現在の日本は高層ビルが立ち並び、近代化が進んでいますが、その一方で自然にも恵まれていることをご存じですか?今回はNature Serviceが撮影したドローン映像が使用されている「日本の持続可能な森林管理の取り組み」という動画を参考に、日本の森林の歴史についてあらためて考えてみました。SDGsのNo.15「陸の豊かさも守ろう」にも大きく関わる部分なので、日本はどのようにして自然が豊かになったのかについてみてみましょう。
日本の森林率は68%
林野庁の統計情報では、平成29年の段階で日本全国の森林面積は約2500万ヘクタールといわれています。森林率は日本の国土面積(約3700万ヘクタール)を考えると68%を占めている計算になり、OECD加盟国のなかでもフィンランド、スウェーデンに次いで3番目です。また全世界の森林率の平均が約31%ということから、いかに日本が自然豊かな国ということがわかります。世界的にも高い森林率を誇る日本ですが、昔からずっと自然が豊かだったわけではありません。その背景にはさまざまな問題が起きていました。
関連記事:保安林の役割とは?SDGsの視点でみる日本の持続可能な森林管理
時代とともに増える木材の需要
わたしたち日本人と森林との関わりは、縄文時代以前からはじまっています。当時は獲物を仕留めるための狩猟道具や、家を建築するために木材は欠かせないものでした。そして時代を経るにつれ木材の用途・需要が増え、以下のような目的で森林伐採は広がっていきます。
- 家を建てるための建材
- 身近な道具の材料
- 日々の燃料や肥料
- 農地を増やすため
- 当時の産業(製塩業・製鉄業など)
とくに15世紀から18世紀にかけて人口は約3倍にも増加したため、過剰な森林伐採に拍車がかかりました。結果的に当時の森林面積は、国土の半分程度だったといわれています。日本は先進国として発展した代わりに、自然が徐々に失われていったのです。また自然の荒廃は土砂崩れや水害といった災害を多発してしまう原因にもなりました。
森林回復に向けての取り組み
森林の荒廃をこれ以上進行させないために、1897年に「森林法」が制定され、本格的に森林伐採の規制をはじめました。さらに1911年からは「第1期治山事業」がはじまり、荒廃した土地の復旧を図るための取り組みが行われるようになりました。しかしその後に第二次世界大戦が開始。軍事物資・戦後の復興資材として森林伐採が一時的に広がりましたが、終戦にともない治山事業・林道事業が再び進められました。
1950年ごろからは積極的な植林がはじまり、その規模は毎年30万ヘクタールを超えるほどです。植林活動により森林面積は少しずつ回復し、また植林した森林が成長したことから、2017年の森林蓄積量は1966年と比べると約3倍、人工林は約6倍に増加しました。このように森林大国である日本の背景には、過剰に森林伐採が進行した時期や森林を回復させるための取り組みが行われていた歴史があるのです。
関連記事:大規模な植林にまつわる神話を科学者たちが解き明かす。森林再生の10のゴールデンルールとは?
まとめ
昔から現在にいたるまでの日本人と森林との歴史について説明をしました。自然がなくなることで災害が増えることを考えると、森林管理の重要性がわかると思います。「日本の持続可能な森林管理の取り組み」では森林管理についてより深掘りして解説していますので、よかったら下記動画をご覧ください。
都道府県別森林率・人工林率(平成29年3月31日現在)- 林野庁
Global Forest Resources Assessment 2020 (fao.org)
ゆるく自分らしく生きることが人生の目標。趣味は旅行や読書。
将来の夢は自然豊かな場所でスローライフを送ることです。