北海道の先住民である「アイヌ民族」は独自の文化を持ち、自然の恵みを受けて暮らしていました。文字を持たなかったことから歴史的な記録物がなく、現在も解明されていない言葉があるそうです。昨今ではアイヌ文化は薄れ言葉を理解する人が減っているといいます。かつてアイヌの集落があった白老のポロトコタンを訪れてみました。

民族衣装での舞踊が見られる|筆者撮影

アイヌ語で集落のことを「コタン」と呼びます。旭川のカムイコタン、日高の二風谷、阿寒のアイヌコタン、そして今回訪問するポロトコタンが有名で、昭和初期まではアイヌ民族が暮らしていたそうです。その起源は縄文人の末裔とも、縄文人とは異なる文化だともいわれ、結局のところはよくわかっていないのが現状です。

北海道民ならアイヌ文化に詳しいと思われがちですが、お恥ずかしい話、私はこれっぽっちも知りませんでした。そんなこともあって、今回はその文化を学びに白老町の「アイヌ民族博物館」を訪れました。

失われつつある文化を伝承する

白老町は、とりわけアイヌ民族が多く住んでいたため、いまでもその文化を大切にしています。アイヌ民族博物館にはアイヌ民族が作り上げた織物や道具、人形を使って狩りや儀式の様子を展示するほか、アイヌ民族の血を引く方々の作品も展示。文化の概略を学ぶことができます。

敷地内には「チセ」と呼ばれる家が5棟建ち、定期的に民族や文化の説明や、歌や踊りが披露されています。チセの中には囲炉裏があり、天井からぶら下がった鮭をいぶしていました。この燻製は売店で販売されています。

復元された集落、チセの様子|筆者撮影

アクティビティ豊富なポロト湖

ポロトコタンの正面には、ポロト湖が広がっています。「ポロト」自体が「湖」という意味なので、ポロト湖を日本語にすると「みずうみ湖」という、かなりくどい名前になります。ここは、体験できるアクティビティが豊富で、真冬には1月中旬ころから天然のスケートリンクやワカサギ釣りが楽しめ、夏にはカヌーを借りて優雅に水上散歩をすることができます。

カヌーで、自然を体験することも|筆者撮影

ポロト休養林内インフォメーションセンターで禁漁区ではないことを確認して、釣り糸を落とすと、ウグイやカジカがヒット。しかし釣りをするなら夏よりもワカサギが狙える冬の方がいいようです。ちなみにワカサギのほとんどが1年程度の寿命であるため、夏場はまだ小さく釣りの対象にはなりません。

ポロト休養林内インフォメーションセンターでは自転車を借りてサイクリングすることもできます。ただしクマ出没の恐れがあるので注意が必要とのこと。自然の中に入り込んでいることを実感しました。

カヌーで湖に浮かんでいると、アイヌ民族博物館周辺に今も人が棲んでいるような錯覚に陥りました。アイヌ文化の学習と自然のアクティビティが一度に楽しめるポロトコタンをぜひ訪れてみてください。

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