2021年12月14~17日に開催された国際学会大会「2021 ESP Asia Conference」にて、Nature Serviceのビジネスモデルを基調講演者として発表する機会をいただきました。
(詳細:「【Nature Service活動報告】2021 ESP Asia Conferenceへの参加を終えて」)

基調講演を行うにあたり、Nature Service共同代表理事である赤堀とともに、これまでの10年間の活動を振返りつつ、当社のビジネスモデルを再確認しました。本記事から4回にわたり、NPO法人としてどのようなことを心がけ、またどのような価値を生み出してきたのか、活動しながら構築してきたビジネスモデルを中心にご紹介していきます。

日本の課題とNature Serviceの存在意義

わたしたちは、日本の個人、企業、地方が抱える社会課題を解決するために”自然”をパートナーとして活動に励んでいます。自然を利活用しつつ、どのような社会課題を解決したいのか、まずは、わたしたちが考える日本の課題から整理したいと思います。

  • 地方
    日本の地方は、人口減少と高齢化により働き手が減少しています。そしてそこに住む人たちの一部は、地域を活性化させる方策が見当たらないと言います。しかし、都会に住む人の視点から見ると地方には魅力的な自然資源があります。にもかかわらず、アイデアもノウハウも担い手も足りず、自然資源に価値を見いだせていないのです。
  • 個人
    他国から見れば日本は、都市化が進みスタイリッシュで幸福度の高い生活を送っていると考えられがちです。しかし、2021年度版の「世界幸福度報告書」の世界幸福度ランキング56位という順位が示すように、日本人の幸福度は決して高くありません。特に都市部に住む人たちは、人工物に囲まれた⽣活や仕事環境により、創造性や集中⼒を⽋き、ストレスフルな日々を過ごしています。ですが、それを「仕方ない」「皆同じだから」と思い込む傾向にあり、自然が何らかの解決策を提供してくれるという発想さえありません。
  • 企業
    労働生産性の国際比較 2020」によると、日本の労働生産性(時間当たり)はOECD加盟37カ国中21位で、主要先進7カ国の中ではここ50年間、最下位の状態が続いています。長時間労働や従業員のメンタルヘルスの問題などによる人事的課題が山積。しかも、企業競争力を高めるための革新的なアイデアや事業全体のイノベーションをも模索しています。そのためには、従業員満足度を高め、知的労働生産性の持続的な向上が求められています。
日本の社会課題とNature Serviceの存在意義

日本の国土の約7割は森で、国境の100%が海です。こんなにも自然に恵まれた先進国はありません。( 世界の森林率 国別ランキング・推移より)わたしたちNature Serviceは、この「地方」「個人」「企業」の三者三様の課題解決に向けて”自然”を活用したいのです。

豊かな自然を持つ「地方」と「都会の個人や企業」の架け橋となること。これこそが、Nature Serviceの存在意義だと考えています。

”Nature”を”Service”する

Nature Serviceという名前には、「Nature(自然)」を気軽な「Service(サービス)」として提供したい、という思いが込められています。では、”Nature”を”Service”するとはどういうことなのでしょうか。

自然をサービスとして提供するには、大なり小なり手を加えることが必要です。
世界各国の国立公園やキャンプ場などを見て、現地の人たちと話し、気がついたことがあります。海外では、自然に入る人たちからお金をもらい、それを使って自然を守りながら同時に生かす、この仕組みを作っています。つまり、自然という素材をコンテンツとして使い、ビジネスにつなげています。

アメリカで訪れた国立公園のビジターセンターは、遊園地のチケット売り場のように混雑していました。広大な敷地と雄大な自然を楽しもうとする人たちは、そこに対価を払い、お金をもらう側はそれをもとに自然を保護しつつServiceとして提供しています。わたしたちも、こういった自然を活用した循環型のサービス提供体制を日本各地に広めていくことを目指しています。

”Nature”を”Service”する

自然には「1/fゆらぎ」や「フィトンチッド」などの癒やす力があり、科学的にも証明されています。西洋医学の父・ヒポクラテスの言葉に「人間は自然から遠ざかるほど病気に近づく」というものがあります。自然との関わりが少ないほど、生活習慣病を始め、さまざまな病気の発症率が高くなるというのです。

もちろん、病気を発病した場合は病院へ行き医師の診察を受けていただきたいのですが、そうなる前に”未病”の段階で人々に自然の癒やす力を享受していただき、習慣化してもらいたいのです。

世界中の国立公園やキャンプ場を視察してきた経験は、現在、キャンプ場や法人向けリモートワーク施設の企画運営に生かしています。自然に囲まれた土地をサービスとして提供し、そこからいただく利用料を管理費・運営費、次の活動の資金とし、人々が自然に興味を持ち楽しみ、そして癒やしの恩恵を受ける環境を提供しています。

第2回へ続く)

(参考)
World Happiness Report 2021
労働生産性の国際比較 2020 | 公益財団法人 日本生産性本部
世界の森林率 国別ランキング・推移 | グローバルノート

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