北欧はペットボトルやアルミ缶のリサイクル率を上げるために、「Pant(パント)」という面白いシステムを取り入れています。
このシステムの効果もあり、スウェーデンでは、2020年度のペットボトルのリサイクル率が86%、アルミ缶のリサイクル率は87%と、高いリサイクル率を誇っています。
この記事では北欧スウェーデンに注目し、ペットボトル・アルミ缶のリサイクル事情についてご紹介します。スウェーデンが取り組む、人々の意識をリサイクルに向けるための方法についてみてみましょう。
パントシステムとは
スウェーデンをはじめとする北欧諸国でドリンクを買うと、ペットボトルやアルミ缶のラベルにデポジットマークがついているのが見られます。
これは「パント」と呼ばれるリサイクルシステムに関するもので、「スウェーデン国内でリサイクルが可能である」と検査に合格した商品につけられています。
スウェーデンでは、このラベルがついている商品を購入する際に、事前にレジでデポジット代金を支払います。このデポジット代金は、ペットボトルやアルミ缶をリサイクルに出すことで返金されます。
デポジット料金は、小さいペットボトルのものが1SEK(スウェーデンクローナ)で約12円、大きいペットボトルのものが2SEKで約24円です。(※1SEK=12円として換算)
パントシステムはスウェーデン中で普及しており、ペットボトルやアルミ缶をリサイクルに出すことを「att panta(パントする)」といい、動詞としても使われているほど身近なものです。
リサイクル方法
ペットボトルやアルミ缶を”パントする”には、対象製品を回収機まで持っていきます。
回収機は主にスーパーマーケットの一角に設置されており、スウェーデン国内には約3100カ所もの回収場所があります。
パントする手順は以下のように簡単に行えます。
1.ペットボトルやアルミ缶に、スウェーデン国内で承認されたパントマークが付いているか、そして機械がマークを読み取れるようにバーコードが破損していないかを確認する。
2.ペットボトルとアルミ缶を持って、回収機があるスーパーマーケットへ行く。
3.ペットボトルやアルミ缶を回収機へ投入する。
4.デポジットの返金額が記載されたクーポンを受け取る。
パントしたお金は子どものお小遣いになることも
「リサイクル」と聞くと少し硬い表現に聞こえるかもしれません。しかしスウェーデンの子どもたちにとって「パントする」ことは、楽しくお家のお手伝いをする行動として認識されているように感じます。
パントすると、デポジット分の返金として、その回収機が設置されているスーパーマーケットで利用できるクーポンを受け取ります。
スウェーデンで生活していた際には、子どもたちがパントした分をお小遣いとしてもらえることを期待して、ペットボトルを一生懸命に機械へ入れ込む姿をよく見かけました。
小さいころから、自分の手でごみをリサイクルに出すという経験をすることで、自然に環境問題について考える機会が生まれます。
飲み終わったペットボトルやアルミ缶をわざわざ回収機まで持っていくという行動は、一見すると手間に感じますが、実は大切なことなのかもしれません。
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日本のペットボトルリサイクル率
日本のペットボトルリサイクル率についてもご紹介します。
日本における2020年度のペットボトルリサイクル率は88.5%でした。前年度は85.9%でしたので2.6ポイント高くなっています。
2020年の米国のペットボトルリサイクル率が18.0%なのをみると、日本のリサイクル率もとても優秀なことがわかります。
日本ではパントシステムのようなユニークなアイデアはないものの、国民一人一人がルールを守ることで、高いリサイクル率を誇っています。
ペットボトルを資源ごみとして出す。スーパーマーケットなどの回収ボックスへ入れる。ポイ捨てをしない。などの当たり前に行っているこの行動は、実は世界に誇れるものであったのですね。
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まとめ
島国である日本と違い、欧州では、国と国を簡単に移動できたり、居住に関する特別なビザ協定があったりすることから、さまざまな文化を持つ人々が混ざり合って生活しています。
そのような国では、誰もが同じ意識レベルで環境に目を向けるために、パントシステムのような方法を導入することが必要なのかもしれません。
すばらしいことに日本では、返金システムを導入せずとも高いリサイクル率を誇ります。
日本人にとって事前にデポジットを支払うことは、めんどくさいことと感じるかもしれません。しかしパントシステムによって、幼いころから意識的にエコの取り組みをすることは、その他の環境面も考える、よいきっかけにつながるように感じます。
参照:Pantamera
北欧と旅行が大好きで、今まで訪れた国は25カ国。お金を貯めては未開拓の地へ出かけています。ノマド生活に憧れていて、将来の目標は朝、絶景の中で目を覚ますこと!普段は愛犬とのんびり散歩するのが楽しみです。
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