「脳が疲れる」

「自然に触れる」

「脳の疲れが癒やされる」

この流れは、「疲れた脳は自然で癒やせ!~脳波から学ぶ自然の素晴らしさ~」でご紹介したとおり、脳波レベルでも解明されつつあります。この記事のなかで、「脳を休めるには木々が風にそよぐ音や小鳥のさえずりが聞こえるような場所が向いている」と書きましたが、今回はこの点について「Fascination」という概念を用いてもう少し補足したいと思います。

「Fascination」とは「魅惑」を意味する言葉で、ここでは「人を惹きつける刺激」のようなものだとお考えください。

「Fascination」は、
-Soft Fascination(以下「ソフト」とします)

-Hard Fascination(以下「ハード」とします)
にわけることができます。

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「ソフト」と「ハード」の違いを具体例でもう少しわかりやすく説明します。

-ソフト(Soft Fascination):小鳥のさえずり、風にそよぐ葉、雲が動く様子、太陽が昇る/沈む様子、小川が流れる様子など、人が何の気なしに注意を向けてしまうような刺激。

対して、

-ハード(Hard Fascination):カーレースやスポーツイベント観戦、テレビ観戦など、人の注意を強く惹きつけるような刺激。動きが早い、音が大きい、その他強い刺激性があるもの。

ソフトとハードの違い、何となく分かっていただけましたでしょうか?ここで気を付けたいのは、「自然」がすべて「ソフト」に含まれるというわけではない点です。たとえば、「爆音とどろくような滝」は刺激性が強いため「ハード」と考えられています。ただし、ソフトとハードの間に明確な線引きはなされていないようなので、雰囲気だけでも感じ取っていただければ十分だと思います。

さて、ここからが本題です。脳の疲れが癒やされるには、「人が何の気なしに注意を向けてしまうような刺激」、つまりは「ソフト」(Soft Fascination)の存在が不可欠であると言われています。(「ハード」ではダメなんです!)この考え方は、The Experience of Nature(Kaplan & Kaplan, 1989)によって紹介されており、「ソフト」の要素が自然のなかに多数存在していることから、自然には脳の疲労回復やストレス発散などのチカラがあると考えられているのです。

ハイキングに出かけたことを想像してみてください。そこにはさまざまな自然の風景が広がりますよね。木漏れ日、野に咲く花、鳥のさえずり、葉がこすれあう音、緑の匂い……言葉にしたら数えきれないほどの風景、音、動き、匂いがあちらこちらに溢れています。しかし、これらは特段意識せずとも、目や耳や鼻がその存在を感じとり、時には見入り、時には聞き入り、時には鼻から匂いを吸い込もうとします。そういった、何の気なしに意識が向く刺激や魅惑(Fascination)こそが「ソフト」(Soft Fascination)であり、脳の疲れを癒してくれる存在なのです。

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「ハード」(Hard Fascination)のなかに常にいると、脳はストレスを受け続けるため疲れます。しかし、日々の生活をどんなに見直しても、この世にあるすべての「ハード」から縁を切ることはほぼ不可能ですよね。だからこそ、ストレスを感じたり、脳が疲れたと感じたときには「ソフト」が多数存在する自然のチカラを借りれば良いのです。

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ここまでお読みいただいて「ソフトとかハードとかよくわかんない!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。それでも良いのです。とりあえず自然のなかに足を踏み出してください。そうすれば、否が応でもたくさんの「ソフト」に遭遇することになり、脳が癒やされますから。

自然に入ろう!そして脳を癒やしましょう!!

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《参考URL》
Soft Fascination Allows The Mind To Wander in a Noisy, Urban World|HIKING RESEARCH
Science proves what we all know: Nature is Good for your Health!|ECOLOGIST
(意訳:菊地薫)

信濃町ノマドワークセンター

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