2025年4月、鳥野目河川公園オートキャンプ場(栃木県那須塩原市)の指定管理者として新たに始動した私たちNature Service。「デジタル化」「ごみの持ち帰り」「ペット同伴」など、多くの変化に挑戦しています。

とはいえ、変化があると「戸惑い」や「もっとこうして欲しい」という声も当然出てきます。そこで「キャンプ場が実際にどう変わったのか?」「新施策はどのように受け止められているのか?」をリアルにお伝えするため、アンケート調査やユーザーインタビューの内容を紹介します。

新運営体制の概要とインタビュー実施の背景

「自然に入ることを、もっと自然に」をテーマに活動するNature Serviceが鳥野目河川公園オートキャンプ場の運営を引き継いでから2カ月。私たちが掲げる「事業再生型指定管理『Uplift』」という考え方は、単なるコスト削減ではなく、公共施設の持続可能性を高め、未来に残していくための取り組みです。

具体的には、デジタル技術の活用による効率化、時代に合わせた運営形態の見直し、そして地域との協働を通じて、「行政・事業者・地域」の三方良しを実現するモデルを目指しています。このような持続可能な運営アプローチに基づき、那須塩原市の募集要項上で示された指定管理料上限額より、3年間で約1,731万円の削減提案を行い、採択されました。

こうした変革の中でも大切にしているのは、利用者の皆さまが「自然」を体感できる場をつくること。そして同時に、キャンプ場を将来にわたって維持していくための持続可能な運営を確立することです。

しかし、理念や計画は机上のものではなく、実際に利用される方々の体験によって初めて評価されるべきもの。そこで4月から5月にかけて、利用者アンケートやインタビューを実施し、率直な声を聞きしました。その中からは、想定以上の良い評価をいただいた点もあれば、改善すべき課題もありました。

リアルボイス:【利用者アンケート】より

利用者の皆さまにお送りしているアンケートに寄せられた「リアル」な評価と期待をご紹介します。ポジティブな声だけでなく、改善を求める声も含めてお伝えします。

オンライン予約・チェックインシステム

▼満足の声

「チェックインがQRコードを見せるだけで非常に簡単で良かった」(2025年4月12日利用・フリーサイト)

「QR決済は良いと思います、ここのキャンプ場は最高なんで、今後も期待してます」(2025年5月3日利用・オートキャンプサイト)

▼改善を求める声

「毎年利用させて頂いてますが、人による受付より、時間がかかりました。仕組みが変わった初年度のためかもしれませんが。」(2025年5月3日利用・オートキャンプサイト)

「メールの題名がキャンプ場名と異なり、まぎらわしいです。キャンプ場名が入る題名にして欲しい。」(2025年5月13日利用・フリーサイト)

ごみの持ち帰り

▼理解・支持する声

「ごみ問題は悩ましいかと思います。不法ゴミ捨てなど。SDGSへの取り組みはよいかと思います。」(2025年5月3日利用・オートキャンプサイト)

▼改善を求める声

「夏場は生ごみを持って帰るのはちょっと厳しいかも」(2025年5月3日利用・オートキャンプサイト)

屋外照明の22時自動消灯

▼満足の声

「夕方から翌朝までついていた外灯が消されていたことがよかった。星空がよく見えます。」(2025年5月13日利用・フリーサイト)

▼課題点

「夜、センサーライトしかつかないので トイレ周辺が暗くて怖い」(2025年4月7日利用・フリーサイト)

ペットサイトの評価

▼満足の声

「ペットサイト1番静か過ぎて最高でした!柵で囲わない方が、おしっこなどしないので綺麗にサイトが使えるし、広く使えると思います。また来たいです。」(2025年5月3日利用・ペットサイト)

リアルボイス:【インタビュー】より

キャンプ場の魅力や課題を深く理解するため、キャンプ場で直接お話を伺いました。鳥野目河川公園オートキャンプ場でキャンプを楽しむ方々から聞いた、率直な感想をご紹介します。

オンライン予約・チェックインシステム

▼満足の声

「事前に色々とメールをくれるので、はじめて行く場所の情報収集の手間を省けて助かる。2回目以降は見なくなるかもしれないけど。」

「予約からチェックインまでスムーズで問題なし。」

▼課題点

「メールの件名を工夫して欲しい。チェックイン時に『事前にメールで送ったQRコードを見せて』と言われたが、そんなもの受け取っていたかな?と思った。実際には受け取っていたが、件名が『【重要】ビデオ説明:フリーサイトの利用方法』となっていたから、わかりにくかった。」

ごみの持ち帰り

▼理解・支持する声

「捨てられたら嬉しいけど、トイレがあって、水が出て、それで十分。ごみ回収なしがスタンダードだと思っている。ごみの回収がないからそのキャンプに行かないとかはない。」

「バイクでキャンプに行く時があるから、捨てられたら嬉しいよ。でも行く前にごみが出ない工夫をすることで対策すれば良いと思っている。たとえば、缶詰めをやめるとかだけでも、帰りに匂いが減るし。」

「まったく問題なし。他のキャンプ場でもなくなっているところが多いから。」

屋外照明の22時自動消灯

「暗ければ暗いほど自然を楽しめるので、消灯してくれると良いと思う。」

ペットサイトの評価

「犬を飼っている家族と今後キャンプに来られるようになるので、予約したいと思う。」

利用後のアンケートや、キャンプ場内でのインタビューにご回答いただいた利用者の皆さま、貴重なご意見をいただきありがとうございました!

これからの鳥野目河川公園オートキャンプ場

鳥野目河川公園オートキャンプ場は、単なる「泊まる場所」ではなく、キャンプ場として自然と親しむ特別な空間です。キャンプ場がある那須塩原市は「ネイチャーポジティブ課」「カーボンニュートラル課」「サーキュラーエコノミー課」「デジタル推進課」を設置し、さまざまな環境施策とデジタル化を積極的に推進しています。私たちNature Serviceもこれらの一翼を担うべく、持続可能でありながらデジタル技術を活用したキャンプ場運営を目指しています。

利用者アンケートやインタビューでは、多くの貴重なご意見をいただきました。特にごみの持ち帰りについては、すべての利用者様に関わる事項であるため、さまざまなご意見が寄せられ、旧来通りごみを回収して欲しいという声が上がっているのは事実です。しかしこの取り組みにより、キャンプ場から排出される可燃ごみは4・5月だけで昨年比86%の削減を達成できました。

「単に捨てる場所が変わっただけではないか」と思われるかもしれませんが、私たちの経験では、ごみの持ち帰りを前提にすることで変化が生まれると考えています。実際に私たちが運営する他のキャンプ場では過去に、食べられる食材や開封もされていない食品がごみとして捨てられていることがありました。ごみの持ち帰りを意識することで、利用者の皆さまがより計画的な食材の持ち込みを心がけ、「食べられなかったら捨てちゃえばいいや」といった状況の減少につながると考えています。皆さまにはご理解とご協力をいただき、大変感謝しております。

また、予約システムやQRコードによるチェックインなど、デジタル化の利便性については多くの好評をいただく一方で、夜間照明やメールの件名など、改善を求める声もいただいております。皆さまのお声をもとに、多様なニーズのバランスを取りながらできる限りの改善を進めていきます。

その過程では試行錯誤もありますが、利用者の皆さま、那須塩原市と共に、自然と人が共存する場所として、次世代に引き継いでいけるよう、皆さまと一緒に歩んでまいります。

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。