環境問題への意識が高まりつつある昨今、「エコツーリズム」という言葉をよく聞くようになりました。「エコツーリズム」は、英語の「Ecology(環境や自然、生態)」と「Tourism(観光旅行)」を組み合わせて作られた言葉で、自然環境を破壊することなく、地域の文化や歴史を学ぶことを目的とした旅行のことです。

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エコツーリズムは、地域の環境や経済にも、また旅行客にもメリットのある旅行スタイルですが、良い側面ばかりではありません。エコツーリズムという聞こえの良い言葉の裏には、デメリットも隠されています。

今回は「Counting The Benefits Of Ecotourism」の記事を参考に、「エコツーリズム」のメリット・デメリットを紹介します。

地域環境へのメリット・デメリット

世界のどこにでも旅行に行けるようになった現代ですが、その手軽さゆえに問題も発生しています。多くの観光客が訪れることで環境が破壊されたり、現地の人々の生活環境が悪化したりという問題が世界の各地で起きているのです。

エコツーリズムは、「観光公害」とも言われるこれらの問題に対する有効な対策の一つとして機能しています。

国立公園の入場客を制限したり、現地住民の暮らしへの理解を深めるスタディツアーを実施したりするなど、自然環境と地域の文化・伝統を守ることを目的としたさまざまな旅行が提供されています。

しかし、一方でエコツーリズムの過熱が新たな課題を引き起こしています。例えば、観光客にもっと自然を体験してもらおうとしたことで、手付かずの地域に人が踏み込み、自然界のバランスが崩れてしまうということあります。

また、観光客にもっと喜んでもらえる伝統文化を紹介しようとしたことが、地域の伝統の本来の姿をねじ曲げてしまうこともあるのです。

地域経済へのメリット・デメリット

エコツーリズムは地域経済とも深い関わりを持っています。エコツーリズムの広がりにより、立派なホテルや観光施設がない場所にも人々は目を向け、ありのままの自然を楽しめる場所にもやってくるようになりました

そして、それまで農業や漁業などの低い収入しか得られなかった所にも、観光業による収入がもたらされ、人々の生活が豊かになりました。

しかし、観光業のほうが収入が良いと知った現地の人々が、それまでの伝統的な産業を離れてしまうというケースも出ています。また、エコツアーを実施する会社のスタッフやガイドを現地住民から採用するのではなく、環境に対する知識や語学に長けた他の国の人を採用するという会社もあります。その場合、現地住民の雇用の機会が奪われ、失業率が上がったという地域もあるのです。

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まとめ

エコツーリズムのメリットとデメリットは表裏一体です。メリットの裏にデメリットが隠されている場合もあります。

エコツーリズムを選ぶ時には、自然環境や現地の人々の生活を考え、適切に運営されたものなのかどうかを慎重に確認する必要があります。そして、現地を訪問した際にも、環境とそこに住む人々への影響を可能な限り減らせるような行動をひとり一人が取ることが大切です。

(参考)
Counting The Benefits Of Ecotourism

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