「このキャンプ場に決めた!」という時、皆さまの最終決断に関わっているのはそのキャンプ施設のどんなところでしょうか?北米キャンプレポート2016(THE 2016 NORTH AMERICAN CAMPING REPORT, Kampgrounds of America, Inc.)の第7弾となる今回は、キャンプ場を選ぶ時の決め手はどこにあるのか、北米全体の結果および世代別の結果をご紹介することにしましょう。
北米全体の結果から見ると、
-キャンプ場の「質」(31%、グラフの濃緑色)
-キャンプ場の「ロケーション(立地)」(30%、グラフの青色)
の2つがほぼ同じ割合で、キャンプ場を決定する時の決め手になることが多いようです。ここで言う「ロケーション(立地)」とは、レポート内で明確に定義はされていませんが、キャンプ場へのアクセスの良さ(近さ)と捉えてよいと思います。
出典:『THE 2016 NORTH AMERICAN CAMPING REPORT』, pg.28
Millennials=ミレニアル世代、1981年~1997年生まれ
Gen X=X世代、1965年~1982年生まれ
Baby Boomers=ベビーブーム世代、1946年~1964年生まれ
Mature=シルバー世代、1946年より前
(北米キャンプレポート2016の定義より)
しかし、これを世代別にみると、世代によって明らかな偏りが見られます。
まずは「ロケーション(立地)」。年齢が上がるほど、「ロケーション」を決め手とする割合が上昇する傾向にあります。
ミレニアル世代 :22%
X世代 :28%
ベビーブーム世代:38%
シルバー世代 :45%
対して、年齢が上がるにつれて決め手になる割合が下がっていくのがキャンプ場の「雰囲気」。
-ミレニアル世代 :26%
-X世代 :20%
-ベビーブーム世代 :14%
-シルバー世代 :9%
一方、世代間の変化があまりないのがキャンプ場の「質」。ミレニアル世代からシルバー世代まで30%前後とほぼ一定で、どの世代でもキャンプ場の「質」を決め手としている人が多いようです。
総括すると、若者にはキャンプ場の「質」や「雰囲気」が大切で、「ロケーション」は二の次。高齢になるにつれ、「質」も重要だけどそれ以上に近くて行きやすい(=「ロケーション」)のが一番!という感じですね。
ちなみに日本の場合はどうなのかというと、『オートキャンプ白書2015』によると、「清潔・快適な施設」と「自然環境や雰囲気が良い」が共に26.5%とトップになっているようです。「清潔・快適な施設」≒「質」と考えれば、「質」と「雰囲気」を決め手とする人が多い北米とほぼ同様の結果になっているようです。
世代間で大きな違いがあるキャンプ場を選ぶ時の決め手。若いころにはあり余る体力のおかげで遠方でも何の苦もなくキャンプに出かけていても、年を重ねると少しずつ遠出が面倒になる気持ちって分かる人も多いのではないでしょうか。最近遠出が少し面倒になったな、なんて思う人たちは、北米のキャンパーさんたちのように「ロケーション(立地)」を最重要視して近場でも楽しめるキャンプ場を探してみてはいかがでしょうか?
《参考》
–THE 2016 NORTH AMERICAN CAMPING REPORT|Kampgrounds of America, Inc.
(本文掲載のグラフはKampgrounds of America, Inc.さんより使用許可をいただいております。)
(意訳:菊地薫)
–日本オートキャンプ協会、『オートキャンプ白書2015』、25頁
Nature Serviceのウェブメディア NATURES. 副編集長。
自然が持つ癒やしの力を”なんとなく”ではなく”エビデンスベース”で発信し、読者の方に「そんな良い効果があるのなら自然の中へ入ろう!」と思ってもらえる情報をお届けしたいと考えています。休日はスコップ片手に花を愛でるのが趣味ですが、最近は庭に出ても視界いっぱいに雑草が広がり、こんなはずじゃなかったとつぶやくのが毎年恒例となっています。