空きスペースや物、サービスなどを、多くの人たちと共有する『シェアリングエコノミー』。最近よく耳にするAirbnbといった民泊サービスやライドシェアのUberも、このシェアリングエコノミーの1つと考えられています。今回はそのなかでも、旅に活用できそうなサービスをこちらの記事を参考にご紹介したいと思います。
庭のシェア
まず最初にご紹介したいのは、2011年にスタートしたCamp in My Garden。その名の通り、庭をキャンプサイトとして貸し借りすることができるサービスです。キャンプ道具は自分で持ち込む必要がありますが、ホスト側(貸す側)がトイレやキッチンを貸してくれるところも多く、利便性は意外と良さそうです。
水辺に近い場所ではカヌーのレンタルをしていたり、サイクリングが楽しめそうな場所では自転車をレンタルしてくれたりと、ホストがさまざまな付加サービスを詳細に記載してくれています。農園の片隅を貸してくれる人もいますので、そんな場合は農産物のおすそ分けなんてことも!
どうやらこのサービス、部屋を貸すことに抵抗があっても、庭なら貸しても良いと思える人がいるところに需要があるようです。また、借りる側も宿泊費が非常に安く済むこともあり、イギリスやヨーロッパにとどまらず、世界各地で人気が広がりつつあるみたいですね。
なんでも貸し借り
続いては、上記同様に個人間の貸し借りができるzilokというサービス。こちらは、車、重機、工具、家、パーティードレスetc……、まさにありとあらゆるものを個人間で貸し借りすることができる、というものです。
貸す側は、「買ったけど使っていない物がある」「たまに使う程度だから使っていない期間は誰かに貸したい」といった場合に利用するようです。一方の借りる側は、「滅多に使わないから借りて済ませたい」「買っても置く場所に困るから借りたい」もしくは、「購入を決めかねている品物を借りて試してみたい」などといった場合に利用します。
民泊サービス同様に、家を一軒丸ごと貸し借りというのももちろん可能ですが、ここでの注目はやはり、キャンプ道具やBBQセット、カヤック、ボート、スキーといったアウトドア系のアイテムも多数揃っていることでしょうか。持ち運びが難しいものや所有していないものなどを現地で借り、自分のスタイルに合った旅をするのに利用してみると良いかもしれませんね。
食事のシェア
最後にご紹介したいのはEat With。旅先で現地の人のお宅にお邪魔して、食事を共にするというシェアリングサービスです。もっと地元の人たちとコミュニケーションをとりたい、料理の作り方や食材、特徴などを詳しく知りたい、なんて人には特にお勧めです。
ホストが、食事の形態(ブランチ、昼食、夕食など)やメニューの詳細を記載していますので、自分の好みに合った食事を選択することができます。食事場所は、ホストの家という一般的なものから、船の上やルーフテラスといった趣向を凝らしたものまで、さまざまな選択肢があります。
一緒に食事をする人数は、ホスト側が大抵の場合、最少人数と最大人数を記載しています。少人数の場合もあれば、大人数の場合もあり、現地の人に限らず、他国の人たちと同じテーブルを囲む可能性が十分にあり得ます。イタリア旅行に行き、イタリア料理に舌鼓を打ちながら、スペインから来た旅行者とも色々な情報交換を楽しむ、なんてこともあり得ちゃうということですね。
気になるお値段ですが、一食あたり1万円前後という価格設定もざらで、決して安いとは言い難いのです。ですが、ホストにはプロの料理人やそれに匹敵する腕の持ち主も含まれているため、彼らの料理に対する知識や技術、サービスを考えれば妥当かもしれないと感じました。その国の文化や食生活を感じる社交場として、旅に取り入れてみると面白いかもしれませんね。
今回ご紹介したのは、シェアリングエコノミーのごくごく一部ですが、こういった考え方の普及により、旅の形が大きく変化しつつあります。日本では、まだまだ普及していないサービスも多々ありますが、自分好みの旅行プランやその地域に密着した楽しみを見つけやすくなってきています。これまで、旅行会社のパッケージツアーにしか頼ったことがないという方も、シェアリングエコノミーという考え方を上手に取り入れ、より面白く、ワクワクする旅を計画してみてはいかがでしょうか。
《参考URL》
HOW TO USE THE SHARING ECONOMY TO TRAVEL ON A BUDGET|Nomadic Matt
(意訳:菊地薫)
Nature Serviceのウェブメディア NATURES. 副編集長。
自然が持つ癒やしの力を”なんとなく”ではなく”エビデンスベース”で発信し、読者の方に「そんな良い効果があるのなら自然の中へ入ろう!」と思ってもらえる情報をお届けしたいと考えています。休日はスコップ片手に花を愛でるのが趣味ですが、最近は庭に出ても視界いっぱいに雑草が広がり、こんなはずじゃなかったとつぶやくのが毎年恒例となっています。