10 アイテムを、コストを抑える代替案や日本のフィールド事情も交えて解説します。
1. 信頼できる車両 = 走るベースキャンプ
- 最重要ポイントは“壊れないこと”と“軽さ”と”車高”。
- 中古車を選ぶ場合は事前に車種毎のオイル漏れなど定番トラブルを洗い出し、納車前に手当てしてもらいましょう。
- 林道などの未舗装路が主体ならジムニー/プラドなどのオフロード車、重量物を運びながら+岩場ならラダーフレームの車両(ハイラックス、ランクルなど)が安心です。ガチ勢はDEFENDERやWranglerなどを果敢に改造しています。
- 車高は走破性を高めるために重要です。サスペンション交換やリフトアップキット、タイヤのサイズアップなどの選択肢がありますが、車検に(構造変更無しで)通せるのか、タイヤハウスにハンドルを切ったときに当たらないかなどが重要となります。FLEXなどのオフロードに強いショップに相談しましょう。

2. 冗長化したナビゲーション
- 電子(スマホ・専用GPS)+紙地図+コンパスの三重装備。
- Geographica、Wikiloc、Google Mapはオフラインダウンロードを忘れずに。
- 紙地図は最新版を用意し、雨対策にジップロック保管。
3. シェルター&就寝装備
- ルーフトップテントは展開・撤収が速いが、高価・重い。
- グラウンドテント、その日の予想気温から-20 ℃の余裕をもった化繊寝袋で始めれば十分。
- 犬連れ&ファミリーは出入口が広いドーム型が◎。
4. リカバリーギア
- ミニマムセット:ソフトシャックル×2、牽引ストラップ、ハンドウインチ、リカバリーボード。
- 難コース挑戦時は電動ウインチ、スナッチブロック、ハイリフトジャッキを追加。
- 使い方は出発前に必ず訓練しておく。
5. 水の確保と浄化システム
- 基本目安は11 L/人・日。
- 20Lポリタンクでローコスト運用 → 長期派はScepter 20 Lジェリカンへ移行。
- 熱源があるなら煮沸、ない場合は浄水タブレットを常備。
6. 食材保管と調理器具
- 12 V冷蔵庫(Dometic/ARB 等)は温度管理が圧倒的に正確。
- 予算優先なら高断熱クーラーボックス+ブロックアイス(溶けたら飲用水となります)。
- ストーブはJetboil(湯沸かし特化)/MSR ポケットロケット(多用途)/Coleman 2バーナー(ファミリー)から選択。
- 最近ではポータブル電源の普及でキャンプ用の電気ケトルもあります。強風に強く山火事やテント火災や車両火災防止にもなります。
7. 電源&照明
- 容量計算:必要Wh × 日数 × 1.2(余裕)でポータブル電源を選定。
- LEDランタンはUSB充電式に統一しケーブルを共通化。
- ソーラーは「長期定点滞在」に進出してから購入でも遅くないです。
- オルタネーターチャージャーという選択肢もあります。移動中に高速充電できます。
8. ファーストエイドキット+緊急装備
- 怪我の手当て(止血帯・鎮痛薬・アレルギー対策)と
サバイバル系(非常食・火起こし・衛星通信端末)を分けて管理。 - 同行者の持病・年齢に合わせてカスタムし、使用法を共有する。
9. 気象対策ウェアリング
- ベース→ミドル→シェルのレイヤリングで体温調節。
- 春秋でも低体温症リスクあり――乾きやすい化繊を基本に。
- 道中は背後の空をこまめに確認し、早めの撤収判断を。

10. 収納ソリューション
- 「取り出す頻度」と「重量バランス」を基準に積載します。
- 入門時はニトリ等の樹脂コンテナを活用し、走行中はラチェットストラップで固定をお忘れ無く。
- 自宅駐車場でパッキング→車中泊テストを繰り返すと、本番での忘れ物・過剰装備が激減します。
まとめ:まずは“軽く試して”からアップグレード
10 の必携装備はあくまで“最小限を安全に楽しむ”ための土台です。中古車+グラウンドテント+家にある調理器具――といったライト装備からスタートし、距離や季節を広げるにつれて少しずつ投資していきましょう。旅をイメージした準備そのものが、もう一つの自然体験になります。
装備を揃えたら、自然の中へレッツゴー!

NPO法人 Nature Service 共同代表理事
自然大好きで気の合う仲間達とNature Serviceを立ち上げました。北極から南極、アメリカ横断、アフリカ、北欧、オセアニア、南米などいろいろな自然を求めて旅しています。自然好きですが虫キライです。