「微笑みの国」と言えば、タイ。タイは人が優しいうえに、美しい寺院やおいしい食べ物、そして手つかずの自然もたくさんあるので旅行先としてとても人気のある国です。
そんなタイにある世界自然遺産の一つ「カオヤイ国立公園」で、ちょっと驚くごみ対策が取られたことがありました。
今回は「Thai national park sends rubbish back to tourists」と「Thailand National Park Is Mailing Litter Back to the Tourists Who Left it Behind」の記事を参考に、カオヤイ国立公園を紹介するとともに観光客のごみ問題について考えてみたいと思います。
カオヤイ国立公園
カオヤイ国立公園(正式名称:ドン・パヤーイェン・カオ・ヤイ森林群)は、1962年にタイで初めて設立された国立公園で、総面積は2,168平方キロメートル。タイで3番目に大きな自然公園です。85%が森林で覆われた公園には希少な動植物が生息しており、2005年には世界自然遺産にも登録されました。
首都バンコクから車で2時間半程度と近いうえに一年中過ごしやすい気候のため、リゾート地として国内外から多くの人が訪れています。
ごみ問題への驚きの対策
カオヤイ国立公園にはトレッキングやキャンプを楽しもうと年間100万人以上の人が訪れますが、それゆえに頭の痛い問題も抱えていました。
それが、ごみです。
最も訪問者数の多い新年の3日間だけでも15万人以上が訪れ、23トンを超えるごみが残されていました。また、ポイ捨てされたビンや缶、プラスチック容器なども多く、自然環境が汚されるだけでなく、それらを動物たちが食べ物と間違えて食べてしまったり、割れたガラスで体を傷つけてしまったりという被害も出ていたのです。
そこで打ち出された対策が「ごみを送り返す」というもの。
タイの天然資源・環境相であるヴァラウト・シルパ・アルカ氏は、訪問者のテント内に残されていたごみを集めて箱に詰め、「お忘れ物がありましたので、お土産としてお送りします」というメッセージを添えて送り返すことにしたのです。
カオヤイ国立公園では、訪問者は連絡先を残すことになっているので、ごみを送り返すことは実際に可能。この対応はアルカ氏のSNSにも投稿され、ニューヨーク・タイムズ紙などにも取り上げられました。
ごみ問題は環境破壊
観光客によるごみ問題は、タイだけではなく世界各地で問題になっています。もちろん日本も例外ではありません。
ごみを持ち帰らずに投げ捨てて帰ったり、分別のルールを守らずごみ箱にいい加減に入れたり。捨てた人はそれでいいかもしれませんが、その後を想像したことがあるでしょうか。
関連記事:キャンプ場で起きているごみ問題とは?ごみマナーを考える
カオヤイ国立公園では、死んでいる鹿の胃の中から3キロものプラスチックごみが出てきたという悲しい事例が起きています。また、捨てられた物の腐敗により細菌が繁殖し自然環境が汚染されたり、火事が発生したりという報告もあります。
ごみを不適切に捨てるということは自然を破壊し、動植物を危機にさらすということなのです。
まとめ
アルカ氏はSNSにこんなメッセージも添えています。
「公園から持ち帰っていいのは思い出と写真だけ。残していいのは足跡だけ」
自然から癒やしや活力をもらっている私たちには、その自然を守っていく責任もあります。定められたルールに従って、自覚ある行動を取りたいものです。
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(参考)
Thai national park sends rubbish back to tourists
Thailand National Park Is Mailing Litter Back to the Tourists Who Left it Behind
田舎育ち18年、都会暮らし28年、海外暮らし5年。どこにいても緑と土が必要で、ときどき「山が見たい」と駄々をこねます。老後はヨット好きの主人と海と山の両方が見える場所に住みながら、世界各地を旅したい欲張り50代です。