森の土を踏みしめる柔らかな感触、木々の間から差し込む木漏れ日、そして満天の星を見上げた瞬間の高揚感――自然がくれる小さな奇跡は、私たちの心を解きほぐし、明日へのエネルギーをチャージしてくれます。 けれども、その舞台である森や河原、海岸がいつまでも同じ姿でいてくれるとは限りません。フィールドを訪れる一人ひとりが「使い捨て」ではなく「循環」を意識できるかどうかで、未来の景色は大きく変わります。
そこで登場するのが、3R(リデュース・リユース・リサイクル)という考え方。アウトドアを楽しむ私たちがこのシンプルな三つの行動を取り入れるだけで、自然への負荷をぐっと減らし、次の世代へ“感動のバトン”をつなぐことができるのです。 聞いたことはあっても「結局どうやればいいの?」という人が多いはず。この記事では、アウトドア好きの視点で 広く浅く 3Rを解説し、今日から試せる小さなアイデアを詰め込みました。
1 3Rってそもそも何?
R | 日本語訳 | いちばん大事なイメージ |
---|---|---|
Reduce | 発生抑制 | 「買いすぎ・作りすぎ・捨てすぎ」を防ぐ |
Reuse | 再使用 | 同じモノをそのまま繰り返し使う |
Recycle | 再生利用 | 資源として生まれ変わらせる |
ポイントは優先順位。
「 ①リデュース → ②リユース → ③リサイクル 」の順に環境負荷が小さく、お財布にもやさしくなります。
2 アウトドア視点で考える“リデュース”
●「持って行く量を減らす」は最強のエコ
- ■パッキング前に:日数×人数をメモして食料計算。行く前に家の冷蔵庫を確認してダブり買いを防止!
- ■詰め替えボトル:洗剤・調味料・シャンプー類は家にある大容量から小ボトルへ。プラ容器の追加購入ゼロ。
- ■ギアは軽量&長寿命を選択:ライトやガスバーナーはリフィル式が◎。乾電池を使い捨てる回数が激減します。
“持ち出すものを減らす=帰りのごみも減る” ので、テントサイトをクリーンに保ついちばんシンプルな方法です。
3 “リユース”で愛着をつなぐ
●キャンプ道具は「育てる」もの
- 使い込んだコットンテントのシミや焚き火台の焼き色は“冒険の勲章”。メンテしながら長く使いましょう。
- 破れたチェアやウェアは、アウトドア用品店のリペアサービスを活用。リペア動画を見て自分で補修するのも楽しい!
●フリマアプリ & レンタルを味方に
- 「買ったけど合わなかった…」ギアはフリマでリユース。次のオーナーへ物語ごとバトンタッチ。
- “お試し”したいときはレンタル。新しい道具を買う前に、実際にフィールドで使い心地を確かめられます。
4 “リサイクル”をムダなく回すコツ
●分別は「帰宅後」より「現地で」
キャンプ場でごみを分別できると、帰宅後の手間もニオイも激減。住んでいる地域のゴミ回収袋や2〜3色のゴミ袋を用意して、
- 缶・びん
- ペットボトル
- 可燃ごみ(生ごみは水切りネットでギュッ) に分けておくだけで OK です。
オシャレにキャンプしたい方や、車中泊でゴミの臭いが気になる方は、こんな機能的なゴミ箱があります。
●リサイクル素材のギアを選ぶ
リサイクル・ポリエステルのシュラフや、再生アルミのクッカーなど、メーカー各社が“循環素材モデル”を続々リリース。買い替え時こそ、地球にやさしい一択を。
5 身近な「3R×ネイチャー」実践例
シーン | リデュース | リユース | リサイクル |
---|---|---|---|
BBQ | マイ皿・マイカップ持参で紙皿ゼロ | ガスボンベは詰め替え式 | アルミ缶を洗って資源回収 |
ハイキング | 行動食は大袋+小分け袋 | トレッキングポールを修理キットで延命 | ペットボトルはコンビニのリサイクルボックスに入れてポイント化 |
日常 | 「買い物リスト」を作って食品ロス防止 | ガラス瓶で常備菜保存 | 古新聞・段ボールを束ねる |
6 3Rは気候変動・生物多様性ともつながる
- CO₂削減:アルミ缶をリサイクルすると、新地金を作るより約97 %のエネルギーを節約。
- 埋立地の延命:ごみ総量が減れば、限られた最終処分場を長く使えます。
- 生態系の保護:海洋プラスチックの主因は使い捨てプラスチック。リデュースで流出源を断てます。

7 「NATURES.的 3R宣言」――今日からできる5ステップ
- 買う前に深呼吸:「本当に必要?」と1回立ち止まる。
- 修理を楽しむ:「直せた!」体験はアウトドアスキルの一部。
- “My”を持つ:マイボトル・マイカトラリー・マイバッグ。
- ごみ持ち帰り+分別:自然のフィールドを来たときよりキレイに。
- シェアして広げる:SNSで #3Rチャレンジ を発信し、仲間を増やそう!
8 おわりに
自然体験は「自然を消費する」のではなく、共にある暮らしを楽しむこと。 3Rは難しいルールでも義務でもなく、私たちがフィールドで受け取った感動を未来へ届ける思いやりの仕組みです。
次の週末、森林のキャンプ場やお気に入りの河原に出かけるときから―― まずは“荷物を少し減らす”ところから始めてみませんか?
小さな一歩が、森と海を守り、あなたのアウトドアライフをもっと誇らしいものにしてくれるはずです。
Have a sustainable adventure! 🌲

NPO法人 Nature Service 共同代表理事
自然大好きで気の合う仲間達とNature Serviceを立ち上げました。北極から南極、アメリカ横断、アフリカ、北欧、オセアニア、南米などいろいろな自然を求めて旅しています。自然好きですが虫キライです。