今度の旅はどこに行こう?と考えるとき、紛争地域や危険地帯にすすんで足を向ける人はあまりいないでしょう。旅先で人との素敵な出会いや絶景を楽しみ、感動や興奮、安らぎを感じられるのもそこが戦いの地ではなく、平和だからなのではないでしょうか。

今回は、ユネスコの世界遺産に登録されながらも、戦争や内戦などが原因により「危機遺産」としてリストに登録された世界遺産をご紹介するとともに、「平和だからこそ旅ができる」ということを考えてみたいと思います。

危機遺産リストとは?

ユネスコの世界遺産に登録されている遺産のなかには、危機遺産リストに登録されている地が現在48カ所あります。産業開発、戦争や内戦、環境汚染など、何かしらの理由で世界遺産が危機にさらされると、ユネスコによりこのリストに登録されます。世界遺産を所有する国からSOSが発信されてリスト入りすることもあれば、緊急性が高いために国の同意なしでリスト入りすることもあります。

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リストに登録されると世界に危機的状況を知らしめることができ、ユネスコのみならず世界各地からの支援を得る可能性が広がります。そして、世界遺産の保護や保全をより円滑に実行することができるのです。

所有する全ての世界遺産がリスト入りする国も

実際に戦争などが原因で危機遺産リスト入りした例としてコンゴ民主共和国があります。内戦や近隣国との紛争などを抱え政治的にも経済的にも不安定で、現在では登録されている5つすべて(ヴィルンガ国立公園ガランバ国立公園カフジ‐ビエガ国立公園オカピ野生生物保護区サロンガ国立公園)の世界遺産がリスト入り。以来、ユネスコのみならず、非政府組織、ベルギー、日本の多額の資金援助により現在も復旧のためのさまざまな活動が継続されています。

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支援によりリストから除外された例も

上記のコンゴ民主共和国の世界遺産は現在も危機遺産リストに登録されたままですが、過去にはリスト入りしながらもその後の懸命な活動によりリストから外れたケースもあります。

たとえばカンボジアのアンコール遺跡。世界遺産としての認知度は非常に高いですが、1992年に世界遺産に登録されるのと同時に危機遺産リスト入りしていたことをご存知でしょうか。内戦が影響し、不法な採掘、略奪、また地雷の存在が危機遺産リストに登録された主な理由でした。

しかし、その後の保全や修復活動が功を奏し、2004年、見事に危機遺産リストから除外されたのです。アンコール遺跡は日本での知名度も高く、いつか訪れたい旅行先として考えている人も多いと思いますが、そうやって旅の目的地として選択肢の1つにできるのも、国もしくは地域が平和になりつつあり、なおかつ多くの国々や団体の支援があってこそだと考えられます。

先ほど例としてあげたコンゴ民主共和国もいつしか平和が訪れれば、おのずと皆がこぞって訪れたい旅先の1つになるのではないでしょうか。

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「旅と平和」。
たまにはそんなことを考えながら、旅のできるありがたみを噛みしめてみるのも良いかもしれませんね。

《参考URL》
List of World Heritage in Danger|UNESCO World Heritage Centre
Successful restorations|UNESCO World Heritage Centre
Explainer: what is the List of World Heritage in Danger?|The Conversation
Peter Valentine
(意訳:菊地薫)

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