最近、COVID-19パンデミックをキッカケに世界冒険ができず、モヤモヤしているNature Service代表の赤堀です。

Nature Serviceでは、2022年4月より、新たに2つのキャンプ場の指定管理を加え、合計で3つのキャンプ場を運営します。

今回の記事では、Nature Serviceのキャンプ場運営に対する想いをまとめていきます。

そもそもNature Serviceって何?

Nature Serviceは「自然(Nature)に入ることを、もっと自然(Naturally)に。」をテーマに活動する、広域のNPO法人です。本社は埼玉にあり、事業開始届も出しているので株式会社などの一般企業と同様に納税をしながら経営がされています。NPO法人ではありますが一般的な会社とおなじような感じです。

Nature Serviceの活動形態

NPO法人にはいくつかの種類があると思っています。共通の課題感を持った人々がボランティアで集まり、花壇の整備などを行う地域密着型のNPOや、寄付を集めて音楽文化を守る活動などをする寄付型のNPO、取り組む課題を事業を通じて解決を目指す社会的企業(ソーシャルエンタープライズ)型のNPOなどがあります。Nature Service は一番最後のグループに属せるように活動しています。

南極でキャンプをして喜ぶ赤堀

Nature Service がキャンプ場再生に取り組む理由

まず素直に申しますと、キャンプが好きな仲間が集まったということが一番の理由でした。私もキャンプが大好きです。子供の頃から親に連れられてキャンプに行ったり、友達や家族とキャンプに行ったり。アメリカ横断しながらキャンプしまくったり。生活の中にキャンプがあります。一方で都会に住む友人と話していると、キャンプには興味があるが「道具・知識、仲間、キッカケがない」などの理由ではじめる事ができない人も多くいるような印象です。「オートキャンプ白書2021」によると、日本のキャンプ人口は7%程度との事で、まだまだキャンプは日本人の習慣になるほど浸透していないんだなと感じております。

そこで、Nature Serviceもキャンプ場運営に参加し、地方に多く存在する公共キャンプ場に特化した価値向上(事業再生)サービスや運営基盤を提供し、その事で疲弊したキャンプ場が再生され、持続的にキャンプの機会を創出し続けることを目指しています。例えば、Nature Serviceが運営する長野県信濃町やすらぎの森オートキャンプ場では、2016年には0人泊だった閉鎖されたキャンプ場を、2021年には累計で2万人泊まで利用して頂くなど、キャンプ場の再生によりキャンプ人口を増やしていき、自然体験を習慣化する人を増やすことに繋がるのではないかと考えました。

何故キャンプ場を自然体験の入口と位置づけるかと言うと、私の個人的な印象ですが、いままで自然体験というと、様々な不便やヒエラルキーの中に身を投じて、ガチな山登りをしたりトイレも電気もないところでキャンプをする「大きな不便を覚悟する」ハードルが存在したような気がします。しかし、キャンプ場は水もありトイレもあり、電源もあり、自動販売機もあり、至れり尽くせりな環境で、日差しの移ろいを感じながら素晴らしい自然の景色を楽しむ事ができる、有る意味「浅瀬」で楽しめる自然体験だと考えたからです。

Nature Serviceが考える公共キャンプ場の課題感

いままで、自分がキャンプをするときは、アメリカなど法律でキャンプ場でしかキャンプをしてはならない規制があるところを除いて、基本的にはキャンプ場でキャンプをすることはありませんでした。いわゆる「野良キャンプ」専門でしたが、経験が少ない人と行くときにはたまにキャンプ場を利用する事がありました。民間のキャンプ場は個性豊かで、ある意味カリスマな経営者が自分のキャンプ経験やキャンプ愛を最大に発揮した素敵なキャンプ場を運営しており、それはそれは楽しい場所でした。ただ、人が苦手な僕としては「はっはっは。ようこそ僕の世界へ」みたいな感じでキャンプ場オーナーのおじ様に迎え入れられると、自己肯定感が高すぎて若干引いてしまうことはあります。

それは良いとして、公共のキャンプ場を幾つか利用したときの経験が強烈でした。

まずはネガティブな経験として、区画サイトの番号を管理人が一方的に決めてくることです。事前にどの区画が良いかを下見して、自分のテントのサイズや他の利用者との適度な距離感や景観を考慮し、例えば「16番を利用したいなぁ」と思って、受付に行くと「2番に張ってください」と言われ「テントの大きさ的に16番でお願いできますか?」と言っても「そういうのは受け入れられないから」と言われて強制的に(浄化槽の近くの)2番となる。その後、16番は誰も使っていなかったので、チェックアウトの時に聞いてみると「掃除や確認をしに行くのが遠いので2番が近くて都合が良かった」との回答に衝撃を受けた思い出があります。

超個人的な感覚ではありますが、公共のキャンプ場に勤める方の一部は、自分自身はキャンプした経験も無く特にキャンプが好きなわけでは無い、単なる施設管理業務を行っている感覚なんだろうなぁと。また構造的にも問題があり、公共のキャンプ場は公共施設なので、条例、規程、規則、基本協定書、年度協定書、仕様書などの多くのルールに管理者は雁字搦めにあり、管理者はそのルールを「行政に代わって執行している」みたいな感覚で、ある意味ルールの中で思考停止して機械的に利用者対応をしている人もいるのかもしれません。

