「ジオツーリズム」という新しい旅の形をご存じでしょうか。「ジオ」は「地球」や「地質」を意味する接頭辞です。「ジオロジー:地質学」「ジオパーク:地球の歴史や自然の美しさを保護し、教育や観光を通じて人々に伝える場所」といった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。では、「ジオツーリズム」とは、どのようなものなのでしょうか。今回は「What is geotourism and why is it important?」と「What Is Geotourism? (And Why Is Important)」の記事を参考に、「ジオツーリズム」の定義や背景、具体例を紹介します。

「ジオツーリズム」とは

ジオツーリズムは、地球の地形や地層に注目した観光スタイルです。例えば、火山や岩山、特殊な地層や洞窟などを見ながら、その場所の自然の歴史や美しさを学びます。単に景色を楽しむだけでなく、地球が現在の姿に至った経緯や進化についても知ることができ、環境を守る意識が高められます。

ジオツーリズムが始まったのは1990年代の中ごろです。最初は、地質学者や自然愛好家が地形や地質の不思議を学ぶために特定の地域を訪れることから始まりました。これが観光産業にも取り入れられるようになり、今では世界中でジオツーリズムが行われています。地形や鉱物、化石などの地質学的な資源を使って楽しむジオツーリズムでは地質学の知識を学ぶことができ、そのことが旅行に深みを与え、訪れた人に新しい視点をもたらしてくれます。

「ジオツーリズム」の具体例

ジオツーリズムでは、観光旅行ではできないユニークな体験ができます。例えば、中国の雲南省に「雲南石林」という有名な地質公園があります。ここには数百万年かけて風や雨で削られた不思議な形の石がたくさんあり、それらがまるで森林のように見えることから「石林」と呼ばれています。ここを訪れると自然が作り出した奇妙な形の石を見ながら、地球の歴史を学ぶことができます。

「ドロミテ山塊」は、イタリア北部に広がる美しい山岳地帯で、ユネスコの世界遺産にも登録されています。この山塊は特に独特な形をした岩山が多く、夕方になるとその岩が赤く染まることで知られています。ここでは山の地層や岩の形成過程を学びながら、絶景を楽しむことができます。これらの場所では、観光収入が環境保全活動の資金としても活用されています。

ジオツーリズムの課題

注目されつつあるジオツーリズムですが、いくつかの課題もあります。それは、観光客が増えることにより自然環境への負荷が大きくなることです。多くの人が訪れることで、地形や岩が壊れたり、動植物の生息地が乱れたりすることがあります。また、珍しい岩や化石などといった地質学的資源を保護しつつ観光にも活用するには、そのバランスをどのようにとっていくかも課題です。

ジオツーリズムを持続可能にするためには、観光客の数を管理したり、地域の専門家や住民と協力して環境に負荷をかけないプランを立てたりすることが重要です。また、訪れる観光客側もマナーやルールを守り、自然環境を大切にしながら楽しむ意識を持つことが求められます。学びの多い新しい旅のスタイルを、一度体験してみてはいかがでしょうか。

(参考)
What is geotourism and why is it important?
What Is Geotourism? (And Why Is Important)

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