皆さまが子どもだったころ、自然をどの程度身近に感じながら育ちましたか?筆者自身は、常日頃から外で遊び、自然に親しみながら成長した記憶がありますが、それでも、森や池といったものは少し遠出をしないとありませんでした。

今回は、森や池など、豊かな自然に囲まれたカナダのネイチャースクールで行われる授業の様子や、そこで何が培われてゆくのかという点を、こちらの記事からご紹介したいと思います。

毎日がまるで校外学習

池を泳ぐアヒルの数を数える、たき火をする、泥にまみれて遊ぶ。こんなこと、遠足や校外学習、もしくは夏休み中に参加するサマーキャンプなどで初めて体験する子どもも多いのではないでしょうか。カナダのとあるネイチャースクールでは、こういった光景はごくごく普通のことらしいのです。

ここに通う子どもは、1日の3~4割をアウトドアで過ごします。敷地面積は16ヘクタール以上(東京ドームおよそ3.4個分)あり、そこにある森林、トレイル、ガーデンや池を遊びの場兼学びの場としています。子どもの一日は屋外でスタートして屋外で終え、そんな日々を幼稚園から小学6年生まで送ります。

自然が教材

カナダにはこういった学校は比較的多く存在していますが、ネイチャースクールは単に屋外で遊ぶだけ、という場ではありません。辺り一面に広がる自然を教材として、教育の場としても活用しているのです。他の一般的な教育法と異なるのは、授業のほとんどは教師ではなく生徒主体で行われるという点。

たとえば、小学校に入る前の子どもを対象としたネイチャースクールでは、森をハイキング中に偶然遭遇したコヨーテのフンをもとに授業を展開していきます。

フンの状態から、コヨーテがそこにいたのはいつ頃なのか?何を食べたと思われるか?コヨーテはどこを住みかとしているか?など、実際には小学4年生が学ぶような内容だそうですが、これを小学校に入る前の子どもが意見を出し合って話すのです。一種のブレインストーミングといったところでしょうか。

自然からの恩恵

自然と多くの関わり合いを持つと、さまざまな恩恵を受けます。子どもの自然体験の重要性を説き、研究や教育活動等を行っているNatural Learning Initiativeによると、自然のなかで学ぶことによる恩恵は、認知能力、学力、自制心、社交性や創造性の向上といったところに現れるそうです。また、意外と忘れられがちですが、視力の向上にも一役買っているのです。

環境に対する責任意識

こういったネイチャースクールが成り立つのも、地球上に豊かな自然があってこそ。子どもの頃から自然に触れると、環境に対する責任意識というのが芽生えるのだそう。自然とともに育ったからこそ、その大切さも楽しさも、そして得られることの多さも、子どもの頃から心に少しずつ刻まれてゆくのかもしれません。大人になった時に、この自然の素晴らしさを後世にも受け継ごう!と思ってくれたら有り難いですね。

さて、今回はカナダのネイチャースクールの様子や自然の恩恵等についてご紹介しましたが、一番大切なことは、何よりも子ども自身が自然の中での学びを楽しんでいるということ。ネイチャースクールに通う/通わないは別として、常日頃から自然と触れ合う機会を大人が作り、その楽しさを体感させてあげることは大切です。普段の学校生活ではなかなか経験できないこともありますから、休日を使って親子で自然体験に出かけてみてはいかがでしょうか。

 

《参考URL》
When nature is the classroom|THE GLOBE AND MAIL
MARJO JOHNE(意訳:菊地薫)

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