公共キャンプ場の利害関係者は、キャンプ場利用者以外に、その行政区の住民、首長などの理事者、議会議員、監査委員、行政職員などがいます。そのステークホルダー全員の利害が一致する事はありません。たとえば「元気の無い地元の公共キャンプ場を何とかしたい」と住民が考え指定管理者制度を活用して「民間の力で活性化して行く!」みたいなプロジェクトが始まります。最初は「時代のニーズに即した、その時代の技術を活用して、柔軟でスピード感のあるキャンプ場の活性化を民間の発想やノウハウで実現して欲しい」みたいな雰囲気の中で、利用者の利便性の向上や、ブランディングやマーケティングなどの効果で集客が増え地域への交流人口が増大する、地域の人をさらに雇用してキャンプ場が盛り上がってくるような素晴らしい状態に進んでいきます。
しかし、そこにモニタリング調査や定期監査が入ってくると状況は一転します。最悪な場合は、上述のパターンの「自分自身はキャンプした経験も無く、特にキャンプが好きなわけでは無い」人が数十年以上前の古い「条例、規程、規則、協定書、仕様書など」に照らし合わせて公共キャンプ場を監査します。さらに運が悪いと、その監査委員は行政一筋で民間の経営視点が無い人だと監査というより「儀式」となっていきます。(「儀式」の詳細はこの後述べるとして)利害の一致もキャンプに対する共感もないので、機械的に指摘できるポイントを探し出してきます。そして「爪痕を残す」かのように「ルールではこうあるべき論」を振りかざし、「改善指導」を仰ります。そこで指定管理者は「おう、まじか」と思うわけです。時代に即してキャンプ場を盛り上げようとやった事が「けしからん」と言われるわけで、「あれ?民間の力(スピード感や柔軟性や発想)を求めるはどこへ?」となり、指定管理者のモチベーションは下がり、思考停止して単に「キャンプ場を良くしていく」ではなく、「行政の方だけを見て、指示を受けて管理作業を代行する」になって行くのかなと感じております。

ステークホルダーと協力し、より良いキャンプ場を目指す

監査の「儀式」についてですが、まずは誤解の無いように書かせて頂くと、問題の監査員のタイプは「自分自身はキャンプした経験も無く、特にキャンプが好きなわけでは無い」し「行政一筋で民間の経営視点が無い人」が代表監査委員とかになると最悪だと感じています。そもそも民間を含めた幅広い組織に指定管理を委ねる制度を監査するのに、民間の事業経験が無い人だと偏る意見になりやすいのでは無いでしょうか?例えば「世の中の技術の進歩」よりも「数十年前に作られた様々な古いルールの中でしか考えられない」かつ事業合理性を度外視して「こうあるべき」を振りかざし、最悪の場合は「税金を投入して解決すべし」と仰るところにあります。(さらにマズイ状況になると、条例にもどこにも書いていない事を、監査委員個人の価値観から「〇〇で有るべき」を振りかざしてくる、自由演技に入ってきます。こうなると監査委員の気分次第で何でも言える状況になり、何を基準にすれば良いか分からなくなります。)そもそも「税金を削減するための時代に即した技術を活用した合理的な方法」だったとしても、それは理解できず「けしからん」と言い「ご指導」をされ、その事業がそのご指導のせいでムダな税金を使い続け、管理者のモチベーションを下げて、品質が低下したとしてもその責任は取らされず、任期満了して退任されていきます。もちろん退任されたあとも、行政で税金を投下する条例や協定書変更をしてしまったら、そのままムダな税金が流れ続けていきます。これは無責任な監査と言わざるを得ません。ただ、その監査委員は「爪痕を残した」と思って去って行くので、その無責任な監査が過ぎるのを待つことが「儀式」となっているような事もあります。(そして仕上げは、事実関係の確認が不十分な状態で事実と異なる事を指摘をして監査報告書を出してくる始末。)その「儀式」を経て、上述の「2番に張って」という思考停止おじさんが大量生産されていくんだろうなと。

一方で、民間の経験を持ち、キャンプを理解している監査委員の場合、現在のキャンプニーズの多様化を捉えた事業の方向性に対する「有難い指導」と行政側への提言などをもまとめて頂き、本当に実りのある事業が良い方向に進む監査をされる事もあります。なので、監査委員会の質も重要な事と捉えて人選をした方が良いと思っています。

公共キャンプ場の可能性

施設は古く、条例などのルールも時代に合っていなかったとしても、それは変更をしていく事が可能です。キャンプはそもそもは自然との一体感や、都会の過剰な便利さから離れる事を楽しむ行動でもあります。何でもかんでも「高規格」とか「グランピング」に寄って大きな投資をすることが求められてはいないと思っています。(個人的には「高規格」という言葉は「入門者向け」であり、(日本における)「グランピング」はホテルなどが増築をせずに客室を安価に増やす「キャンプ風の演出」だと考えています)

