地球温暖化や環境保全の対策の一つに「植林」があります。樹木が増えることで温室効果ガスが減少したり、野生生物が守られたりするといったメリットが強調されがちですが、いくつかのデメリットも指摘されています。今回は「7 Advantages and Disadvantages of Afforestation」と「Afforestation; Importance, Advantages & Disadvantages. Current Efforts!」の記事を参考に、植林のメリットとデメリットを紹介します。

植林のメリット

植林のメリットには以下のようなものがあります。

1.野生生物の生息地を提供する

動物が生きていくためには木や森が必要です。植林によって森が形成されることで、さまざまな動物の棲み処や食料をもたらす場が提供されます。植林は、野生生物や生態系の繁栄を助けることにつながります。

2.土壌浸食を防ぐ

植物や樹木がない地域は、地面の下に根のネットワークが形成されていません。そのため、風雨で表面の土が流出する土壌浸食が起こりやすい状態です。土壌浸食が繰り返されると、土地は痩せ、作物が育ちにくくなってしまいます。しかし、植林により樹木の根が土壌を結びつけることで、そのような状況に歯止めをかけることができます。

3.気候変動の課題を改善する

樹木は、光合成をすることで二酸化炭素を吸収し、酸素を出しながら炭素を樹木の中に貯蔵します。植林して樹木が増えれば、気候変動を引き起こす大きな要因となっている温室効果ガスを減らすことができます。そして、地球温暖化を抑制することにつながります。

4.人々の暮らしが安定する

不毛の土地に木を植えることで、それまで生産的ではなかった地域から木材資源を提供できるようになります。そして、木材産業が発展することにより労働者の需要が発生し、雇用の増加につながります。また、自然林を伐採して木材を提供する場合と比べて、植林のほうが供給も安定的なため、人々の仕事や暮らしも安定します。

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植林のデメリット

メリットばかりのように思える植林ですが、デメリットもあります。

1.生物多様性が減少する

植林をしてできた森林は、十分な管理をしなければ生物多様性を減少させる危険性があります。もともとその地域に生息していた在来種が住みにくくなったり、植林によって外来種が入ってきたりすることなどがあるのです。また、森林再生の方法を誤ると植物の種類が豊かではない単一的な森を作ってしまうこともあります。

2. エコツーリズムにより汚染される

植林がエコツーリズムを目的として行われた場合、森が再生しても観光客によるポイ捨てなどで森が汚染されたり、野生動物に悪影響が及んだりする可能性もあります。

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植林が環境にとって有益であることは確かですが、計画や管理の仕方を誤ることで望ましくない事態が引き起こされる危険性もはらんでいます。植林を計画する際には俯瞰(ふかん)的で長期的な視点が必要であり、新しい森林を持続可能なものにするための十分な管理が必要です。

(参考)
7 Advantages and Disadvantages of Afforestation
Afforestation; Importance, Advantages & Disadvantages. Current Efforts!

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