「リジェネラティブ・トラベル(Regenerative Travel)」この言葉はまだ耳慣れないかもしれませんが、新しい旅の形として世界で広がりつつあります。
「リジェネラティブ」の意味は「再生」。「リジェネラティブ・トラベル」とは、環境を守ることに留まるのではなく、環境を再生する、改善することを目指した旅行や観光のあり方です。今回は「What are the benefits of regenerative travel & tourism?」と「What Is Regenerative Travel and Can It Help Reverse The Damage We Have Done To Planet?」の記事を参考に、「リジェネラティブ・トラベル」とはどのようなものかや具体例を紹介します。
リジェネラティブ・トラベルとサステナブル・トラベルの違い
地球環境に配慮することに関連する言葉と言えば、「サステナブル」が頭に浮かぶのではないでしょうか。「サステナブルな暮らし」「サステナブルな商品」など、最近よく聞かれるようになりました。「サステナブル・トラベル」という旅行形態もあるのですが、「リジェネラティブ・トラベル」とどのように違うのでしょうか。
「サステナブル」は「持続可能」という意味で、今ある自然や資源が次の世代でも利用できるようにすることに主眼が置かれています。「サステナブル・トラベル」は、地域の自然環境を尊重した宿泊施設に泊まったり、現地の伝統文化を体験できるツアーに参加したりすることで、その地域のありのままの姿を知り、理解を深めようとする旅行の仕方のことです。
ここからさらに一歩進んだ旅のあり方が「リジェネラティブ・トラベル」です。「再生」という言葉が示しているように、旅行で訪れた地域を蘇らせ、より良いものにしていくことを目指しています。「旅行で残していいのは足跡だけ」という言葉がありますが、ただ足跡を残すのではなく、その足跡を活用して、その土地をさらに豊かで強いものにしていこうとするのが「リジェネラティブ・トラベル」だと言えます。
「リジェネラティブ・トラベル」は旅行中に何をするかも重要ですが、旅行で支払われた費用が責任をもって環境や地域の改善のために使われているかということも大切です。
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リジェネラティブ・トラベルの具体例
では、リジェネラティブ・トラベルとは、具体的にはどのようなものでしょうか。
ケニアのあるロッジでは、その土地の畑で取れた野菜を使った食事を楽しみ、オーナーから地域の野生動物の保護についての説明を聞き、滞在後には植林に参加するなどといったことが体験できます。このロッジでは地域住民をサファリガイドとして雇用、教育したり、地元の女性が作った手工芸品を手数料なしで直接販売する場を提供したりするなどして貧困解消を推進しています。
カンボジアのあるキャンプ施設では、排気ガスの出ないマウンテンバイクでの散策やバードウォッチングを楽しめるだけでなく、密猟や違法伐採を取り締まるレンジャーの一員としてパトロールに参加することもできます。
実は、このレンジャーにはかつて違法伐採や密猟をしていた人たちも含まれています。レンジャーとして雇用することで不法行為をしなくても生活できるようになり、また環境に対する知識を身に付けることで地元住民が自ら森林や野生動物を保護していけるような仕組み作りをしているのです。
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(参考)
What are the benefits of regenerative travel & tourism?
What Is Regenerative Travel and Can It Help Reverse The Damage We Have Done To Planet?
田舎育ち18年、都会暮らし28年、海外暮らし5年。どこにいても緑と土が必要で、ときどき「山が見たい」と駄々をこねます。老後はヨット好きの主人と海と山の両方が見える場所に住みながら、世界各地を旅したい欲張り50代です。