公共キャンプ場の一部は、数十年前のキャンプブームや道路やダム建設などのバーター取引で作ってみたものの、今は設備の老朽化で評価も下がり、そもそも担い手も高齢化で新しいアイディアも努力も出す気力も無く、修繕費と指定管理料が支出し続ける、苦しい状態にあるキャンプ場もあります。

しかし、管理方法を時代に即した適切な基盤を導入し、IoTなどを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)や、マーケティングや事前決済などのキャッシュレス、セルフチェックインなどを行うWebサービスを使っていく事で、業務の効率が上がっていき、コストを下げながら次の時代に順応できるキャンプ場に生まれ変わらせる事も十分に可能です。現在の時点では新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からも、利用者と管理者の接触も最小限に抑える必要があります。そういう意味でも、古い慣習や固定概念に捕らわれない、大きな変化を起こしていくことが求められているし、変化をすることでキャンプ場の秘めた可能性を引き出し、価値向上を狙えると考えています。

Nature Serviceの関わり方

上記に長々と書かせて頂き、ここまで読み進めて頂いた方は、かなりの忍耐力をお持ちだと思います。同じような意味で「Nature Serviceは忍耐力を持って課題と向き合って行く」関わり方をします。基本的にはそのキャンプ場が有る地域に生まれたわけでもなく、住んでいるわけでも無い「よそ者」である事から、色々な意味で地元の人からは警戒もされます。ただ、そもそもキャンプ場は「よそ者」を呼ぶための施設ですので、言うなれば「よそ者を呼ぶには、よそ者の視点を活用してください」と忍耐強く地域住民の方々に機会を頂いては、アイディアやプランを話して回っていきます。地域と関わっていくとその地域のフィクサーというかキーパーソン(影響力の大きい人)ともお会いする事もあります。その方に表面上は「良い事だね応援するよ」と言って頂けても、もちろん信頼を得ているわけでは無いので、その時に話したプランをしっかりと実行していく。そして新聞やテレビなどの第三者的な立場の人から評価を頂き、客観的な評価に触れて頂く事で信頼を得ていくプロセスが必要があると考えております。(また話は逸れますが、そのフィクサーやキーマンの派閥に飲まれないように適切な距離を保つのもその後に重要になってきます)

「なんだ、気合論かよ」と思われるかたもいると思いますが、個人的には大切な事だと思っておりますが、それ以外は「仕組み化」が重要だと思っております。「人が集まる仕組み、事業が回る仕組み、現場が回る仕組み、行政の事業として対応する仕組み、そして、その事業を担う関係者が楽しめる仕組み」が組み合わさって持続可能性の高い事業となって行きます。(詳しくは「Nature Serviceのビジネスモデル」をご覧ください

その仕組みを地域のキャンプ場に実装し、地域で雇用された方に活用して頂き、「よそ者」の私たちがいなくなっても、地元の人が、良い状態に生まれ変わったキャンプ場を回していける状態にする事が、ある意味Nature Serviceが考える「大政奉還」です。

Nature Serviceと地域の関わり合い方

ワクチン接種と同じように、最初は一定の確率で発熱(=地域の既得権益者からの反発、変化に順応できないもしくは変化の意味が理解できない利用者からのネガティブな評価など)はするが、その後は良い状態が持続的に続く存在になれればと思っています。

キャンプ場をどんな場所にして行きたいか

利用者からすると「過剰に管理されない自由な体験ができる場」にして行きたいと考えています。できるだけ管理者は空気のような存在で、お客様を見守っていきたいと思っています。事前決済や事前説明、セルフチェックインで基本的には管理者と接点を持つ必要が無くても、日々のゴミ拾いの中で適切な距離を保った上で「何かお困りの事はありませんか?」とスタッフから毎日声をかけていく、その事で利用者は少しの安心感と大きな自由を楽しめるキャンプを体験できると考えています。

そのためには、オーバーマネジメントになる条例や規則や協定などを時代に即した内容へと改良する提言や、行政職員に信頼して頂き任せて頂けるような事業管理手法、キャンプを理解し民間の視点を持った良い監査員には、事業の素晴らしさを説明しながらも、足りない部分を指摘頂く良い関係。逆に、質の悪い監査委員に対しては徹底的に戦っていく姿勢も必要だと思っています。

その結果、快適で自由で安心できる、また来たいと思ってもらえるキャンプ場ができてくると思います。

Nature Serviceが運営するキャンプ場では、できる限り売店は設けていません。地域の道の駅や商店での消費を促す事で、地域への経済効果を生み出す事をねらいます。夏休みなどは農家さんが軽トラックの荷台に朝に抜いてきたトウモロコシを持ってきて頂き直売会などをして頂きながら、キャンプ場の利用者と地域住民との素敵な交流の場になるようにして行きます。
キャンプ場の管理者として地域に初めて伺うときには、色々と警戒をして頂いておりますが、好奇心を持って声をかけてきて頂いた地域住民のかたの商売などでできるだけお役に立ち、その評判がさらに他の地域住民の方を呼んで来てくれるような、地域とのプリミティブな関係構築を大切にしていけるキャンプ場にして行きたいと考えています。

Nature Serviceのキャンプ場

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