「旅行」というと、どんな旅をイメージしますか。グループで観光地を巡る旅、それとも個人で温泉やグルメを楽しむ旅でしょうか。最近では「スロートラベル」や「ウェルネスツーリズム」といった新しい旅の形も登場しています。旅行にはさまざまなスタイルがありますが、近ごろ人気なのは「アドベンチャーツーリズム」です。「アドベンチャー=冒険」ですが、一体どんな旅なのでしょうか。今回は「What is Adventure Tourism?」と「Adventure tourism grows in popularity」の記事を参考に、「アドベンチャーツーリズム」をご紹介します。

アドベンチャーツーリズムとは?

「アドベンチャーツーリズム」という言葉から想像すると、山の上からパラシュートで飛び降りるとか、サメとスキューバダイビングをしたりする大冒険のような旅だと思うかもしれませんが、必ずしも危険なことに挑戦するのではありません。「アドベンチャーツーリズム」は新しい概念なのでまだ明確な定義はないのですが、世界最大のアドベンチャーツーリズムネットワークであるATTA(Adventure Travel Trade Association)は、「アクティビティ、自然、文化体験の三要素のうち、二つ以上で構成される旅行」としています。

例えば、洞窟探検やバードウォッチングは「自然」と「アクティビティ」という要素を満たしており、山寺での修行体験も「アクティビティ」「自然」「文化体験」という三要素を満たしているのでどちらもアドベンチャーツーリズムだと言えます。新しい文化や風景に触れながら、同時に体を動かす旅行がアドベンチャーツーリズムなのです。

なぜ今アドベンチャーツーリズムなのか?

今なぜアドベンチャーツーリズムが人気なのでしょうか。その理由は、いくつか考えられます。まず一つは、人々が体験に飢えているということです。ATTAのシャノン・ストーウェル会長は消費者調査の結果から、多くの消費者の関心は物欲から実際の体験へと変化しており、そのことがより多くの人々を旅行へと向かわせる原動力になっていると言っています。

アドベンチャーツアーを提供するパイオニア的旅行会社であるG Adventuresのアリステア・ブッチャーズ氏は、アドベンチャーツーリズムの大きな原動力となっているのはSNSだと指摘しています。今はSNSのボタンをクリックするだけで世界各地の情報が得られるようになりました。

そして、かつては勇敢な人しか行けなかった場所や未知の体験もフェイスブックやブログの投稿を見れば大体のことがわかるようになり、冒険に挑戦するハードルが低くなっています。パッケージ旅行でビーチに行ったり観光地を巡ったりするよりは、一風変わった場所で味わったことのない体験をしてみる。そんなちょっとした冒険が人々の心を刺激し、アドベンチャーツーリズムが注目されるようになってきているのです。

そして、さらに拍車をかけたのが新型コロナウイルスの蔓延です。ソーシャルディスタンスが求められたコロナ禍で人々は都市部や観光地を避け、自然の中へと向かっていきました。また、多くの活動が制限されていたため閉塞感や不満を感じる人も多くいました。状況が落ち着き再び人生も旅行も楽しみたいという気持ちがアドベンチャーツーリズムにつながっているようです。その証拠に、ある調査によると2019年から2021年の間にアドベンチャーツアーに乗り出す旅行者の数は8%から18%へと大幅に増加しています。

(参考)
What is Adventure Tourism?
Adventure tourism grows in popularity

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