近年、旅の形が変わりつつあります。かつては「旅行」と言えば、いかに効率よくたくさんの観光スポットをまわるかが重要視されていました。でも、最近注目されているのは「スロートラベル」。その言葉の通り、ゆっくり旅をすることがトレンドになりつつあります。「スロートラベル」は、これまでの量重視の旅行とは真逆と言ってもいいかもしれません。今回は「What Does Slow Travel Mean? (And How To Do It)」と「Slow Travel: How This Has Become Popular Among Young Adults In 2024」の記事を参考に、「スロートラベル」とは何か、なぜ今人気が高まっているのかを紹介します。
「スロートラベル」とは?
「スロートラベル」とはゆっくり旅をすることですが、主なポイントは二つ。その一つ目は、一か所に長く滞在することです。例えば、これまで四泊五日で三つの異なる都市や場所を飛び回っていたとすれば、スロートラベルではすべての期間を一つの場所で過ごします。滞在先で地域の産業や文化体験をしながら地元の人々と交流する機会を持ったり、地元経営の小さなレストランで食事をして店のオーナーとおしゃべりをしたり。観光地をさらっと見て通り過ぎるのではなく、その場所にじっくりとどまって人々の生活や日常に触れる、それがスロートラベルの旅のスタイルです。観光客としてというよりも、地域の一員として文化や環境を深く体験することで、より豊かな経験を得ることができます。
もう一つのポイントは、ゆっくり移動すること。飛行機ではなく電車で、車ではなく自転車や徒歩に置き換えて、ゆっくりと移動します。時間はかかりますが、車窓から見える風景や自転車に乗っているときの風の匂いなど、その土地の自然を全身で感じられる特別な体験です。
ちなみに、移動自体を楽しむスロートラベルに通じる「オーバーランディング」という旅もあります。雄大な自然の中をオフロード車で楽しみながら移動することで地域の自然を体感し、日常からの解放感を味わえる旅です。どんな旅か気になる方は「オーバーランディングとは?非日常を味わえるその魅力と楽しみ方!」もご覧ください。
なぜ今「スロートラベル」なのか?
スロートラベルの台頭には、いくつかの要因があります。一つは、本当の意味での休息や癒やしを求める人が増えていることです。さまざまなことがスピード化された現代社会では燃え尽き症候群という言葉もあるほど、人々は疲れ果てています。スロートラベルで、くつろぎの時間を得て自分を再充電する時間を求める人がスロートラベルに惹かれていると考えられます。
また、人々の環境への意識が高まっていることも要因の一つです。スロートラベルでは、自然環境や地域社会を尊重しながら旅を楽しむことが重視されています。大量の観光客が有名な観光地に押し寄せ、ごみや落書きを残していくといったことが問題視される中、スロートラベルは環境にも人にも優しい旅行スタイルとして注目されているのです。
(参考)What Does Slow Travel Mean? (And How To Do It)
Slow Travel: How This Has Become Popular Among Young Adults In 2024
田舎育ち18年、都会暮らし28年、海外暮らし5年。どこにいても緑と土が必要で、ときどき「山が見たい」と駄々をこねます。老後はヨット好きの主人と海と山の両方が見える場所に住みながら、世界各地を旅したい欲張り50代です。