海辺を歩いたり、川や湖のほとりで座ったりしていると気持ちいいですよね。心も落ち着くように感じます。でも、一体どのような効果があって、そこに科学的な根拠はあるのでしょうか。
森林浴をしたり、オフィスに観葉植物を置くなど、いわゆる「緑」については研究も多く、健康面や心理面に与える効果についてもよく見聞きします。でも、海、川、湖のような「青」い場所についてはあまり聞いたことがないように思います。
今回は「Blue spaces: why time spent near water is the secret of happiness」と「What impact do seas, lakes and rivers have on people’s health?」の記事を参考に、青い場所の効果をご紹介します。
ストレスが減る
緑の環境がストレスを軽減することはよく知られていますが、青い環境にもストレス軽減の効果があります。
これは、ヨーロッパの「Blue Gymプロジェクト」という水の環境に関する研究チームによって明らかにされました。このチームは「緑」の効果に関して行われた過去の調査を「青」についても実施するということを行いました。
例えば、緑の環境が写った写真を被験者に見せると、緑の量が増えれば増えるほどストレスが減ったという結果が出た過去の調査がありました。そこで、このプロジェクトでは池や海、噴水などの青い環境の写真も入れて再調査を行ってみたのです。
すると、緑と同じように青い量が増えれば増えるほど、被験者のストレスが下がることがわかりました。それだけではなく、緑と青の両方が含まれた環境の写真で最も高い効果が得られるという結果が出たのです。
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幸福感が増す
「Blue Gymプロジェクト」のメンバーで環境心理学者のマシュー・ホワイト博士によると、青い環境で過ごすことは幸福感を高めます。
ホワイト博士は2万人のスマートフォン使用者を対象に、居場所と幸福度を記録させるという調査を行いました。自分がいる場所の環境とその時の幸福度を入力してもらったのです。その調査によると、海や海岸などの水辺にいる場合が最も幸福度が高いという結果が得られました。
また、別の調査では、海岸から5km圏内に住んだり、あるいは少なくとも週に2回海辺を訪れたりすると精神的な健康が得られるという結果も出ています。
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活動的になる
青い環境にいると、人は活動的になり、身体的に健康になる、と前出の博士は言います。
海や湖、川などのある場所は、街と比べて空気がきれいで、太陽の光も当たりやすく環境的に有益な場所と言えます。そのような場所では、人々は活動的になる傾向があり、ウォーキングやサイクリングなど体を動かす活動をする人が増えることがわかっています。
また、特に水を使った活動をするときには、人は没頭しやすいとも考えられています。
水を使った活動と言えば、水泳やサーフィン、ボートなどがありますが、それらをする時には水の動きを理解する必要があります。また時には、風や天候の変化など環境要因に集中する必要もあります。このような時、人は感覚や認知力を駆使することになり、その過程が活動に没頭させると考えられているのです。
まとめ
「緑」の環境と同じ、あるいはそれ以上の効果がある「青」い場所。山や森もいいですが、時には海や湖を訪れてみてはいかがでしょうか。
(参考)
Blue spaces: why time spent near water is the secret of happiness
What impact do seas, lakes and rivers have on people’s health?
田舎育ち18年、都会暮らし28年、海外暮らし5年。どこにいても緑と土が必要で、ときどき「山が見たい」と駄々をこねます。老後はヨット好きの主人と海と山の両方が見える場所に住みながら、世界各地を旅したい欲張り50代です。