ある年、私は五十肩の痛みに半年ほど悩まされていました。マッサージ師の友人から「五十肩はストレスが原因のことが多い」と言われたのですが、内心、自分はそんなにストレスを感じていないのにと思っていました。

そんな時、とあるプロジェクトの終わりが近づいたころ、妻が「天気が良さそうなので久しぶりに歩きに行こう」と誘ってくれたので、前々から気になっていた大菩薩嶺に出かけてみることにしました。実は私は晴れ男で、山に行くときは高確率で晴れ、しかも快晴になります。妻もそれを知っていて綺麗な景色を見るのを楽しみにしています。どうか晴れてくれますように!

筆者撮影

大菩薩嶺とは?

大菩薩嶺は秩父山塊にある標高2057mの山で、日本百名山の一つです。同じ稜線上にある大菩薩峠の方が有名ですね。大菩薩嶺は標高1600mの登山口まで車で行けるうえ、ルートも比較的短く、眺望良好の稜線歩きができる人気のトレッキングコースです。その稜線からは、秩父の山々や南アルプス、富士山まで望むことができます。

登山開始!

私たちが大菩薩嶺を訪れたのは、10月の連休最終日で快晴!車も人もいっぱいでした。起点になるロッヂ長兵衛から歩き始め、樹林帯の中を抜け次の福ちゃん荘へ。軽い休憩を取っていると、ふいに妻が「あの外国の方、見たことがある!『のだめカンタービレ』に出てた俳優さんじゃない?」とつぶやきます。「確かに!」と思いつつも、なかなか声をかけることもできずそのまま歩き出しました。

時々登ってきた道を振り返り、少しずつ高度が上がっているのを確かめながら登り続けます。普段は口数の少ない私ですが、標高が高くなると気持ちがリラックスしておしゃべりになるんです。これってハイキングハイ?とでも言うのでしょうか。視界が開けたところで見渡してみると期待通り富士山が見えました。

筆者撮影:富士山

山頂へ、そして稜線歩き

順調に歩を進め木々に囲まれた穏やかな大菩薩嶺の山頂に着きました。

筆者撮影:山頂に到着!

頂上で一休みして、今度は眺望の良い稜線を進みます。快晴なので、南アルプスや富士山がずーっと見えていました。

筆者撮影:稜線、休憩中の人々

冒頭の写真も稜線からの一枚です。景色があまりにも素晴らしいので、ふぅ~と大きく息をして、しばらくそのまま眺めていました。休憩中、先ほどの俳優さんが来られたのでちょっと勇気をだして声をかけました。ドイツ人だというその方は映画の役とは異なりとても気さくで、「のだめ」のこと、日本で登った数々の山のこと、いろいろと話してくれました。こんな思いがけない出会いがあるのもハイキングの魅力です。

下山、そしてその翌日

そのまま稜線を行き大菩薩峠から下山しました。紅葉も最盛期でした。

筆者撮影:見事な紅葉

普通なら3,4時間歩けばそれなりに疲れるのですが、この旅は景色と出会いに癒やされたのかまだまだ元気で、帰りに河口湖に立ち寄る余裕もありました。

筆者撮影:河口湖と富士山

その晩は、自宅に帰ってからも楽しかった山行に浸りながら床につきました。

そして翌朝です。驚いたことに、あれだけ痛かった右肩が自由に動くではありませんか!やはり原因はストレスだったのか!たった一日のトレッキングでしたが、心身ともにこんなに癒やされるとは…。改めて自然の中に身を任せることの心地よさを感じましたし、これまでにない思い出深い山旅となりました。

いつものように好きなことをするのも気分転換になりますが、本当にリラックスするには環境をガラッと変えることも必要なのかもしれません。疲れを覚えているときこそ、自然の中に出かけてみてはいかがでしょうか。

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