今回は「つくる責任つかう責任 エシカル消費を知ろう!」の続編です。
前回はSDGsの12番目の目標「つくる責任つかう責任」について、サプライチェーン問題を「つくる責任」、エシカル消費を「つかう責任」と当てはめ解説しました。
私たちに迫る「つかう責任」を果たすためには、実際にどのようにエシカル消費をすればよいのでしょうか。
本記事では私たちができるエシカル消費にはどのようなことがあるのか、日本ではどの程度エシカル消費が行われているのかを具体例をあげながら解説していきます。
本題に入る前に少しだけエシカル消費をおさらいしておきます。
エシカル消費とは
- エシカル消費は日本語で「倫理的な消費」
- サプライチェーン(「もの」がつくられ消費者に届くまでの流れ)上で人権侵害や環境破壊があった「もの」は買わない
- 人権と環境に十分に配慮されてつくられた「もの」を買うこと
- 買うことによってサプライチェーン上の問題や課題を解決する手助けとなるような「もの」を選択し買うこと
- 私たちは「つかう責任」を考える必要に迫られている
前記事ではこのような解説をしましたが、これを踏まえて具体例をみていきます。
私たちができるエシカル消費の具体例
ここから私たちができるエシカル消費について具体例をあげながら解説していきます。
フェアトレード商品を選ぶ
フェアトレード(公正な取引・貿易)といって生産者の労働環境や賃金が十分に配慮され、製品や原材料が適正な価格で取引され販売されているものです。スーパーやコンビニエンスストアで売っているコーヒー豆の包装でよく見かけますね。
フェアトレードコーヒーを初めて見た時、他の商品は「フェアトレード」ではなかったのだと知り、がく然としたのを覚えています。
SDGsの1番目の目標「貧困をなくそう」、10番目の目標「人や国の不平等をなくそう」などその他の目標にもつながります。
認証ラベルのある商品を選ぶ
MSC(Marine Stewardship Council 海洋管理協議会)認証
海洋環境に配慮され乱獲などから守られた環境でとれた水産物であるという認証です。水資源の枯渇を防ぎSDGsの14番目の目標「海の豊かさを守ろう」にもつながります。
(※MSC認証に関しては、映画『Seaspiracy:偽りのサステナブル漁業』で認証手続きなどを問題視する内容が含まれていました。それに対するMSCの見解も発表されており、消費者としてはこういった問題を今後も注視する必要がありそうです。)
関連記事:魚介類の乱獲で水産資源がピンチ?SDGsの取り組みから漁業の現実を見つめ直す
FSC(Forest Stewardship Council 森林管理協議会)認証
森林環境に配慮され違法伐採などから守られた、適正な管理下でとれた森林資源という認証です。森林の破壊を防ぎSDGsの15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」にもつながります。
こうした認証ラベルのあるものは分かりやすいです。
寄付つき商品を選ぶ
買うことによって売上の一部が寄付金になる商品があります。(2022年5月現在)
例として売上の一部が寄付金になる森永製菓のチョコレートをあげます。
チョコレートの原料のカカオがつくられるガーナなど赤道近くの国々。その子供たちが安心して教育を受けられるよう支援しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
森永製菓のホームページ
SDGsの4番目の目標「質の高い教育をみんなに」などにもつながります。
その他
- 地産地消する:地域の活性化につながります。また輸送のコストとエネルギーの削減にもつながります。
- エコ商品を選ぶ:リサイクル素材でつくられたものを選ぶ。家庭で出る資源ごみのリサイクルも大切なことです。
一度に全てを変えることはできない
いくつかエシカル消費の具体例を紹介してきましたが、コンビニエンスストアやスーパーで買い物をする際、フェアトレードやMSC、FSCの認証ラベルがついた商品はまだ少なく認知度も高いとは言えません。しかもフェアトレード商品はそうでない商品とくらべ割高です。
現時点で買い物や消費を全てエシカル消費に変えるということは不可能ですが、頭の片隅にあることとまったく知らないことには雲泥の差があります。
まずはエシカル消費を知りフェアトレード商品やMSC、FSC認証の商品を一度手にとってみることをおすすめしています。
日本におけるエシカル消費の現状
これまでエシカル消費について述べてきましたが日本の現状はどうなのでしょうか。
再生紙などのリサイクル商品、いわゆる「地球にやさしい」という文言が記載された商品が環境に良いとなんとなく思っている程度ではないかと思います。
日本ではフェアトレードという言葉もまだ認知度は高くなく、自分が買う商品がフェアトレード商品かどうかを確認することもなく消費しているのが現状です。そのためフェアトレードに積極的な企業も多くありません。
欧米諸国では消費者がフェアトレード商品を積極的に選び、企業は消費者に選ばれるために積極的にフェアトレード商品に取り組むという好循環ができています。
2020年日本国内のフェアトレード商品の小売販売額は人口一人当たりで104円であったのに対し、欧米諸国の中でも特に意識の高いスイスでは11267円と100倍以上の差がついています。
参考資料
【国内海外フェアトレード市場動向】国内市場規模131.3億円とコロナ禍にも関わらず伸張
このままでは日本人は「非倫理的」と見られてしまうかもしれません。
こうした結果から見ても日本はエシカル消費市場においてまだ発展途上国なのです。
まとめ
今回は私たちができるエシカル消費の具体例と日本の現状について解説してきましたがいかがでしょうか。
エシカル消費はすぐにできそうな部分もありますが、私たちの消費のほんの一部分でしかありません。
それでもエシカル消費を実践できるところは実践し、できない場合であっても頭の片隅に置いておくことで「つかう責任」という意識の変化が広がっていくのだと思います。
今回の記事をまとめます。
私たちができるエシカル消費の具体例
- フェアトレード商品を選ぶ
公正な取引・貿易のもと生産者の労働環境や賃金が十分に配慮され、製品や原材料を適正な価格で取引、販売されている商品 - 認証ラベルのある商品を選ぶ
MSC認証、FSC認証ラベルのついた環境に配慮された海や森林で採れた資源を使用した商品 - 寄付つき商品を選ぶ
買うことによって売上の一部が寄付金となる商品
その他
地産地消やリサイクル素材でつくられたエコ商品を選ぶこともエシカル消費につながります。
フェアトレード商品やMSC、FSC認証の商品を一度手にとってみることをおすすめしています。
日本におけるエシカル消費の現状
- 「エシカル消費」「フェアトレード商品」などの認知度はまだ高くなく、特に意識せず消費しているのが現状
- フェアトレードに積極的な企業もまだ多くはない
- 2020年日本国内のフェアトレード商品の小売販売額は人口一人当たり104円でスイスでは11267円と100倍以上の差がついている
- 日本はエシカル消費市場においてはまだ発展途上国である
私たちが消費しているものがどういった過程を経て今目の前にあるのか、一度思いを巡らせてみませんか。
エシカル消費は欧米諸国で特に意識が高く日本ではまだまだ「海外のこと」のように感じるかもしれませんが、私たちも取り残されないようまずは「知ること」から始めてみてはいかがでしょうか。
福島県内の除染作業に関わり福島の自然が好きになりました。趣味はクラシックギターとアロマで香りや灯りに癒されつつギターを弾いています。