「自然と共に生きること」を体現されているご夫妻の素晴らしいおもてなしは既にそのランドスケープに現れていました。
広い敷地にひときわ目立つ大きなモミの木。
その横に絵本から抜け出てきたような母屋。少し離れた所にサウナ小屋と露天風呂。
周りに何も遮るものがないから、青空を背景に、長く続く森の地平線がさらに際立たせます。
20時過ぎにはようやく日が沈みはじめ、その頃には草原がピンク色に染まり風に揺らぐる光景は忘れられません。
家の中に一足踏み入れば、そこは時間の流れが止まったかのような、なぜか懐かしさを感じるキッチンに暖炉。
蒔きを使ったオーブンの熱も逃さず部屋を温める寒い国ならではの工夫がほどこされたキッチン。
そこから漂う美味しそうな匂いにつられてリビングへ。夕食を楽しみに待つ子供のようです。
フィンランド3泊目で、ホテルでの夕食に飽きてきたところだったこともありカレリアンミートと野菜の煮込みというシンプルな料理でありながら、ママの愛情がたっぷり入った料理に疲れた胃が癒され大いに満足するものでした。
ひょっとしてオーロラじゃない?
夜は楽しみなフィンランド式サウナと露天風呂。
サウナ小屋を出て小走りに身を隠しながら5mほど離れた露天風呂へ飛び込む。そしてまたサウナへ。
2度ほど繰り返していたところ、地平線の彼方に目をやると何やらボゥと明るい光が。
「ひょっとしてオーロラじゃない!?」湯につかりながら叫ぶ。
気がつくと、傍らにはサウボが!(いや~ん)
サウボもパソコンでオーロラ予報?なるものを見ていて、今から1時間後にオーロラが強く出る情報をキャッチしていたのです。
幸い辺りは真っ暗なので私たちのハダカは見えないはず。
ママに頼んで高性能カメラを持ってる男性陣に知らせて欲しいと頼みました。
人間の目で見るよりもカメラの方がより光をとらえるようです。
タイマーを取ってくる!と言って一旦部屋に戻ってる間に、かなり近くでゆらめきが。
雲が出てて暗闇に白っぽいグレーを背景に透明のカーテンが揺らぐようなものだけが見えてるのです。
私たちの目では色が分かりづらく、カメラカメラ~と叫びつつ、彼がきた頃には消えていました。
色がないのに揺らぎが見えるとっても不思議な光景。
もっとハッキリ見たい!次回こそ!
森と共に生きる民の暮らし
翌午前中はサウボの森を抜け老犬をガイドに近くの沼地を案内してくれました。
静かに横たわる沼地のそばを地被植物がびっしり埋め尽くされた絨毯を踏みしめながら、ベリーを食しきのこ狩りを楽しむ。
再び森の中に足を踏み入れサウボの森へ。
広大な敷地の中にある森の中では、作業途中の樹木が横たわり、森と共に生きる生活の息遣いが、そこ此処に見られます。
のんびり草を食む羊たち、まだ調教中の馬を乗りこなしながら私たちへ微笑むママ。
改めて都会で生きる私たちの忙(せわ)しなさを思うと、いかに人間本来の生き方から外れてしまったことに気付かされます。
森時間。
きっと私たちの時計とは刻み方が違うのかもしれませんね。
そして何よりも自然と共に生きるということは、陽が昇り沈む、太陽の恵みに感謝し、季節ごとのサイクルに沿って生きることがあたりまえだったころが私たち祖先にもあったはず。
もう一度問い直してみたい。
自然回帰。
NPO法人 Nature Service 正会員 西日本エリア担当 森林セラピスト
京都生まれ、大阪育ち、豊中市在住。人も自然の一部であることを思い出し、本来の自分に還り生きることを提唱。木漏れ日の中で平坦な森を歩くのは好きやけど、直射日光の中で高低差のある山は苦手です。