白神カレンダー」を知っていますか。世界遺産である白神山地で体験できる様々なアクティビティを見つけたり予約したりできるサイトで、散策や体験・食を通して白神山地の美しい自然や豊かな文化に触れることができます。

今回はその中の一つ、ブナ林を散策し、途中「ブナMORIカフェ」でコーヒーを楽しむ、というとても贅沢なアクティビティに参加してきました。白神山地が世界自然遺産に登録された理由とともに、白神の森の魅力を紹介します。

白神山地が世界自然遺産に登録された理由

皆さんは、白神山地が世界自然遺産に登録された理由を知っていますか?

白神山地は青森県と秋田県にまたがる広大な森林で、屋久島とともに1993年12月に日本で初めて世界自然遺産に登録されました。登録の理由は、「人の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が世界最大級の規模で分布」していること。

ポイントは2つあり、まずは「人の影響をほとんど受けていない」という点。白神山地のブナ林は、人間による伐採が行われることなく8,000年以上も保たれているのだそうです。世界では森林伐採や環境破壊が止まらないことが大きな課題の一つになっていますが、白神山地は長い間その豊かな自然環境をそのまま保っているのです。

もう1つのポイントは「世界最大級の規模」という点。白神山地の広さは約13万ヘクタール、これを東京ドームに置き換えると、なんと2万7,660個分(世界自然遺産の対象エリアは1万7,000ヘクタール)。この広い範囲にブナの原生林が広がっています。これほど大規模なものは、世界でも類を見ないそう。

白神の森は見渡す限り緑。目に優しく視力が回復する気さえする。

長い時間をかけて育まれた広大な白神山地は、動植物の宝庫でもあります。植物は540種以上、そして4,000種を超える生き物が暮らしています。その中には、ニホンツキノワグマやニホンカモシカなどの希少な動物や天然記念物のクマゲラもいます。白神山地は、環境保護の観点からも世界的に高く評価されている場所なのです。

白神山地が世界自然遺産に登録されたのには、こんな数々の納得する理由があったのです。

ブナ林散策と森の魅力

白神山地には散策コースや登山コースがいくつかありますが、私たちは「世界遺産の径・ブナ林散策道コース」をガイドさんと一緒に歩きました。この「世界遺産の径」は、世界自然遺産に登録されているエリア内を歩けるようになっています。白神山地の魅力を手軽に満喫できる全長2 kmのコースです。

ガイドさんと歩くと白神の森をより深く知ることができる。

暗門大橋を渡ると白神山地世界遺産の入り口が見えてきました。そこから、しばらく歩くとブナ林散策道が始まります。

足元は整備されていて歩きやすい。

なだらかな道の先にはどこまでも続くブナ林が広がっていました。

美しいブナ林ですが、ガイドさんの話では昼過ぎの明るい時間でも熊が近くに出てくることがあるとのことで、少しひやりとしたものを感じながらの出発となりました。

日の差し方ひとつで変化する森の表情。木漏れ日がとても気持ちよい。

ブナ林の中に入っていくと、一面緑の世界に。見上げるとブナの木の天井ができていて、葉の緑と木漏れ日の美しさに目を奪われました。普段の生活では、こんなに緑に囲まれることがないので、思わず深呼吸をしました。

ガイドさんの左手側にある小さなブナの木、樹齢を聞いてビックリ!

ガイドさんが持っているこのブナの木は何歳だと思いますか?まだ幹も細くて高さも3mぐらいしかありませんが、これで30年なのだそうです。例えば、杉なら30年も経てば背の高い大木なのですが、ブナは成長がとても遅いのです。天井のような高さになるのには、80~100年もかかるとのこと。白神山地のブナ林は本当に歴史のある場所なんだとあらためて感じました。

倒木を皆でのぞき込む。ガイドさんがいなかったらここに存在する生命のつながりを感じないまま素通りしていたかも。

歩いているとブナの倒木が。倒れたブナの木は腐り、そこにキノコが生え、それを虫が食べ、その虫をキツツキが食べに来るのだそうです。森の中では植物も動物もつながっていて、一つ一つの生命が巡りながら保たれているんだということを目の当たりにしました。

「緑のダム」と呼ばれるブナの木。私たち人間がどれだけの恩恵を受けているのかをあらためて考えさせられる。

ブナの木は「緑のダム」と言われているのを知っていますか。ブナの木は水をためる力が高く、100歳を超えるブナであれば根元に約1トン、ドラム缶で言うと約5缶分の水をためることができるのだそうです。さらに、根っこの下には落ち葉が堆積した腐葉土があり、その腐葉土がスポンジのような役割を果たすので、地上の5~10倍もの水が蓄えられているそうです。白神山地の地下には巨大なダムがあるようなものなのです。

白神山地を歩いているとあちこちで湧き水が流れているのですが、これも「緑のダム」によるもの。ブナ林に降った雨が地面に浸透し、長い時間を通して濾過(ろか)され染み出しているのです。

季節は6月。時折汗ばみながら歩いてきたため湧き水でホッと一息。

飲んでみましたが、冷たくて柔らかい口当たりで、とてもおいしかったです。

「ブナMORIカフェ」で至福のひととき

歩いてきたご褒美!

コースの中間地点で、小さな「ブナMORIカフェ」がオープン!ガイドさんが、白神山地の湧き水で淹れたコーヒーとワッフルでもてなしてくれました。

「ブナMORIカフェ」とはこういうことだったのか!

美しいブナの木々と澄んだ空気の中、鳥のさえずりや川のせせらぎを聞きながら過ごせる「ブナMORIカフェ」は、非日常の空間でとても癒やされました。今までで行ったカフェの中で一番贅沢なカフェでした。

祝!世界自然遺産登録30周年!

白神山地は、世界自然遺産に登録されて30周年ということで、それを記念したせんべいもプレゼントしてくれました。これは家族にも見せようと思い、大事に持って帰りました。

森の知識もたくさん持って帰ることができる。

しばしブナ林で癒やされた後、帰り道を下ります。帰り道でも草花の匂いを嗅いでみたり、動物の子育ての様子を聞いたり、熊が木に残した爪痕を見たりしながら白神山地の自然を全身で感じて楽しみました。

まとめ

白神山地を約2時間30分歩きましたが、とても楽しい充実した時間でした。ガイドさんはとてもフレンドリーで、一方的に説明するのではなく、クイズを出したりしながら白神の森の魅力をたっぷりと教えてくれます。一人で散策するのとはまったく違う素晴らしい経験でした。

白神山地は、季節が変わればまた違う景色や動植物の姿を楽しめるそうなので、別の季節にもぜひ行ってみたいですね。

壮大なブナ林を歩きながら、五感で自然を感じて……そして「ブナMORIカフェ」で至福のカフェタイム。こんな究極のリフレッシュを体験したい方は、世界遺産の径・ブナ林散策道【白神ブナMORIカフェ】に参加してみませんか。

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