夜の森の桜のトンネル

「夜の森」と書いて読み方は、「よのもり」。福島県双葉郡富岡町にある県内有数の桜の名所です。(「夜ノ森」と表記することもあります。)

JR常磐線夜ノ森駅の東口に降り立つと300m程道が東にまっすぐ伸びています。道の両側には現在バリケードが設置され、その向こう側には商店や住宅が東日本大震災の影響で避難した当時のままの姿があります。

5分ほど歩くと、通称「夜の森の桜のトンネル」と呼ばれている南北に約1㎞の桜並木の中間地点に出ます。そこには開花基準木という木があり、この木が開花した日に夜の森の開花宣言が出されます。

桜のトンネル
開花基準木

この桜並木は満開の期間に花見イベント「とみおか桜まつり」が催され、土曜日・日曜日の昼は歩行者天国となり、夜はライトアップされた夜桜の絶景を楽しむことができます。

今年開催された「とみおか桜まつり2021」は4月2日から11日までの10日間ライトアップされました。電車の他、車での来場も国道6号線からアクセスしやすいのでオススメです。

旧富岡町第二中学校の校庭が花見用の大規模駐車場となっていますが、夜ノ森駅東側駐車場も花見用として使用可能です。ちなみにこの桜並木は、映画「Fukushima50」の終盤で登場し印象深いシーンとなりました。映画の聖地巡礼で訪れる人も多いようです。

夜空に映える幻想的な桜

実は私もこのライトアップの期間に、自身が住む郡山から夕方約2時間車を走らせて行ってきました。会場に到着し警備員さんに促され駐車場に車を停めると、まるで子供の頃神社のお祭りに来た時のようなワクワク感がありました。

興奮を抑えつつも足早に桜並木の通りまで歩くとそこには絶景がありました。ライトアップされた夜桜は昼間に見る桜とはまた一味違います。

夜の闇に浮かびあがるような桜のトンネルがどこまでも続く幻想的な風景に息を吞みました。一つ一つの枝にぎっしりと桜の花が咲き力強さのようなものを感じます。雨も降らず天候にも恵まれ、満開の時期に行けたことも幸いし、最高の状態の桜を堪能させて頂きました。

夜空を埋め尽くす桜
力強く咲く桜の花

ゆっくり時間をかけて桜並木を歩いてきましたが、少し肌寒いものの人手は多く家族連れも目立っていました。今年は新型コロナウイルスの影響により、お祭り定番のたこ焼きや焼きそば・りんご飴等の飲食系のお店がなく物販のみだったのが少し残念でした。それでも皆さんマスク姿でスマートフォン片手に写真や動画撮影をしながら桜を楽しんでいる様子でした。

原発事故による帰還困難区域

この桜並木だけを見ているとついつい忘れてしまいますが、実はこの桜並木は2021年5月現在、未だ帰宅困難区域となっているエリアの中にあります。(この桜並木の道のみ避難指示の先行解除エリアとなっており歩くことができます。)

夜ノ森駅東口を降りた先の道と同じく、この桜並木の両側にも一部バリケードが設置されており、その向こう側には地元住民の方々が震災前に生活していた形跡が伺えます。


この日の桜並木に設置された線量計の測定値は0.44μsv/hでした。(sv/hは「マイクロシーベルト、パーアワー」1時間当たりの空間放射線量を指す)私が住んでいる郡山市の約3倍の空間放射線量です。

そして追い打ちをかけるような新型コロナウイルスの蔓延もあり、昨年(2020年)はこの桜並木のライトアップなどのイベントは中止となりました。

しかし、このような状況の中でも力強く満開に咲いている桜の生命力に圧倒されました。JR富岡駅は2020年3月14日に富岡駅-浪江駅の運転再開に伴い営業を開始し、東口から徒歩5分程度でこの桜並木に出ることができます。富岡町は除染も進み徐々に避難指示解除エリアも拡がってきています。

まとめ

今回は福島県富岡町の桜の名所を紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。ライトアップされた夜桜はもちろん日中に見る桜も素晴らしいものです。

映画「Fukushima50」の聖地巡礼としてもオススメで、俳優の佐藤浩市さんが回想しながら桜を眺めるシーンの撮影地点を探すのも面白いかもしれません。コロナが終息していることを願って、ぜひ来年のお花見候補地に入れてみてはいかがでしょうか。

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