「イルカの島・御蔵島」を巡る旅。その2はドルフィンスイム体験をレポート!(島内を巡る『御蔵島編1』はこちら)
【島の人に会う】
『御蔵島の人』は、ドルフィンスイムガイドの郡司さん。千葉県出身で、専門学校でドルフィントレーナーを専攻し、卒業後伊豆諸島に移り住んだ移住組。実は同じ伊豆諸島の利島取材の際、利島のガイドさんとして知り合った方。その後御蔵島に移り住み、現在は民宿『鉄砲場』のガイドとして活躍中。今回の全島制覇企画で最初に取材したのが利島で、最後が御蔵島。その両方で郡司さんにお世話になるなんて、長いこと取材をしていると、こんなこともあるんだなあ。ちょっと感慨深い。
【イルカとのルール】
御蔵島では、いつまでもイルカとの良い関係を保っていくために、イルカウォッチング・ドルフィンスイムのルールを定めている(下記参照)。もちろんこのルールは、イルカだけでなく体験する人間の安全を守るためのものでもある。事前にしっかり目を通してしておきたい。
また、ドルフィンスイムは想像以上に体力を使う。場所は島の近くとはいえ外洋。一つ間違えれば危険も多い。体調管理には十分に注意したい。もしちょっとでも不調を感じたら、無理をしない方がいい。何が起こるかわならない自然が相手。注意に越したことはない。
【ドルフィンスイムを体験!】
さて、いよいよ体験! 事前に郡司さんの説明を受ける。
- 船頭さんもしくはガイドさんの指示には必ず従う
- イルカの進行方向を邪魔しない
- 触られるのを嫌がるので、イルカを決して触ろうとしない
- イルカが行ってしまったら、無理においかけず、顔を上げて船を見る
- カメラで撮影する場合はフラッシュをたかない
- 楽器などでむやみに音を立てない(ダイビングコンピューターの音もNG)
- プロペラが回っているので、船の後ろには近づかない
などなど。注意事項はこれだけではないので、事前の説明はしっかり聞く。『御蔵島観光案内所:海へ』にも掲載している。予約などに関してもこちらを確認。
レンタルすることもできるが、「マスク・シュノーケル・フィン」の3点セットを持っている場合は、自分に合ったものを用意しておきたい。服装は、夏のトップシーズンはラッシュガードでもいいが、季節や天候によってはウェットスーツがあった方がいい場合も。ドルフィンスイム予約時に確認を。
あ、船が揺れるので、酔い止め薬は用意しておいた方がいい。取材班ももちろん飲んでから挑むw
終わった後のお風呂などに関しては、事前に宿に確認。濡れたまま宿に上がるのはNG。着替えなどは事前に用意しておく。何事も事前の準備が大事。
【イルカを身近に感じる!】
さて、車で港まで送ってもらい、いよいよ乗船。小さい船でもあるし、激しく揺れたり風も強いので、持ち込むものは最小限にとのこと。3点セットと撮影する場合はカメラ、後は飲料水くらいか。そのくらいでもいいかもしれない(詳細はガイドさんに確認を)。
すぐにイルカとで会えることもあるので、船が出たらすぐにフィンなどはつけた方がいいとのこと。いそいそと準備を進める。港から出て少し進むと、船が激しく揺れ始める。ちょっとしたジェットコースターのようだ。酔い止めを飲んどいてよかった。
撮影用に自撮り棒を用意していると(アクションカムをつけてイルカを近くで撮影するために用意していた)、船頭さんから「イルカに当たることもあるから、自撮り棒は遠慮してもらっている」との説明。確かにそうだ。自撮り棒はやめておこう。撮影するカメラは手元で収まるものがいいだろう。
ほかの船も集まっているスポットに到着。この近辺にいるらしい。ちょっと海を覗くと海底が見える。10mはないくらいだろうか。船頭さんから「準備して」との合図。「右(左、両方)から入ります」という声に、順番に海に入る。ほかの乗船客もいるので、躊躇している余裕はない。自分の順が来たらすぐに足から飛び込む。
綺麗な海の中に飛び込むと、すぐ目の前に数頭のイルカの群れ! いきなりの遭遇に驚く。郡司さんはスルスルっと潜っていき、イルカの下からみんなを撮影している。さすがだ。ほかの方も慣れているようで、イルカの動きに合わせて泳いでいる。「御蔵島のイルカは遊んでくれますよ」と郡司さんから聞いていたが、まさにその通り。合わせて泳いでくれているようだ。
1頭のイルカが離れていったのでふと横を見ると、間近に別の1頭がいたりする。「触るな」という注意事項が必要な意味がわかる。まさに触れるくらいの距離にいる。気をつけなければ。
「あ、ウミガメだ」。伊豆諸島では、絶滅危惧種のウミガメを意外に多く見ることができる。ドルフィンスイム中にもチラホラ。
イルカに夢中になっていると船を見失ってしまうこともあるので、常に船の位置には注意しておく。群れが離れていったら郡司さんから「上がりましょう」との声。船に近づき順に上がっていく。船頭さんが次のポイントを探す。見つけると「入って」との合図。2時間ほどのツアーで、5、6回のチャレンジがある。終わってみればあっという間。そういえば心地よい疲労感。最後にまた海のジェットコースター体験w
宿に戻り順番にお風呂。水温はそこそこあったが(取材時の9月中旬で28度)、やっぱり体は冷えている。湯船に入って落ち着く。さあ、夕日を見ながらのビールがうまい!
【自然と共生を続ける島】
ドルフィンスイムを体験して思ったことは、「楽しいが危険もすぐそばにある」ということ。そのようなことがないように、船頭さんや郡司さんのようなガイドさんがいるが、ちょっとした不注意でということもある。同じように深い森でも勝手なことをすれば迷うし怪我をする。そうならないためのルールでもある。ルールを守りつつ、無理をしない気持ちの余裕を持って楽しむのが御蔵島なのだろう。「もうちょっと楽しみたい」が「それ以上は危険」。そんな楽しさと危険のバランスを保つためのルール。ガイドさんや船頭さんがそれを見守ってくれている。
小さい島の中に「イルカが住む海」と「豊かな巨樹の森」という恵みを持つ御蔵島。ほかではなかなかできない魅力的な自然体験ができる。そんな島ではあるが、観光客にとっては、船の欠航がままあったり、ルールが多少厳しいなど、不便を感じる場合もあるかもしれない。ただ、ちょっとしたことで、壊れてしまうかもしれないこの恵みとこれからも共に生きていくためには、このくらいの不便さとのバランスがいいのかもしれないとも思う。「もうちょっと便利にしたい」が「それ以上やっては共生できない」。ドルフィンスイムで体験した、楽しさと危険のバランスにも似ていると感じた。この自然に魅力を感じるのであれば、我々来島者は島の思いを理解し、尊重をしなければいけないと思わせる島だった。「イルカの島」として知られているが、そこは人と自然が静かに共生をする「島」(「島か?アイランドか?」に関しては『利島編2』参照)。
『自然とのバランスを感じる島・御蔵島』
そんな御蔵島の自然に乾杯!
御蔵島の観光情報は『御蔵島観光案内所』Webサイトから。
御蔵島までの船に関する情報やチケットの予約は、『東海汽船』Webサイトから。
Nature Service 正会員 島事業リーダー
酒と音楽をこよなく愛する自由な情報設計者。島での楽しみ方は素潜り。綺麗な海を見ると潜りたくなって仕方ないらしい。潜った後のビールと、民宿のご飯が大好物。ビールおじさん。