世界のハイパフォーマーから心や体を健やかに保つヒントを得る【ハイパフォーマーの習慣をヒントに!】シリーズ。
(前回:少しの意識改革でストレス軽減へ!【ハイパフォーマーの習慣をヒントに!】)
最終回となる今回は、「散歩の不思議!~大事なときほど、自然のなかへ~」と題し、ハイパフォーマーが日常的に散歩をしている事実、そしてなぜ散歩が良いのかという点を、こちらの記事からご紹介したいと思います。
散歩の良さを知るハイパフォーマーたち
アニメーションスタジオの1つ、「ピクサー」をご存知でしょうか。そこでかつてCFOを務めたローレンス・レヴィは、世界に名を知らしめる企業にピクサーを成長させた人物の一人です。彼は幼少期をロンドンで過ごしたそうですが、当時から考える必要のある時は、常に散歩をしていたそうです。
「外で体を動かして、空気を吸うという行為には何か惹きつけられるものがある」と彼は語っており、散歩をしながら考えをめぐらすことに意義を見出しているようです。
また、Facebookのマーク・ザッカーバーグやAppleの創設者であるスティーブ・ジョブズも散歩をこよなく愛し、考えをまとめるときや、ミーティングを行うときに散歩を利用することはよく知られています。
シリコンバレーに住むハイパフォーマーには、散歩、それも自然のなかを歩くことで、問題解決能力や創造力を高めている人たちがおり、ある種、シリコンバレーのトレンドといっても過言でないほど、散歩を日常的に取り入れているのです。
自然のなかを散歩する良さの秘密
『美しい滝を眺めていたらひどく疲れたよ、なんていう人はいませんよね?』とシカゴ大学のマーク・バーマン教授は言います。確かに、と皆さまも思いませんか?
心理学を専門とするバーマン教授によると、自然のなかを歩くと、「選択的注意」(directed attention)が回復されるというのです。「選択的注意」とは、周囲に情報があふれている時に、そのなかから特定の何かに注意を向けることを指します。
たとえば、人の話し声や電話の音が聞こえ、窓からは車などがせわしなく行き交う様子が見える場所にいるとします。そういった環境下で重要な意思決定をしたり、自分の考えに集中しようとしたりする場合、人は「選択的注意」を発動します。
つまり、周囲の雑音や視界に入ってくる余計な情報などをシャットアウトし、自分が本当に必要な情報だけに、選択的に注意を向けようとします。するとどうなるのでしょうか?脳は余計な情報をシャットアウトすることにもエネルギーを使うこととなり、その分、脳が疲れるのです。
しかし、自然の中を散歩している場合、周囲の雑音といった不必要な情報はそこにありません。要するに、「選択的注意」を発動する必要がなくなり(もしくは最低限に抑えられ)、その分、本当に考えたいことに脳のエネルギーを使えるのです。それが、散歩をしていると新しいアイディアが生まれたり、考えがまとまったり、難しい問題に解決策を見出せたりする仕組みだというのです。
さらなるメリットも期待できる
カリフォルニア州の都市、マウンテンビューにオフィスを構えるLinkedInのCEO、ジェフ・ウェイナー氏もまた、散歩を利用してミーティングを行ううちの一人です。彼によると、自然のなかを散歩すると、気が散るものがそこに存在しないため、質の高い対話ができるというのです。
また、率直で、遠慮のない議論ができるのも、自然のなかを散歩することの副産物だと彼は言います。その理由は、屋外にいる快適さによるところと、肩を並べて歩く代わりに目と目を合わせることがないという点にあります。
視線を合わせて会話をすると、人によっては相手の視線(特に上司の視線)を威圧的に感じることがあり、思ったことをなかなか口にできない場合があります。その点、肩を並べて歩く散歩では、視線による威圧感がないため、より率直な意見が聞けるそうなのです。
では、もし、皆さまが散歩を取り入れてみよう!と思った場合、どのような場所が適しているのでしょうか。オススメはやはり自然のなか。車や人通りが多い場所では、車を避けなきゃ!人にぶつからないように歩かなきゃ!という意識が働くため、集中して考えることができません。周囲に渦巻く余計な情報が目や耳から入ってくるのを最小限に抑え、本当に集中して考えられる環境を整えてあげましょう。
仕事、家庭、勉強などさまざまな局面において、柔軟な発想が必要なとき、思考が停止するほど脳が疲れたとき、重大な決定をしなければならないとき、というのは誰にでもあります。そんな時は、屋内にじっととどまらず、ぜひ自然のなかを散歩してみてはいかがでしょうか。
《参考URL》
Why Silicon Valley’s top execs are obsessed with taking walks|CNNMoney
Matt McFarland(意訳:菊地薫)
Nature Serviceのウェブメディア NATURES. 副編集長。
自然が持つ癒やしの力を”なんとなく”ではなく”エビデンスベース”で発信し、読者の方に「そんな良い効果があるのなら自然の中へ入ろう!」と思ってもらえる情報をお届けしたいと考えています。休日はスコップ片手に花を愛でるのが趣味ですが、最近は庭に出ても視界いっぱいに雑草が広がり、こんなはずじゃなかったとつぶやくのが毎年恒例となっています。
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